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「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

予約困難なレストラン、知る人ぞ知る名店、大人のバーetc. 今までメディアでも掘り下げてこなかった、大人のための秘密のスイーツをお届けする連載、鈴木セイラ『金曜日、秘密のデザート』。前回の記事では、今年の3月にオープンした横浜の会員制&住所非公開のスイーツバー「Constellation.」(横浜)をご紹介しました。

お店のオーナーパティシエは、Twitterやブログなど、SNSで人気の“こっきー”こと小北シェフ(@koki_patissier)。フランスで修業経験もあり、そのスイーツ作りの実力はもちろん、会社を設立し、パティシエの働き方や飲食のビジネスモデルにも切り込んで活動している、スイーツ界の革命児とも呼ぶべきひとり。新たな挑戦をし続ける彼の姿、じっくりとお届けします。

魔法の鏡で、非日常空間へ誘われて。横浜の会員制スイーツバー「Constellation.」

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

「Constellation.」があるのは、横浜・日本大通り、会員だけが知っている雑居ビルの2階。階段を上がると、サイケデリックな光を放つ魔法の鏡が。鏡の横にある隠し扉を開き、バー空間へとつながる暗い廊下を歩きます。まるで秘密基地に入りこんでしまったような、ワクワク感と少しの不安。

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19
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バーの扉を開くと、そこはまるで幻想世界。鮮やかなライト、多種多様なお酒のボトル、そしてキラキラ光る星座が瞬くような壁。選ばれた者、知っている者だけが辿り着ける、スペシャルなお店にふさわしい演出です。

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

お店はカウンター席がメインで、デートや女子会にぴったりのムーディな個室も。カウンターでは、バーテンダーやパティシエたちが創り出すメニューを臨場感たっぷりに見ることができます。

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「Constellation.」で味わえる、季節のパフェとスイーツコースについては、ぜひ前回の連載記事へ。オーナーパティシエである、小北シェフに早速お話を聞いていきます。

「『美味しい』って何?」を考え続けて、辿り着いた答え

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「Constellation.」は、「特別感」や「ワクワク感」がキーワード。このコンセプトには、小北シェフのこだわりがこめられているのだそう。

「100人いて、100人ともが『美味しい!』と言ってくれる食って沢山あると思って。スイーツ自体を『美味しく』作ることは当たり前で、そしてそれだけではお客さんはリピートしてくれない。当たり前かもしれないけど、『美味しい』だけじゃだめなんです。美味しいに付加価値をどれだけつけられるか。」

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「だから、空間や動線、演出を含めて“美味しい”を立体的に設計しているんです。五感で“美味しい”を感じられるように。例えば、お客さんにサーブしてから仕上げる臨場感ある盛り付け。パフェ作りの最後に、液体窒素を使ったトッピングを載せたり、お皿を空けると香りや煙が広がるような演出だったり。」

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「もちろんそういった演出だけじゃなく、素材選びもブランドからこだわりますし、スイーツのビジュアルそのものも、今までにないような独自性が見えるようなスタイリングに仕上げています」

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そして、特にこだわったのはお店に来る前の「気持ちづくり」、そしてお店の「動線」なのだそう。

「ふらっと立ち寄るのではなく、『あの店に食べに行こう』と思って来てもらうことが大事だと思うんです。食べることへの感情を揃えてもらうというか。だから会員制で住所非公開というスペシャル感を大事にしました」

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「動線設計でこだわったのは、ディズニーランドの列に並んでいるみたいなワクワク感。怪しい鏡と、隠し扉、長い廊下。『この先が楽しみだな』という“期待感”も、『美味しい』の要素のひとつだと思います」。

憧れのシェフに心を奪われ、夢だったパティシエに。飲食業界の課題と向き合う

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

小北シェフがパティシエの世界に足を踏み入れたきっかけは、高校2年生の時に見たTV番組。その瞬間の情熱が、今でも原点になっているのだそう。

「たまたまTVを見ていたら、『プロフェッショナル 仕事の流儀』がやっていて。そこに出ていた杉野シェフ(イデミ・スギノ(2022年閉店))の生き方を見て『なんだこのかっこいい人は!』と衝撃を受けたんです。そこから製菓専門学校に進むことを決めましたね。杉野シェフのお菓子は自分の原点で、開店前から並ぶくらい大好きで憧れでした。食べると自分の気持ちが引き締まるお菓子です」。

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製菓学校を卒業し、念願叶ってパティシエに。渡仏して「モリヨシダ」(パリ)で修業し、シェラトンホテル(神戸)や「Season & Co.」(梅田)で研鑽を積んできた小北シェフ。仕事をする中で、様々なリアルも経験し、次第に様々な課題と向き合い始めたのだそう。

「一見、行列が並ぶ人気店でも、原価が高く採算が取れていないという現実。ブラック労働。そういった、パティシエだけじゃなく、飲食業界全体の問題にずっと直面してきて。どう解決したらいいか、考え続けています」。

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19
チームメンバーの仲の良さも、お店の魅力に。お店を立ち上げる際に声をかけたのだそう

「『Constellation.』は、その答えのひとつである『美味しいに付加価値をつける』を形にしたお店。オンライン限定のスイーツブランドも作っています。他にも、悩んでいる若手シェフや飲食業界の人の力になりたくて、SNSで発信したり、シェアキッチンを運営したりもしています」

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

パティシエの枠を飛び越え、次々と様々な挑戦を続ける小北シェフ。「何かに縛られず、自由に生きて、成長し続ける人間でいたいんです」と語るその姿は、周りの多くの人を惹きつけています。今後の活動についてもお聞きしました。

「とにかく面白いものを仕掛けたいです。スイーツに限らず飲食業界全体に。例えば、食×何かのコラボとか。音楽…ジャズとか面白いかもしれません。誰かの真似をしたくはないので、オリジナリティのあることがしたいですね」。

「Constellation.」(横浜)小北シェフ(こっきー)インタビュー。“おいしい”が当たり前になった時代の挑戦者。鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.19

一見クールなお店ですが、チームメンバーの仲が良く、終始とても賑やかで笑いの絶えなかった取材現場。人との縁やつながりを大事にする、そして常に前進をやめない小北シェフだからこそ、実現できたお店ではないでしょうか。

仕事や勉強に疲れて癒されたい日、そして絶対に失敗したくない特別な記念日には、秘密の会員制スイーツバー「Constellation.」へ、ぜひ足を運んでみてください。

※お店の新規会員は、公式Instagramにて不定期募集(@sweets_bar_constellation

About Shop
Constellation.
住所:完全非公開
定休日:水曜日
@sweets_bar_constellation

Photo/Cream Taro Writing/Nanako Maeda