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新進気鋭で今年注目のショコラティエ上妻正治(Social Kitchen Toranomon)の素顔。ショコラティエWEEK vol.02

新進気鋭で今年注目のショコラティエ上妻正治(Social Kitchen Toranomon)の素顔。ショコラティエWEEK vol.02

新進気鋭で今年注目のショコラティエ上妻正治(Social Kitchen Toranomon)の素顔。ショコラティエWEEK vol.02

バレンタイン特別企画、有名ショコラティエによるチョコレートの面白さ・奥深さを体感できる「ショコラティエWEEK」。2日目となる今回は、シェフと企業と社会をつなげる「Social Kitchen TORANOMON」で腕をふるう、上妻正治シェフ。美しすぎるボンボンショコラをはじめとするお菓子は、一つ一つの商品が“作品”と呼べるほど手の込んだ造形美。

パティス リーキャロリーヌ、クリオロを経て、シェフパ ティシエを務め、 World Chocolate Masters国内予選ピエスモンテ部門1位、総合3位 など受賞多数の上妻正治シェフの歩みと、チョコレートへの飽くなき探求心を深掘りしてきました。

幼少期のバレンタインデーから始まる、お菓子作りへの道

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Q.上妻シェフについて、もともと食の世界に入ったきっかけを教えてください。

上妻シェフ「さかのぼると、小学生のころのバレンタインデー。小学校2~3年生の時で、手づくりの板チョコレートをもらったんです。お菓子としてはただ市販されているチョコレートを溶かして流したものではあるけれど、それがすごく嬉しかったんです。

実際にその時のお返しはポッキーでしたが、翌年は自分で何かをお返ししようと思ったのがお菓子を作ろうと思ったきっかけです。そしてはじめて作ったのがクッキー。僕のクラスの風潮として、ホワイトデーのお返しはクッキーという感じだったので。

クッキーを作ったけれど、お返しであげたときにすごく喜んでくれたし“何かを作る、クリエイティブする面白み”をその時に実感しました。

そういったこともあって、お菓子を作ることが小さいころから好きになり、小3とか4年の時は、おうちでクレープを焼いたりしていましたね。」

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Q.その後はずっとお菓子を作り続けていたのでしょうか?

上妻正治シェフ「いえ、実はギターにはまってしまい(笑)。小6からバンドの道へ行ってしまい。そこから結構ギターに熱中しちゃって、中3まで音楽をやっていました。

その後、お菓子の世界へ進むことを決定づけたのは、高校性のときに進路を決める時でした。“将来どうするか?”と考えたときに、 “好きでい続けられるものはなんだろう?”と自分に問いました。

ずっと続けられるものは、と思ったときに音楽ではなく“パティシエ”という選択肢でした。お菓子だけは、何があっても好きでい続けられると思ったんです。」

クリオロ時代の恩師サントスシェフから教わったボンボンショコラの深い世界

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Q.お菓子の世界へ入り、今ではショコラティエとしての道を歩まれていると思いますが、チョコレートの分野に傾倒したきっかけは何でしょうか?

上妻シェフ「きっかけは、クリオロに在籍していたことがかなり大きいです。ボンボンショコラは前から知っていたものの、本当の意味でボンボンのおいしさを知ったのがクリオロのシェフのサントスシェフ。サントスシェフのボンボンショコラへの想いが大きくて。

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お菓子って、ある程度のサイズ感があって食べ応えがあって美味しさがあります。それが、こんなに小さなボンボンショコラの中に、作り手によって色々な世界観があるのに気づきました。見た目や使う素材はほぼ一緒だけれど、作り手の技術、味覚的な色が小さな粒の中で表現されていく。その技術がすごく面白いと思ったんです。

また自分の感覚というものを、味とかテクスチャーに表現していく時に、数mm単位、数g単位、温度も何度というより0.何度の世界で違いが出てくるのがチョコレートです。その難しさがありながらも、作っていてすごく楽しいんですよね。」

完璧なレシピよりも、自分の表現したい軸を持つことの大切さ

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Q.クリオロ時代、サントスさんから教わったことで印象的なことがあれば教えてください。

上妻シェフ「サントスシェフからは大事なのは、“美味しいレシピを知ること”じゃなくて“何が美味しいか”をまず知ることと教わりました“これが美味しいんだ”を知ってから、それをどうやって技術として表現するかがわかればレシピはいらないんだ”と話してくださったのが印象的でした。

その教えを、今も胸に刻んでお菓子作りをしています。“こういう味でこういうものが作りたいんだ”という指針みたいなものがあれば、レシピがなくても試作を繰り返していっていいものに行き着くことができるんです。

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でも、“これが美味しいレシピだよ”と教えられ、そのレシピにたよって作ってしまうと“自分という軸のないお菓子”になってしまう。“自分の美味しいはこれだというのをまず理解して、そしてお客さんのニーズや理解とすり合わせていくプロセスが大事だと思っています。

その中で、自分が思う“美味しい”がズレていないか、確認するための機会として始めたのがコンクール。自分の美味しいが、審査員の美味しいと噛み合っているかというのを確かめるもので、1位を絶対とらなきゃと追い込まれることは一度もなかったんです。」

「地元の人に還元できるような、お菓子づくりのクリエイションを目指したい」

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Q.Social KitchenToranomonでは、パフェのイベントをはじめとする、活躍の幅を広げられてきました。今後の「Masaharu Kozuma」としてブランドの展望や意気込みを教えてください。

上妻シェフ「一番は自分の商品を食べてくれる消費者に、質が高いものを届けて“この人のはおいしいよね”“食べたら幸せになるよね”というものを提供し続けていきたいと思っています。

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クリエイションも、意識しているのが素材です。実は実家が農家でサトウキビ畑をやっています。僕が幼いころから作っていた農作物を、自分がお菓子として使うとは思っていなかったんです。農家の人達がたとえ収入があったとしてもモチベーションを保つことってすごく大変で。

そこを僕がお菓子を通じて、出身地である種子島の魅力を伝えられたら、きっと生産者の人たちの働くモチベーションになると思うんです。美味しい、ということだけではなくて、地元に還元できるようなお菓子を作っていきたいと思っています。」

チョコレートの美味しさは人の想像を“ちょっと”超えること

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Q.ズバリ、上妻シェフが考える美味しいチョコレートとは?

上妻シェフ「説明するのが難しいのですが、人が感じる一般的な“美味しい記憶”というか、“味覚的記憶”ってありますよね? 例えばお菓子ではなくても、いつ食べても美味しいものとか。“これが美味しいよね”という大きな円を想像してみていただくとわかると思いますが、その枠の中に納まると“ただ普通に美味しいよね”となってしまいます。

一方で、その枠を大きく外れてしまうと、自分よがりな方向へといってしまいます。僕がそこで大事にしているのは、“ほんの少しだけ、枠を外れて人の想像を超えていくこと”です。なぜか美味しいよねという絶妙なラインというか。そこを大事にチョコレートを作っています。」

Q.様々な顔を持つカカオの選別、組み合わせ方、魅力の引き出し方で上妻シェフが意識していること、大事にしていることを教えてください。

上妻シェフ「一番は、まず口に入れたものの素材・味がくっきりとわかること。説明を受けなくても、何を食べているのかがわかるように持っていくアプローチが大切だと思っています。」

「自分の表現のツールでもあり、お菓子作りをずっと続けていきたい」

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Q.kad kokoaとのボンボンショコラのクオリティは高く、一つ一つのお菓子にかける手間ひまは相当だと思いました。そこまでこだわり、美味しさを追求する理由はどんなところにありますか?

上妻シェフ「やはり手に取った人が見ただけで感動して、そこで喜びがうまれて、食べたら美味しい、やっぱり嬉しいという幸福感を与えたいし、それしかない。逆にいうと自分はこれしかできなくて、唯一の表現のツールがお菓子だと思うんです。僕の人生でお菓子は切っては切れないものですね。」

About Shop
Social Kitchen TORANOMON
東京都港区虎ノ門1丁目23−3 ヒルズガーデンハウス 1F
公式Instagramアカウント

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo/Tomohiro Takeshita Writing/Cream Taro