ufu(ウフ)スイーツがないと始まらない。
濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

春日「アヴランシュゲネー」濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

“ショートケーキ”。そのシンプルな見た目とは裏腹に、素材のフレッシュさや断層の構成、いちごの入れ方、生地の厚み一つでも大きな変化が起きる、奥深き世界がそこに。全国のショートケーキを食べ歩き、「ウフ。」編集長でもあるクリーム太朗のこだわりがあふれた連載がスタートします。記念すべき第一回目は、筆者が毎年のように家族の誕生日や自分用に必ず買うほど、お気に入りのアヴランシュゲネーのショートケーキをお届けします。 

<アヴランシュゲネー>
大通りに面した、ひと際目立つ赤い店構えと青い自転車 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

東京ドームの近く、都営大江戸線、三田線の春日駅から歩いて数分のところにある「アヴランシュゲネー(Avranches Guesnay)」。ひと際目立つ真っ赤な外観と、「Bianchi」の水色の自転車が特徴的。お店の名前は、フランス・ノルマンディー地方の町「アヴランシュ」と修行先のお店「ル・パベ・デュ・ロワ」のオーナーシェフ、「シルベール・ゲネー」氏の名前からつけられている。 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

キャッシャー、ショーケースは昔の上司のお店から受け継ぐ 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

中に入ると、暖色の光が店内を照らし、アンティークな置物と焼き菓子やチョコレートが置かれた楽しい店内。お店のコンセプトは、シェフが修行していたお店の雰囲気を演出しているそうだ。 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

上霜シェフが実際に修行していた「ル・パベ・デュ・ロワ」。パンやパティスリーがズラリと並ぶ、街のパティスリー。この温かみのある雰囲気を、お店にも演出したかったそうだ。 

<アヴランシュゲネー>
最高品質の生クリームを全力で感じる 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

今回紹介するのは「フレザリア」(540円)。何回も、何回もリピートしホールケーキは4号であれば、一人でぺろりといけてしまうぐらい、驚きの口どけである。 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

ホールケーキには、フランボワーズも散らされる。

<アヴランシュゲネー>
全体の食感と後味を邪魔しない、いちごのスライスの2層 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

断面を見れば、そこには薄くスライスされたいちごの層が、2層に。そしてお気づきでしょうか? 上と中間層にあるスポンジ生地よりも、下にある生地はやや厚手。焼き具合も少し異なるように思える。シェフに聞くと「販売開始以来、常にリニューアルや変化を追い求めています。100%正解はないので、常に見直しています。この生地の土台部分も昔より厚めにしました。ケーキをほおばったときのトータルのバランス感を考えています。」 

<アヴランシュゲネー>
苦手だった生クリームが好物に変わる、魔法の口どけ 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

愛すべきポイントはやはり生クリーム。どうしてここまでおいしいのか、上霜シェフに伺うと「秘密は、とくにありませんが、素材はいいものを使っています。最高品質の生クリーム。余計なものは入れず、シンプルに」。

実を言うと、筆者は生クリームが苦手であった。あぶらっこさに苦手意識があったが、ここのショートケーキを食べて好物に変わった。それほどおいしい生クリームである。 

断面をより綺麗にだせるよう、開発を重ね現在のスタイルに。いちごを置く位置とカットする箇所は正確に決まっており、カットは熟練の技を要するそう。 

<アヴランシュゲネー>
他を邪魔しない、シンプルないちご 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

いちごをコンフィチュールにしたり、シロップをつけたりもせずシンプルな構成。そして小ぶりながらもアクセントとなる、甘酸っぱいいちごのセレクト。トータルで見て、完璧なほど。 

濃厚な生クリームと生地、口溶けの魔術に酔いしれる春日の「アヴランシュゲネー」 連載:最高のショートケーキを求めてvol.01

取材した時期はバレンタインとホワイトデーの一番忙しい時期。そんなタイミングにも関わらず、快く取材を受けてくださった上霜シェフ。「作り手が飽きたら、食べる人も飽きる」そんな言葉から、常に新しいスペシャリテへの挑戦もし続け、催事では毎年異なる新商品も登場する。季節の変化とともに、常に足を運び続けたい大好きなお店。 

Profile
上霜 考二 Koji Ueshimo
1994年9月 辻調グループ・フランス校卒業後、
ノルマンディーのパティスリーで修行を重ねる。
1995年帰国、インターコンチネンタル東京ベイ、オテル・ド・ミクニ等を経て、
2005年パティスリー・ジャン・ミエ・ジャポンのシェフパティシエに就任。
2008年アグネスホテル東京のパティスリー『ル・コワンヴェール』の開店と同時に
シェフパティシエとして迎えられ、2015年6月までシェフパティシエを務める。
2011年公開の映画『洋菓子店コアンドル』では製菓監修をつとめた。

About Shop
「アヴランシュゲネー」
東京都文京区本郷4丁目17ー6 1F
営業時間 水曜日~日曜日10:00~19:00
定休日 月・火曜日(不定休)
春日駅から徒歩2分

目の前で“柑橘の息吹をかける”世にも珍しいショートケーキとは?「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)連載:最高のショートケーキを求めて vol.20

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

メンバーの記事一覧

編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream taro