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LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

スイーツメディアufu.がお届けする今回の記事は、スイーツメディアの枠を超えた新しい記事。皆さんは6月が「プライド月間(Pride Month)」であるとご存知でしょうか? アメリカをはじめ、世界各地でLGBT+の権利や文化、コミュニティーへの支持を示す、さまざまなイベントが行われる月間です。

この月間は、お祝いでありながらも抗議としての意味合いも持ち合わせています。アメリカではパレードが行われ、そのモチーフである虹色の旗が空をはためきます。日本でも年々このLGBT+への理解が深まり、世間的に認知され、多様化する社会の一つの動きとして一般的になりつつあります。その一方で、根底にある「差別」や「偏見」がなくなったわけではない。

今回はそんな「LGBTプライド月間」のこの6月に、スイーツメディアとして何か発信できることはないであろうか? そんな想いからこの記事を執筆させていただきました。取材をさせていただいたのは、新宿の歌舞伎町の夜パフェ専門店「ロイトシロ」。ゲイカップルが開いたお店です。

活気を取り戻した歌舞伎町で、光り輝くパフェグラスと二人の紳士

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

お店があるのは、新宿区にある歌舞伎町。筆者が生まれ育った場所で、歌舞伎町はというと風俗店とラブホテル、そしてキャバクラに、ホストクラブがひしめき合うものの近年は映画館もOPENし、広場では若者たちがTikTokを必死に撮影している。昔とは違い、エンターテインメントの街として生まれ変わり、自己表現の場ともなっています。

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

「ロイトシロ」があるのは、歌舞伎町をどんどん進み職安通りに出る手前の建物の3階に。ひときわ存在感を放つペンギンのかわいいエントランス。扉を開けば、そこでは最高のパフェが食べられるカウンターと、二人の男性がお出迎え。

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

左が玄太さん、右が和志さん。取材中も親切に接してくださった二人。立地柄、不安になりながら初めて足を運ぶ人も、二人の温かい歓迎に、すぐにほっとするはずです。和志さんはフランスで修行を積み、帰国後はレストランでデザートを担当するなど、腕とキャリアは十分すぎるほど。

同性愛の象徴であるペンギンと「ロイトシロ」

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

お店の外だけではなく、中もペンギンでいっぱいのこのお店。実はペンギンは同性愛の象徴であると、そう話すのは玄太さん。店名「ロイトシロ」の名前の由来は、お店の中央にある絵本『タンタンタンゴはパパふたり』。絵本に実際に登場する同性のペンギンのカップル「ロイ」と「シロ」から名前をつけたんだそう。

ホワイトチョコレートとミントがたまらない「SILO(シロ)」、キャラメルのアイスとバナナとオレンジのマリアージュが楽しめる「ROY(ロイ)」、そして苺とピスタチオが楽しめる「TANGO(タンゴ)」。定番メニューも店名から来ています。

なぜ彼らはこのお店を、この歌舞伎町に開いたのでしょうか? また彼らが感じた偏見とは?

普通の場所ではないからこそ、特別なパフェを

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

Q.なぜこのお店を歌舞伎町に開いたのでしょうか? パフェにしたのはなぜでしょうか?

和志さん「ここは『夜中でも美味しいパフェが食べられる』をコンセプトにカップルで立ち上げた小さなパフェ屋さんです。なかなか新宿にはこういうお店がないことと、お仕事終わりの方やこの近辺で働いている方、飲みに来た方が2軒目にでも寄れるといいなと思っています。

新宿二丁目に作らなかったのは、歌舞伎町の方が足を運びやすい方もいると思ったから。色々な方の交流の場になるといいなと思っています。

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お店で出すスイーツをパフェにした理由は、パティシエとしての技術を発揮できることと、食材で季節感を出せたり、色々な発想や挑戦がたったひとつのグラスで表現できるからです。実際に今は月に2回季節のパフェを考えて出していますが、すごく楽しいです。

この歌舞伎町、夜の繁華街にあるからこそ、色眼鏡でみられたくないという気持ちもあります。

普通の場所ではないから、普通のパフェは出したくない

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

こだわって作ったパフェを、歌舞伎町に来たというイベント感も含めて、楽しんでもらえたらと思っています。最近はパフェ好きの方もたくさん来ていただき、嬉しいです。」

まだまだな身近ではない“ゲイカップル”であること、そして僕たちの夢を多くの人に知ってもらいたい

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Q.どうしてこのお店を一緒に開こうと思ったのでしょうか?

和志さん「お店をOPENさせたのは2019年。僕たちが付き合ってから3年ぐらいですかね。それまではパティシエとしてお店で働いていて、技術はある程度磨いたので、ちょうど独立したいと思っていた時期でした。

それにお店と言っても、会社員だったので身なりにすごく厳しくて肩身が狭かったんです。髪型もそうですし、髪の色やピアスとかも。僕たち二人が好きなことを好きなようにしようと、その想いで開いたのがこのお店です。自分達らしさを表現しました。

ゲイカップルは世間的には、まだまだマイノリティです。それでこのお店を通じて僕ら二人が同じ夢をもってやっていることを、多くの人に知ってもらえたらと思っています。

“偏見はあるけれど、嫌な思いはしたことがない”

LGBTプライド月間スペシャル。夜パフェ専門店「ロイトシロ」ゲイカップルがパフェグラスに描く夢

Q.今回、取材を申し込ませていただいたときに「タトゥーやピアスなど、イメージ的に大丈夫ですか?」とお返事いただいたと思いますが、実際にお店を運営する中で「偏見」や嫌な思いをされたことがあれば教えてください。

玄太さん「それは常々あって、パフェ屋なのに、ピアスとかタトゥーが気持ち悪いとか。」

和志さん「僕は今ポールダンサーをやっていて、ダンサーの仕事なので露出の多い衣装を着るんですが、パフェのお店を出しているのに、そういうことして恥ずかしくないの?とか言われます。でもそんなことを気にしていたら、歌舞伎町にお店を出していないですよ。」

玄太さん「正直いって、嫌な思いはしたことがないです。

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例えばピアスもタトゥーも万人に受けようとしてやっているわけではないです。自分たちの好きなことをしているので。これで結果的にメディアによんでいただけたり、催事にもお声がけいただいたこともあるので。」

この先も「美味しい」と言ってもらえる未来を

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Q.二人の未来について、これからどんな未来を描いていらっしゃいますか? お店の枠を超えて、何かを発信されたり、考えていることがあれば教えてください。

和志さん「あんまり店を大きくしたいと考えてはいないです。これぐらいのカウンター席でも手いっぱい。来てくれるお客さんが第一で、美味しいといってもらえることが何よりも嬉しい。続けていくことが一番の目標ですかね。

今では日曜日を昼営業としています。夜パフェ専門店として始めましたが、未成年の方やお子さんも、誰でも来られるような時間を作っています。色々な人とお話して、パフェを食べて美味しいといってもらえたら。」

カメラを向けた時に見せる表情からも、二人の“今の幸せ感”が伝わってきました。スイーツメディアufu.は、お菓子の世界でも偏見をなくしていきたい。どんなバックグラウンドがあろうと、美味しいお菓子を作る作り手で、人をお菓子で幸せにする人であることには変わりない。優しい2羽のペンギンが奏でるパフェに癒された1日でした。

About Shop
ロイトシロ
東京都新宿区歌舞伎町2-41-3レオ寿ビル3F E
営業時間:水〜土曜日21:00~1:00、日曜日15:30~20:00(昼営業)
定休日:月、火

Photo&Writing/Cream Taro