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出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

日本海に面した島根県。多くの人がイメージをする出雲大社がある、出雲で生まれた情熱あふれる「La chocolaterie NANAIRO」。2015年からオンラインでの販売を開始、2018年に「STORE & CAFÉ」をOPEN.バレンタイン時期の催事等でも話題に。

前回のインタビュー記事でも書いたとおり、NANAIROでは商品を「Batch no.」で管理しており、年に二回、春夏と秋冬のコレクションに分けてチョコレートの新作を発表している。

そのため、基本的に同じ商品ラインナップを作り続ける事がなく、それぞれシーズンごとにテーマも変わり、使用されるカカオ豆も変わる。また、同じシーズンの中でも、カカオのパーセンテージを変えたり、製造時期の気候の違いでチョコレートの味わいに変化をもたせており、同じシーズンの中や、他のシーズンを跨いで、複数買いして食べ比べするのもおススメ!また、一度売り切れてしまえばそのチョコレートは二度と味わうことができないため、一期一会の体験ができる。

サイズは70gの通常サイズと、22gのミニサイズの二種類がある。同じシーズン内で食べ比べをしたい場合は、そのシーズンの全ての商品がミニサイズのタブレットで入ったコンプリートセットも販売しているので、ぜひ試してみてほしい。

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

今回は、2022年春夏コレクションの中からダークチョコレートとフレーバーチョコレートの2種類と、リミテッドコレクションのホワイトチョコレートの計3種類をご紹介する。

NANAIROの魅力を味わうハイパーセンテージなダークチョコレート

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

2022年春夏コレクションは「夏と人形」がシーズンテーマとなっている。詩に散りばめられたキーワードを拾って、チョコレートに込められた思いを各々が解釈し、紐解いていくのもNANAIROの魅力の一つ。

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また、今シーズンはインドネシア バリ島産のカカオ豆を使用したチョコレートに統一され、それぞれ65、70、75、80%のチョコレートが発売されている。まずは、その中でも一番パーセンテージの高い「Batch no.69」を。

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「Batch no.69」はインドネシア バリ島産のカカオ豆を使用したカカオ分80%のダークチョコレート。口に含めば柑橘や八角(スターアニス)が香り、トマトのコンポートやセロリのお浸しのベジタブルなフレーバーも覗く。酸味はジワジワと伸び、苦味は霧中の様に掴みどころが無く漂う。しっかりとした渋味の中盤、木桶や胡桃の香りが開き、ややドライでマットな質感に変化しながらも、北ハイランドのスコッチウイスキーの様な潮気を帯びたリッチで甘いアロマの余韻が抜ける。

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力強さとはまた違った香りの厚みは、様々な香りの集合体として全体を形作り、一つの大きな波となって押し寄せる。この様な繊細なアロマの詰まったチョコレートは、食べる人の日頃の食生活や、その人の食に対する練度で大きく印象が変わるため、友達や家族とシェアしてディスカッションするもの楽しい。

季節や地産を味わうシーズナルタブレット

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

NANAIROでは、プレーンなチョコレートだけでなく、各シーズンごとに一種、季節や地産のフルーツ等を使ったシーズナルタブレットも製造している。2022年春夏シーズンでは、65%のダークチョコレートをベースに、島根県出雲市菱川町にある「ひかわ神守の里」で栽培されるブルーベリーと、鳥取県東伯郡琴浦町にある「クローバー苺園」で栽培される苺とラズベリーをトッピングしたタブレットが販売されている。

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なんと、この「ひかわ神守の里」で採れるブルーベリーには、カカオ豆からチョコレートを製造する過程で生まれる廃材、“カカオハスク”と呼ばれるカカオの殻が肥料として使われている。NANAIROではこれまでカカオハスクを年間200kgほど廃棄処分しており、何か有効利用できないかと考えていたそう。そこで有機肥料を使って土壌づくりをしていた「ひかわ神守の里」の神門さんが興味を示し、実験的にカカオハスクを土壌に撒いてブルーベリーを栽培したところ、水はけも良く、油粕の約1.5倍の肥料効果が得られることが分かり、現在はNANAIROが排出するカカオハスクの9割を「ひかわ神守の里」が引き取り、肥料として活用している。

出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10
出雲「La chocolaterie NANAIRO」。シーズンごとに販売される一期一会のチョコレートとは? 連載「チョコと人と、物語と」vol.10

ビタースイートなダークチョコレートの上で展開される甘酸っぱいベリーの掛け合い。低温乾燥されたフルーツは酸味が凝縮されており、フレッシュ感もありながら濃厚で華やかな果実の香りも楽しめる。プロファイリングカードに書かれたペアリング、ニルギリやアッサム等の紅茶や、ポートワインとの相性もきっと良いはず。

唯一無二のホワイトチョコレート

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前回のインタビューでもご紹介したNANAIROのホワイトチョコレートは、自家製で絞られるフレッシュなカカオバターをたっぷりと使用し、フレッシュな全粉乳と粉糖を加えたNANAIROを代表する人気商品。世に出回っている製菓用のカカオバターの殆どは、使いやすくするために圧搾後に脱臭処理を行い、無味無臭の固形油脂として販売されているが、本来搾りたてのカカオバターにはカカオ由来の特徴的な香りが残っている。

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NANAIROではそのフレッシュな状態のカカオバターを使用しているため、ホワイトチョコレートであっても、カカオの香りを感じることができる。また、カカオバターを抽出するのに時間を要するため、一回の製造量は少なく、とても手間暇のかかる貴重なホワイトチョコレートだ。今回は通常コレクションとは別にリミテッドコレクションとして発売された、ベネズエラのカリブ海に面した渓谷地「パタネモ村」で収穫されるカカオ豆を使用したホワイトチョコレートを。

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和菓子の“落雁”の様にほろっと粉が解けて広がる印象的なテクスチャで、口溶けが心地良い。フレッシュなミルクのシャープなコクと共に、リンゴや梨の瑞々しいフルーツの香りとフェンネルのハーブ香、そして次第にレモンマートルやラベンダーへと移り変わり、京番茶の芳ばしくスモーキーな香りの余韻が淡く広がる。これまでのホワイトチョコレートには無い口溶けと香りの広がり、そして軽い食べ心地は甘過ぎず、良い意味で期待を裏切ってくれるだろう。

About Shop
La chocolaterie NANAIRO
島根県出雲市坂田1934
営業時間:10:00~19:00
定休日:水曜日

ue_monさん

ue_mon

通りすがりのただのチョコ好き

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Instagram ue_monにて、お酒や料理、チョコレートの情報を発信中。チョコのテイスティングの感想も上げながら、チョコレートの魅力や楽しみ方も投稿。この連載では、チョコレートの作り手、ブランドを担う人々の姿や想いを執筆してくれます。