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静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

前回の記事では、静岡にお店を構える「Conche」(コンチェ)田中さんに、メーカーが誕生するストーリーを伺ってきました。後編となる今回は、田中さんのチョコレートづくりへの愛と、静岡への想いがつまったインタビュー記事になっています。

馴染みのないクラフトチョコレート。価格は低価格にし、日本人が食べやすいミルクチョコレートからスタート

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

ue_mon:日本全体でも当時まだ珍しいクラフトチョコレートですが、静岡で受け入れられる自信はありましたか?

田中さん:自信と言うわけでないですが…まず初めに、日本では認知度の高く無かったクラフトチョコレートを広めていく上で、ましてや最先端のムーブメントが行き交う都心部ではなく、静岡という地方で売っていく上で、どういうチョコレートか分からないものに自分自身1000円は出せないなと考えていたので、価格を1000円以下に抑え、サイズも23gにして、複数買いして、食べ比べできるようにしました。

また、当時日本の『クラフトチョコレート=ダークチョコレート』と言うセオリーを無視して、開店当初から日本人に馴染みの深いミルクチョコレートを作っていました。その中でもカカオ分を65%と高めに設定にして、ミルクチョコレートでありながら、カカオそのものの個性も楽しめるように工夫をしていました。まずは商品を買って頂いて、カカオ自体の味わいはどの様なものなのかを知って頂く必要がありましたので。

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

でも、今はありがたい事にダークチョコレートの需要も増えてきましたし、ダークチョコレートが苦手だからミルクチョコレートにすると言った様な消極的な理由から、ダークチョコレートに対して距離を置いて欲しくないので、その役目を終えてミルクチョコレートを作るのは止めました。だから質問の答えとしては、受け入れられるかは分からなかったけど、受け入れられる様に工夫したと言うことになると思います。

現在は、ミルクチョコレートこそ作ってはいませんが、ボンボンや焼き菓子など、食べやすいものや暑い時期でも持ち運びしやすいものなど、板チョコレート以外の商品を増やして、取り扱い商品の中でコントラストをつける様にしています。とにかく裾野を広げていくことが大事ですし、これまでお客さまがチョコレートを意識することはあっても、カカオを意識することはなかったと思うので、当たり前にカカオを意識するお客さまが増えたら良いなと思っています。

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

ue_mon:以前の静岡駅から離れた店舗から、現在の駅徒歩圏内の店舗に移られたのは何故だったのでしょうか?

田中さん:たまたま以前の店舗のお客さまとして来て下さっていた方が、現在の店舗があるビルのオーナーさんで、「今度新しいビルを立てるんだけど、テナントとして入ってみない?」と言われたので、ご縁だと思って決めました。でも、元々は以前の店舗はスペースが小さく、規模を拡大させていくには限界だったので、製造するスペースを広げたいと言うのはありました。やはりお店をやっている以上は社会貢献もしていきたいですし、クラフトチョコレートメーカーができることは適正な価格で品質の良いカカオ豆をたくさん購入して、カカオ農家さんにお金を落としていくことだと思うので、そのためにも工房を拡張する必要がありました。

お茶が有名な静岡だからこそ、お茶屋さんに見学に行きお茶用ロースターでカカオをロースト

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

ue_mon:ところで僕が以前から気になっていることなんですが、Concheはカカオ豆をローストする際に、お茶用のロースターを使ってますよね? 世界的にもかなり珍しいと思うんですが、なぜお茶用のロースターを使用されているのでしょうか?

田中さん:うちでも以前はオーブンでカカオ豆をローストしていましたが、オーブンローストでは熱むらがあり、オーブン内で熱源に近いところと遠いところではどうしても火入れ具合に差が出てしまい、味わいがぼやけてしまうことが課題になっていました。そこで様々な加工品のローストについて調べていくと、煎茶用のロースターが火入れを均一にするのに向いているかもしれないと気付き、実際に知り合いのお茶屋さんのところに見学に行き、機械のことについて教えてもらいました。お茶処静岡だからこそ、すぐに見学することができたと言うのもありますね(笑)

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

そうして、実際に煎茶用のロースターを見てみると、これが今までのカカオ豆のローストの考え方とは別物で、稼働するレールの上にセラミック製の遠赤外線ヒーターが付いていて、茶葉はレールの上を移動しながらヒーターと一定の距離を保ってローストしてくれるんです。

そして途中で茶葉をひっくり返したりもするので、効率的で均一な火入れができるんです。何度かカカオ豆で検証してみて、チョコレートの味わいに確証を得たので、導入に踏み切りました。これが中々値段が高かったのですが、行政のモノ作りの補助金を活用したりもしました。現在もローストについては細かい調整をしたり、研究を続けています。

地元企業とのコラボレーションも。使う食材は、静岡県産のものを大切に

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

ue_mon: もう一つConcheの特徴として静岡の地元企業とコラボレーションした商品も多いと思うのですが、それは意図的にそうしているのか、或いはそう言った声を頂くことが多いからなのでしょうか?

田中さん:その両方だと思います。元々前職で働いていた通信系の会社が、企業理念に『共存、共栄』を掲げていて、そう言った考え方には共感していたので、お互いにメリットのあるコラボレーションをして広がっていけたら良いなと言うのはありました。ですが、相手の会社の看板を使って商品を作る以上は、相手の会社のマイナスイメージになる様なクオリティでは絶対に出せないし、お互いの特徴を活かしたものでないといけないと思うので、その点は凄く考えるポイントにしています。一番最初は駿河湾の海水を使ったお塩を製造されている『あらしお株式会社』様とコラボレーションさせて頂き、塩チョコを作りました。

ue_mon:地元のコラボレーションと言う意味でも、Concheの桜エビを使ったチョコレートがかなり印象的なんですが、どう言った経緯で生まれたものなのでしょうか?

静岡初のクラフトチョコレート『Conche』。静岡愛とカカオのはなし・・・(後編)連載「チョコと人と、物語と」vol.04

田中さん:駿河湾で漁れる桜エビは静岡の中でもお茶やわさびに次いで、欠かせいない一次産業なので、これを使ったチョコレートを作らない手は無いなと思っていました。逆にお茶のチョコレートは色んなところでよく見かけるのですが、静岡はお茶の歴史が深く、文化が根付いているので、地元のお客さまが納得して、かつ相手企業のブランドイメージを傷つけない様な商品を作るには、僕自身責任が重大過ぎるなと思っているので(笑)

自分の中では桜エビの方がチョコレートとしてイメージしやすくて、色々と試行錯誤をして地元の再仕込み醤油と合わせることで上手くバランスが取れたので、一気に商品化に漕ぎ着けました。そしてわさびを使ったボンボンも店頭では販売していませんが、イベント限定で作ったりしています。

実はうちの商品の中では静岡県産の原料が入ってない商品の方が少ないくらいで(笑)静岡県は小麦栽培もしているので、焼き菓子系は全て県産の小麦粉を使っていますし、ホットチョコレートに使う生乳もそうですし、柑橘類も県産に拘っています。今は使っていないのはシングルオリジンのチョコレートくらいでしょうかね。

ue_mon:自分から言わないだけで、実は静岡愛に溢れているんですね!これだけ色々なことをやっているConcheなんですが、これから挑戦したいこととかありますか?

田中さん:近々の話でいくと、今までやってこれなかったお茶に関わる商品を手掛けたいと思っています。今静岡でもお茶の消費量が年々減っていて、危機的状況になっているんです。そこでチョコレートと組み合わせることで少しでもお茶の消費ができれば良いなと思っています。

現在でも直接お茶を使った商品ではありませんが、お茶と合わせて楽しんでほしいと言うコンセプトで、『オチャノトモ』と言う焼き菓子のラインナップを作っています。また、もう少し長期的な話で言うと、移転した理由の一つでもあるのですが、適正価格で高品質なカカオ豆の取引量をもっと増やしたいと思っているので、どうしたらお客さまにもっとカカオを身近に感じて頂けるかを考えながらやっていけたらと思います。

About Shop
「Conche」
静岡県静岡市葵区七間町16ー7 SOZOSYA OMACHIビル 1A(MAP)
営業時間:11:00~18:00
定休日:不定休

ue_monさん

ue_mon

通りすがりのただのチョコ好き

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Instagram ue_monにて、お酒や料理、チョコレートの情報を発信中。チョコのテイスティングの感想も上げながら、チョコレートの魅力や楽しみ方も投稿。この連載では、チョコレートの作り手、ブランドを担う人々の姿や想いを執筆してくれます。