「琥珀糖」を、みなさんはご存知でしょうか? 色彩豊かで、とびっきり美しい和菓子の一つ。砂糖と寒天を原料にし、実はお茶の席で出されるお菓子でもあります。「こはく」「干錦玉」などとも呼ばれ、外はシャリッとしていて、中はやわらかいのが琥珀糖。今回、取材先として訪れたのは、笹塚の喫茶室「シャララ舎」。まだ日本で琥珀糖が馴染みないころから美味しく、かわいく、美しい、そんな琥珀糖を作り出したのがこのお店。店主の尾高さんとともに、琥珀糖の魅力を、そしてこの「シャララ舎」という、特別な空間が生まれた秘密とともに、お届けしていきます。
もともとは千葉県の本八幡にお店があったシャララ舎さん。借りていた場所の契約の終了とともに移転し、現在のお店がある東京都の笹塚へ。新宿から5分程度と、アクセスのよいこの地。「本八幡時代から通っていたお客さんが通いやすいように笹塚を選びました。本八幡が始発で笹塚止まりの電車が多いので、乗ってるだけでいつでも来れるように」という想いも込めて、都営新宿線で本八幡から1本で来られる、この地に移転したんだそう。
シャララ舎さんの店内は、一歩入るとまるで絵本の世界に入りこんだように、特別な空間がそこに広がります。至るところに飾られた作家たちの作品、こだわりにこだわって集められたアンティークたち。
笹塚の店舗で3回目の移転ということで、お店の内装は納得いくようにできたという尾高さん。「おひとりさま」で、各々の時間をゆっくり楽しめる、そんな喫茶スペースと、お店の名前の由来、そしてなぜあまりメジャーではなかった「琥珀糖」というお菓子を選び、今のお店へとなったのか、質問しました。
Q.お店の名前の由来はどこから来ているのでしょうか?
「もともと、キラキラしたものが大好きだったんです。子どものころに読んだ大好きな絵本の中で、キラキラした不思議な木の実が出てきたのを覚えていて、琥珀糖を初めてみたときに“あの時絵本で見た木の実だ!”と思って始めたのが理由です。お店の名前は、そんなキラキラした木の実のようなお菓子、というのを表したくて最初は『キララ舎』にしたかったんですが、すでにステキなお店があったので、違うものをと考えたところで、お菓子業界で「しゃる」という言葉があり、『シャララ舎』に。この言葉の意味は、砂糖を多く含むお菓子が、製造中や保存中に砂糖の結晶が出て、もとの砂糖に戻ることを意味します。この琥珀糖ができる過程とあいまって、シャララ舎に決めました。」
このかわいらしい琥珀糖、日本でもまだ琥珀糖がメジャーではない当時に尾高さんが研究をして作りしたんだそう。10年前にインターネットで琥珀糖を検索しても58件程しか出てこない時代だったので、レシピの検索が大変でした。図書館で本を開いて、ネットで調べて、作り方を研究し、失敗を繰り返す日々。「絵本で見た、あの味が作りたい」そんな尾高さんの目標もあって、お店のOPEN後も試行錯誤をして、納得がいく琥珀糖ができたのは、なんと実に3年後。
鮮やかな色と豊かな味の琥珀糖を、フルーツピューレやリキュールなどで表現しているんだそう。喫茶室では、コーヒーのお供にも出てきて、店内でも購入することもできます。通販でも時間は少々かかりますが、対応しているんだそう。その理由としては、琥珀糖の製造過程に。寒天のゼリーが、外側に出てきてシャリシャリになるまで1週間ぐらいかかり、乾燥にとても時間がかかって大量に作ることができないからなんだそう。
そんな魅惑の琥珀糖は、喫茶室で「琥珀糖ソーダ」としていただけます。
左から「赤のレモンスカッシュ」、「青の梅ソーダ」(各650円)。魚の形をした琥珀糖が浮かべられ、まるでグラスという中で広がる金魚鉢のよう。琥珀糖が持つシャリっとした食感がソーダ水の水分を吸うことによって、変化していくのを楽しめます。
どちらも甘酸っぱく、フルーツピューレやリキュールで味付けされた琥珀糖の甘みと香りが合わさって、口の中では味のカーニバルが始まるかのように。
そしてソーダのはじけた爽やかさが、口の中で一層カーニバルを楽しく演出。どちらも琥珀糖が少量別皿で添えられていて、琥珀糖本来の食感を愉しめるよう、店主の気遣いとこだわりを感じます。
今回はここまで。次回はシャララ舎さんのお店でのルールと、喫茶室の魅惑の世界と、秘密の地下室へご案内します。
About Shop
シャララ舎
東京都渋谷区笹塚1丁目42−7 101(MAP)
営業時間:水木金14:00~20:00、土日12:00~19:00(祝日でも時間や休みの変更はありません)
定休日:月、火曜日
クリーム太朗
ウフ。編集長
編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中
Photo&Writing/Cream Taro(坂井勇太朗)
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