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目の前で“柑橘の息吹をかける”世にも珍しいショートケーキとは?「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)連載:最高のショートケーキを求めて vol.20

目の前で“柑橘の息吹をかける”世にも珍しいショートケーキとは?「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)連載:最高のショートケーキを求めて vol.20

目の前で“柑橘の息吹をかける”世にも珍しいショートケーキとは?「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)連載:最高のショートケーキを求めて vol.20

今回のショートケーキの連載は、今までと異なり、まったく新しいショートケーキを取材してきた。きっかけは、Instagramで。シェフが、ケーキを箱に詰める瞬間に“とある仕上げ”をするシーンを見て、衝撃が走った。従来のショートケーキでは、考えられない新しい発想に驚くばかり。

取材をさせていただいたのは、2021年である昨年にOPENしたばかりの中野坂上に店を構える新店舗「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」。弱冠35歳という若さでありながらシェフをつとめる、田中丸シェフのお店。いったいどんなショートケーキなのか? その秘密を探る。

中野坂上で味わえる、最高クラスの“香り”のショコラトリー

目の前で“柑橘の息吹をかける”世にも珍しいショートケーキとは?「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)連載:最高のショートケーキを求めて vol.20

まずこのお店があるのは、中野坂上。洋菓子店はほとんどなく、この地に2021年にOPEN。「ROND-POINT(ロン・ポワン)」という店名、名前の由来はパリの中心、凱旋門からシャンゼリゼ通りを繋ぐ信号のない環状交差点のこと。そこから、ショコラティエ田中丸シェフの「丸」とチョコレートを中心に、たくさんの人と人とが行き交い、そして皆と幸せを分かち合いたい、そんな思いが込められているそうだ。

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店内のショーケースを見ると、ケーキの種類は少なくメインはあくまでボンボンショコラをはじめとしたチョコレート菓子。フィナンシェや量り売りで買えるオランジェットなども。ケーキは5~6種類前後と、小さめのアントルメが1種類。

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カカオハンターやPACARIといった、厳選されたチョコレートを使ったこだわりのボンボンショコラから、季節の素材を組み合わせ、美味しさを追求した逸品まで、その品揃えも幅広い。美しい見た目のボンボンショコラは、ギフトに買う人も多いそうだ。

あっと驚く柑橘のショートケーキと、ショコラトリーがチョコの美味しさを追求したショートケーキ2つのマジック

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今回紹介するのは、この「季節の柑橘のショートケーキ」と「チョコレートショートケーキ」の2種類。チョコレートケーキを、ショートケーキの立ち位置で販売しているのも珍しい。

シンプルながら柑橘ごとにすべてを考え尽くす複雑なショートケーキ

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4月3日から始まった高知県産のルビーグレープフルーツを使ったショートケーキ。生産者も少なく、市場にも流通していないため1個あたりの単価もとても高いそうだ。その前までは愛媛県産のモロ種のブラッドオレンジを使うなど、食材選びのこだわりっぷりも凄まじい。

通常のグレープフルーツのケーキは、グレープフルーツがクリームに負けて味が出ない。そして苺と比べても相性の良くないクリームとどう合わせるか、その壁を乗り越えてまで完成させた田中丸シェフの柑橘のショートケーキは驚くほど、フレッシュでみずみずしく美味しい。

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「柑橘のショートケーキは、ショートケーキというシンプルなお菓子ながらもすごく複雑に作っています。」そう話す田中丸シェフの言葉通り、柑橘それぞれが持つ甘み、酸味、苦みを活かすために生クリーム、生地、シロップすべてを大幅に変えているんだとか。

とくに柑橘の「酸」と掛け合わせるときに分離しやすい部分もクリア。田中丸シェフの中で、美味しさの方程式がある程度頭の中にあるようで、柑橘ごとの美味しさを引き出す技は、毎月通って食べ比べてみたくなるほど。

ライブ感ある“香りづけ”というサプライズが起こす美味しさの奇跡

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この柑橘のショートケーキが珍しいのは、その見た目だけではなく最後に仕上げにある。注文を受けてから、箱に詰める前にその場でゼスト(柑橘類の外皮)を削って、振りかけてくれる。

なぜこのような手間と時間がかかる作業を始めたのか、その理由は「香り」にある。

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柑橘のショートケーキにおいて一番の特徴が香りであることから、最後に香りをつけ足すこの作業が欠かせないと田中丸シェフは話す。

またその時にできるお客さんとの「会話」の瞬間を大事にしたいそうだ。お客さんにまずワクワク感を持ってもらい、香りを楽しんでもらう。そしてその瞬間に生まれた時間で素材の説明をして、家に帰って箱を開けてもらう。最後のこの瞬間で小さなケーキ箱から柑橘の香りがふわっと広がる。そんな驚くべき計算をしている。

ただのエンターテインメントではなく、美味しさを追求し、そしてお客さんもまた美味しさの発見ができる、なんて素晴らしいケーキの在り方であろうか。

食べた瞬間に感動。チョコレートの美味しさを追求したショートケーキ

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もう1つ紹介すると、「チョコレートショートケーキ」がある。そもそもショートケーキとは何か?というところに答えのない思考の展開がどうしても広がってしまうが、それは置いておいて、今回のこのチョコレートショートケーキは、田中丸シェフのショコラティエとしてのこだわりがつまっている。

「濃厚にしようとすればいくらでもできるし、よくありがち。そこで僕は、めちゃくちゃ軽いのにめちゃくちゃクラフトチョコレートの個性的な味がするというのを目指しました。」

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その言葉通り、食べた瞬間に感じるのはコロンビア100%のカカオマス。口に入れた瞬間にメレンゲのサクッとした食感と、生地のふわっとした食感が合わさり、そして最後に口どけとしてシュワっと溶けていくメレンゲの余韻。

加えがちなパッションフルーツやプラリネをプラスせず、追求していく要素をそぎ落としてチョコレートの美味しさを追求したんだとか。

クラフトチョコレート的な美味しさを、ここまで軽い食べ応えで表現したものは他にはなかなかない。

どちらのショートケーキもかなり珍しく、軽い言葉で表現すると進化型ショートケーキであり、次世代の新しいもの。ぜひ一度スイーツ好きの人は食べてみてほしい。そしてぜひ田中丸シェフとお話して、その美味しさの魅力を聞いて、より美味しく食べて欲しいものだ。

About Shop
Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)
東京都中野区中央2丁目47−2 コートフェニックス 1階
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream Taro