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創意あふれるデザートと女性シェフの働き方の未来。連載:「夢月のショコラに恋して」

創意あふれるデザートと女性シェフの働き方の未来。連載:「夢月のショコラに恋して」

創意あふれるデザートと女性シェフの働き方の未来。連載:「夢月のショコラに恋して」

ナチュラルで繊細でちょっぴりドーリーなメイク「#夢月メイク」で、SNSを筆頭に数々のメディアにも引っ張りだこな人気ヘアメイクアップアーティスト夢月さん。久しぶりとなる連載は、夢月さんも毎月のように通うお店へ。

先日パフェ特集でも紹介した、青山にあるアシェットデセールとワインのお店「EMMÉ」(エンメ)が連載の舞台に。

夢月さんの連載らしく、チョコレートを使った究極のデザートを深掘りしていくほか、女性シェフとして活躍する延命寺シェフの働き方にもフォーカスしていきます。

豊富なワインと、夜遅くでもデザートが食べられるお店

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お店は2019年の秋、表参道にオープン。「ミシュランガイド東京 2019」にも一つ星として掲載された人気フレンチレストラン「ラチュレ」などで腕を磨いたパティシエールの延命寺美也さんとソムリエであるご主人さま、夫婦でアットホームでありながらも洗練されたデザートやワインを楽しむことができるお店。

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ワインは、フランス産を中心に300種類という充実したラインナップがそろうそう。ソムリエの信一さんが自信をもって集めたワインで、シャンパーニュも数多く揃います。

ワインは赤、白、ロゼ、そしてシャンパーニュまでグラス単位でも楽しめるほか、昼から注文することもできるところもポイント。カレーやパスタといったランチメニューもあり、ふらっと気軽に立ち寄りたくなります。

スペシャリテ「ショコラロワイヤル」が魅せるトリュフとのマリアージュ

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夢月さん「スペシャリテの『ショコラロワイヤル』について。チョコレートをデセールの一皿にする難しさ、そしてなぜショコラを一つのメニューとして加えたのか教えてください。

延命寺シェフ「もともとチョコレートが好きで、デザートメニューの一つには入れたいと思っていて。このお店で“私らしさ”を出すという意味で作ったのが『ショコラロワイヤル』です。

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実際に悩んだのがカカオ選びです。ワインよりもカカオの幅が広くて、選ぶのが難しかったです。かなりの数のビーントゥバーがあって、何をどう組み合わせようか悩みました。

実際に選んだのはKAOKA(カオカ)のリオアリバ。香りもよくて、個性的すぎることもなくバランスが良かったんです。そしてこのチョコレートは、オーガニックチョコレートの会社でフェアトレードの精神に基づき、カカオ生産者と地球環境に配慮したサステイナブルな活動を支援しているところもポイントでした。」

野うさぎの伝統料理から生まれた唯一無二の見た目

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夢月さん「初めてこのお店に来て食べたのがショコラロワイヤル。すごい美味しくて。トリュフを使ったデザートって、重たくなりがち。見た目もかわいいし、軽やかに食べられるんです。」

延命寺シェフ「濃厚さも美味しさのひとつですが、チョコレートでも私は軽やかさを大事にしています。満足感も必要だけど、“もう一つ食べたいかも”というのを目指しています。

実は『ショコラロワイヤル』の着想は、『リエーブル・アラロワイヤル』という野うさぎの伝統的な煮込み料理です。ロール状に巻いて、中にフォアグラとトリュフを入れて約10時間煮込んで、カットすると筒状になり、仕上げに真黒なソースをかけるんです。もともと前に働いていたフレンチレストラン『ラチュレ』のスペシャリテで作っていたものでした。

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それをイメージし丸い輪っかの中にフォアグラのクレームと、上にトリュフのアイス、そして周りにチョコレートの温かいソースをかけて作っています。このエピソードが意外に誰も知らないですね(笑)。

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ロワイヤルは“王様のための”という意味があり、本当かはわかりませんが昔のフランスの王様って美味しいものを食べてすぎて歯がなかったそう。歯がなくて食べられるものという意味で“ロワイヤル”とつく名前の料理は煮込み料理が多いんです。上に土のように見えるクランブルのせたり、ペッパークレスという葉っぱをのせているのは、実際に土に埋まっているトリュフを使っていることから『ショコラロワイヤル』は大地をイメージしたクリエイションにしました。」

料理の組み合わせから始まる、新しいデザート

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夢月さん「季節で変わるメニュー、そして催事でのメニューを含めて、新しいメニューはどんなイマジネーションをもとに創作をされているのでしょうか?」

延命寺シェフ「メニューやレシピは、突然神様から降りてくるわけではなく、自分の経験や引き出しから出しています。季節感を大事にしていて、その季節で食べたものの記憶がヒントに。

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例えばパフェで“うすいえんどう豆”を使ったものを作りましたが、これは私の実家で食べた豆ごはんが元です。京都が実家で、よくうすいえんどう豆を食べました。苺とピスタチオのオーソドックスな組み合わせの中から、日本のピスタチオって何かな?と思ったときにうすいえんどう豆を選びました。

デザートを着想のヒントにすると、どれも似た組み合わせになってしまうので、私は料理からヒントを得ることが多いです。」

子育てを経て行き着いた、ポジティブな延命寺シェフ流考え

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夢月さん「延命寺シェフについて、子育てをしながら、ある時はお子さんを連れながら運営をしたと聞きました。子育てをしながらも、デザートを作り続けるそのパッションの源はどこから来ているのでしょうか」

延命寺シェフ「そうですね、欲張りなだけ(笑)。このお店の物件が決まると同時に妊娠がわかりました。いずれにせよ“出産”と向き合うタイミングが来るんだから、できるところまではやるしかないと覚悟を決めました。

最初は夜メインでやろうかといっていたけれど、デザートを“あんなのやりたいこんなのやりたい”と思ってやっているうちに、“意外とできそう”と思ったんです。そしてちょうど産休を取るときに、コロナ禍で緊急事態宣言も出たこともあり、ゆっくりとマイペースに運営もできました。娘とも遊びたいし、お菓子も作りたいし、葛藤することもめちゃくちゃありました。主人の協力もあり、無事乗り切って今に至ります。

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子どもがいざ生まれた時は、最初は初めての経験に辛くて戻れないかもと思ったこともありました。でも、あきらめるという気持ちはまったくなかったです。

フランス展に出展した時は、娘を背負ってデザートを作り続けていました。預けることはできましたが“自分がみなきゃ”と思う気持ちが強くありましたね。とはいっても、どうしても人の助けを必要とする場面もあります。その時に“人に任せる”ということも大事だなと実感して、今では任せられるようになりました。

夢月さん「何かこれから子育てを考えている、女性パティシエさんたちにアドバイスはありますか?」

「いつでもいい、“思ったとき”だと思います。結果今の子供が生まれてよかったと思うはず。そう思えるようになりますよ。タイミングを迷われている方や今二人目できたらどうしようと思っている方もいらっしゃるかもしれません。でもい、子供ができたらできたでハッピーだと思います。」

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夢月さん「今後、延命寺さんが目指すデザートの道や他にやってみたいことなどがあれば教えてください。」

延命寺シェフ「今はお客さんも食べたことのある伝統菓子を取り入れたり、バランスを考えています。それも大事ですが“料理なの?デザートなの?これは何を食べているんだろう、美味しい一皿だった”というコースをやりたいですね。」

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Photo/Masahiro Noguchi