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「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)新進気鋭、田中丸シェフが感じさせる新しいチョコの世界。連載:mikiのショコラティエ探訪記

「Chocolaterie & Bar ROND-POINT by Hirofumi Tanakamaru(ロンポワン バイ ヒロフミ タナカマル)」(中野坂上)新進気鋭、田中丸シェフが感じさせる新しいチョコの世界

久しぶりのショコラティエ連載。バレンタインぶりとなる連載のリスタート2021年にOPENしたばかりの中野坂上に店を構える新店舗「Chocolaterie & Bar ROND-POINT by Hirofumi Tanakamaru(ロンポワン バイ ヒロフミ タナカマル)。

弱冠34歳という若さでお店を構え、蜂蜜やハーブの香りがたまらないチョコレートの数々で、既に多くのチョコレートファンの心をつかむ。そしてすでに地元でも人気のお店になるこのお店のシェフである田中丸シェフのルーツを深掘りしていきます。

「ROND-POINT(ロンポワン)」名前の由来とは

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お店があるのは、新宿からもすぐの東京メトロ丸ノ内線中野坂上駅。駅からは徒歩5分ほどの場所にあります。店内のショーケースを見ると、ケーキの種類は少なくメインはあくまでボンボンショコラをはじめとしたチョコレート菓子。フィナンシェや量り売りで買えるオランジェットなども。ケーキは6~7種類前後と、小さめのアントルメも。

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カカオハンターやPACARIといった、厳選されたチョコレートを産地から楽しめるボンボンショコラから、季節の素材を組み合わせ、美味しさを追求した逸品まで、その品揃えも豊富。美しい見た目のボンボンショコラは、ギフトにも。

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まずこのお店の「Chocolaterie & Bar ROND-POINT by Hirofumi Tanakamaru(ロンポワン バイ ヒロフミ タナカマル)」という名前。どこから来たのか、また田中丸シェフはどうしてショコラティエの道を進もうと思ったのか、伺いました。

Q.店名の由来を教えてください。

田中丸シェフ「名前の由来はパリの中心、凱旋門からシャンゼリゼ通りを繋ぐ信号のない環状交差点から来ています。そこから、田中丸という僕の苗字『丸』とチョコレートを中心にたくさんの人と人とが行き交い、そして皆と幸せを分かち合いたい、そんな思いが込められています。」

店名に込められた「会話」という本質

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田中丸シェフ「お店の名前の通り、僕はお店のケーキ、チョコレート、デザートを会話を通じて伝えることを大切にしているんです。生産者の人がこだわっていることをちゃんと伝える、そのコミュニケーションがあって価値をしっかりと提供していくことを基本理念としていて。ケーキを買って美味しかったね、以上の体験を提供したくて。」

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僕にとってチョコレートはミニャルディーズのようなお茶菓子、飲み物があってこそのチョコレートと考えています。

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実は実家が和菓子屋なので、お茶を飲むために、和菓子ができたというのがあってその発想に至りました。人と会話しお茶をしながらお菓子を楽しむって大事な文化だなと思います。チョコレートも、コーヒーや紅茶を飲みながら楽しんでもいいのではないかと。」

お菓子そのものの文化を学んだ、フランスでの修業時代

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Q.田中丸シェフは、ショコラティエの道にどうして歩まれたのでしょうか?

田中丸シェフ「チョコレートは、僕がチョコレートを学びはじめたころからサロン・デュ・ショコラがあって、世界規模のイベントに憧れもありました。そして高級チョコレートすごいよねって思っていた節もあったし、シェフになるならチョコレートはマスターすべきと思っていたのも理由の一つです。

日本でそれなりにボンボンショコラを作れる技術はあったけれど、チョコレートを1000箱、1万箱をきちんとしたクオリティで、どういった環境でやれば作れるんだろうと思い、渡仏することにしたんです。

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それに素材の使い方、特に興味のあったハーブや蜂蜜といった食材のことを学びたいという考えもありました。」

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Q.実際、フランスでの時間はいかがでしたか? 何か印象的な出来事があれば教えてください。

田中丸シェフ「印象的な出来事はたくさんありました。お菓子を作るテクニックではなく、やはり食文化に大きなヒントを感じましたね。お菓子の概念的なことであったり、そういうインスピレーションをすごく感じた時間でした。

フランス人って、デザートを食べるということが当たり前の文化。生活に密着しているんです。お菓子の見た目などはまったく気にしていなくて、味だけをみている。

きれいなパティスリーもあるけれど、生活にもっとデザートが密着しているような店がすごく人気です。“見ていてきれいなお菓子”よりも“食べて美味しい”が重視される国でした。

本質的なチョコレートの美味しさと向き合う

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「ジャンポールエヴァン、パトリック・ロジェ、アランデュカスといった人気のお店は現地でもすごく美味しかったです。もちろん複雑な食材の組み合わせもあるのですが、それよりも美味しさのプライオリティを置いている部分は意外とシンプルだなと思ったんです。もっと本質的なチョコレートの楽しさを追求していると感じ、僕自身もチョコレートを作る時に複雑な食材と食材の組み合わせはあまりやらないようにしています。」

Q.田中丸シェフが作る、チョコレートはどんなところを大切にし、どんなチョコレートを作られているのでしょうか?

田中丸シェフ「チョコレートは“香り”と“体験”が大事だと思っています。チョコレート一粒の話でいうと、チョコレートの箱を開けて、リーフレットを読みながら体験する。そういう風に食べて欲しいし、そういった“体験”をしながら食べられるチョコレートづくりをしています。特にラベンダーのチョコは難しいテクニックを使っていて、そういったことも本当は言葉で直接説明したいです(笑)。

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ラベンダーのチョコレートは南仏でよく見かけますが、トイレの芳香剤みたいな香りでおまり日本人の」口に合わない。本当に美味しいラベンダーのチョコってなんだろう?と逆算して作り上げました。

香り高いラベンダー蜂蜜とドライラベンダーを使っていて、ラベンダーに特性がよく似たローズマリーの香りをプラスしています。 実は香りの8割くらいが爽やかなローズマリーですが、最初にドライラベンダーの香りがきて、最後ラベンダーの蜂蜜の甘みで終わるので、とても爽やかなラベンダーのように感じます。バランスは緻密に計算しています。

チョコレートにおいて何が足りないのか、どうさせたいのかがあって、何を補うのかが頭の中ででてくるんです。餃子のタレをつくるのと同じ感覚です、ちょっと酸味たりないなとか(笑)。要するは、足し算引き算です。フランスへ行く前は、賞とったレシピだから美味しいと思っていたけれど、フランスへいって、より食べて美味しいかどうかを考えるようになりました。」

今回取材を通じて、チョコレートの考え、そして「会話」というキーワードからみるシェフの人柄を感じられるインタビューとなりました。

そんな「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」田中丸シェフこだわりのボンボンショコラと、そしてこだわり尽くされたフィナンシェを最後に紹介していきたいと思います。

ラベンダー、エルダーフラワー、蜂蜜、香りをテーマにしたチョコレート

「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)新進気鋭、田中丸シェフが感じさせる新しいチョコの世界。連載:mikiのショコラティエ探訪記

もともと蜂蜜メーカーで働いていたという田中丸シェフ。求めるお菓子の味に合わせて、色々な蜂蜜を使い分けているそうで蜜蜂が一生をかけて作り出すわずかな自然の恵みを大切に、そして確実に美味しく引き出しています。

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ボンボンショコラの中でも一番におすすめいただいたのは「シナ蜂蜜」(写真上段左から2番目)。北海道が育んだシナの木の蜂蜜で深いコクと気の香りが感じられる味わい。一粒でもここまで芳醇に香りを楽しめるものはなかなかありません。

またもう一つオススメいただいたのは「エルダーフラワー」(写真左から3番目)。旬が短く、マスカットのような甘い儚い香りのお花で果実味を感じるショコラとなっています。

その他はこだわり尽くしたバニラ(上段右から2番目)、レモングラス(上段一番右)、そして先にお話があったラベンダー(下段一番右)などといった香りを楽しめるラインナップから、カカオハンターの「シエラネバダ」(下段左から2番目)やPACARIの幻の白いカカオ「ピウラケマゾン」(下段右から2番目)といったカカオにフューチャーしたチョコレートも田中丸シェフのカカオへの熱い想いを感じられます。

「ボンボンの箱セットを作るのも楽しい」という田中丸シェフの言葉通り、「深夜のボンボンセット」などテーマの設定がわかりやすく、ストーリー性を感じます。説明のリーフレットもしっかりいれて、リーフレットを読みながら飲み物と一緒にほっとできる時間を持って帰ってほしいという想いがあるんだとか。

カカオハンターのチョコをのせて焼いた斬新なフィナンシェ

「Chocolaterie&Bar ROND-POINT(ロン・ポワン)」(中野坂上)新進気鋭、田中丸シェフが感じさせる新しいチョコの世界。連載:mikiのショコラティエ探訪記

このお店の看板メニューとなりつつある、人気の商品は「フィナンシェショコラ」。あのカカオハンターのチョコレートを割ってのせるという大胆なフィナンシェ。通常はチョコレートをのせて焼いたら溶けたり焦げてしまうところ、何度も試作を重ね絶妙な焼き加減と、このフィナンシェに最も合うチョコレートを見つけ出して生み出したんだとか。

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通常のフィナンシェ×チョコレートだと、魅力を引き出しきれなかったチョコレートの食感や香り、そしてその美味しさをこうすることで存分に引き出さたんだとか。たしかにフィナンシェの常識を覆すかのような、濃厚なチョコレートを楽しめます。冷やしても美味しいそう。

プレーンはアーモンドと発酵バターがベースにシンプルな構成ながらも香り高くて、家に帰ってリベイクして食べることをおすすめいただきました。

チョコレートが持つ無限の可能性を探りながら新しいお菓子を生み出していく、田中丸シェフ。今後の動きにも注目です。

About Shop
Chocolaterie & Bar ROND-POINT by Hirofumi Tanakamaru(ロンポワン バイ ヒロフミ タナカマル))
東京都中野区中央2丁目47−2 コートフェニックス 1階
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream Taro