ufu(ウフ)スイーツがないと始まらない。
虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

予約困難なレストラン、知る人ぞ知る名店、大人のバーetc. 今までメディアでも掘り下げてこなかった、大人のための秘密のスイーツをお届けする連載「鈴木セイラ 金曜日、秘密のデザート」。秘密のスイーツを紹介してくれるナビゲーターは、元東京カレンダーで現在はソーシャルメディアマーケティングをしている、鈴木セイラさん(@seeeraaamoon)。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

今回紹介するのは、2020年に虎ノ門ヒルズにOPENした「memento mori」(メメント モリ)。Barでありながらも、他とは一線を画すカカオをテーマにした楽園のような場所。一歩お店へ入れば、その圧倒的な世界観に誰もが虜になります。その世界を、鈴木セイラさんと一緒に誘います。

虎ノ門ヒルズで感じる異空間、誰にも教えたくない大人の隠れ家

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

東京メトロ「虎ノ門ヒルズ駅」。大人のビジネス街として、開発も進み虎ノ門ヒルズ周辺は有名店も増えつつあります。今回紹介する「memento mori」(メメント モリ)は、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーの3階。現代的なオシャレなフードコート「虎ノ門横丁」の裏で、木々が生い茂ったかのような森のような空間が出現します。エントランスから感じる圧倒的な世界観に、思わず足が引き込まれていく。

主題を森をにしたという、グリーンアーティストのBITOさんが手掛けた内装。「森の中に住むカカオの研究をするバーテンダー」という世界も、存分に感じられ、昼間に撮影してもその雰囲気は圧倒的です。

ミクソロジーの第一人者である南雲さんが手掛けるカカオの無限の可能性

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

このお店の内装やテーマ感もさることながら、バーに精通している人ならだれもが知る“ミクソロジストの第一人者”である店主の南雲主于三さん。カクテルを通じて、大きな世界観を作りだしています。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

カクテルの世界において、ミクソロジー=「混ぜる」を意味する「MIX」と「学問」「科学」を意味するOlogyが合わさった造語。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

枠組みに捉われず、素材と素材を混ぜ合わせる先を自由に追求。誰もが知るジンやラムといったお酒のベースだけではなく、フルーツを始めとしたあらゆる素材を液体化し、科学者のように“化学反応”を1杯のグラスの上で表現していく。そんな南雲さんが「カカオ」をテーマにしたのが、このお店です。カカオニブ、カカオパルプetc.カカオの原始に遡り、他では飲むことのできないカカオの無限の可能性を堪能できるBarとなっています。

カカオの原始へ。カカオパルプの美味しさと、カクテルの融合

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

このお店に来たら、ぜひ飲んで欲しいのがカカオポッドを使ったカクテル「カカオフルーツフィズ」。ベースはウォッカで、カカオパルプが主役。カカオパルプとは、カカオの実の中に入っている白い果肉のこと。そこに発酵したビネガーと、少量のクエン酸、炭酸を合わせています。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

「カカオパルプの味が中心にくるように」そんな構成で考えられたカクテルで、カカオパルプとはどんな味かがとてもわかりやすく、一度はぜひ召し上がっていただきたい。爽やかな酸味は、ゴクゴクと飲めてしまい、アルコールが苦手な人にもおすすめ。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

「グラスで出てくるよりは、こういうほうがワクワクしますよね」と南雲さん。このカカオポッドを採用するエピソードも面白く……。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

南雲さん「実はこのカカオポット、探すのにすごく苦労してどこかにないかなとめっちゃ探し行き着いた先はメルカリでした(笑)。たまたまこんな珍しいものを10個出品していた人がいて。今ではカカオポットを売っているところをちゃんと見つけましたが、当初はそんなエピソードもありましたね。」

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

そしてもう一つご紹介したいのが、シグネチャーの一つである「テオブロマ」。カカオの学名“テオブロマカカオ”から命名したこちらはカカオの魅力と世界、その奥深きフレーバーを味わうカクテル。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

そして最後は、カカオトニックとカカオを使ったハイボール。カカオの特性を一番シンプルに感じてもらうカクテルを創ろうと思って考えたという、「カカオトニック」はエクアドル、コロンビア、ペルー、ガーナ、ベトナム、インドネシア、マダガスカルなど、様々な産地のカカオ100%のニブを数週間~数か月間、漬け込んだスピリッツから選べます。

若きパティシエが手掛けるスイーツも楽しめる

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

お店の魅力はカクテルのみならず、スイーツがいただけるところにもあります。置いてあるお菓子はその日や時期によって異なりますが、大人気なのがバスクチーズケーキと、テリーヌショコラ。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

カカオハンターの「アルアコ」(Arhuacos chocolate 72%)と「シエラネバダ」 (Sierra Nevada 64%)を使用し、滑らかな口どけの中にフルーティーなカカオの美味しさがぎゅっとつまっていて、後味はスモーキーさと丸みを帯びた甘さで包むかのように。

もともとピエール・エルメで働いていたというフランス人ハーフの日高シェフが手掛けるこだわりのスイーツは、どれも奥深くレベルの高い味わいです。

店名「Memento mori」(メメント・モリ)=ラテン語で“死を忘れるな!”その意味とは?

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

この聞きなれない「Memento mori(メメント・モリ)」という単語。ラテン語で「死を忘れるな!」という意味。もともとお店のコンセプトを、ボタニカルで考えていたという南雲さん。

ボタニカル(植物)の“生”をあますことなく使うお店にしようというテーマで、SDGs的な意味合いも込めて、ごみを減らしていくという新しいバーの在り方と提案性が込められています。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

南雲さん「植物であったり、お店で使う食材(モノ)への感謝。そういうコンセプトのもとだと、レモンを絞るだけでも、果たしてレモンが必要なのかとか、ゴミをどうやって減らせるかなど、考え方や物の見方が変わりますよね。今も果物を使ったカクテルを作るときは、茶こしを使っていて果物のカスは乾燥させて、二次使用しカカオワインのフレーバーに使ったりしています。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

今回、カカオを使おうと思ったきっかけは、カカオの果肉を飲ませてもらったことから始まりました。非常に面白いなと思い、歴史を調べてみようと思ったんです。カカオの歴史は今よりも3000年以上前のマヤ文明、その後のアステカ帝国まで遡ります。そんな時代からカカオは飲料として使われていて。その後はヨーロッパへうつり、趣向品として変わっていきます。

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

そこでは女性の方が自分でカカオの工房を使って、当時の女性が好きだった“バラ”とカカオを混ぜてという記述も、残っているんです。そうやって考えていくと混ぜていく行為=カクテルにすごく近いなと思ったんです。カクテルの材料になりえるなと思っていて、カカオとボタニカルを合わせて、ここの店舗の主のコンセプトにしようと思いました。メメントモリの死をという言葉がカカオにも当てはまるなと思って、この店名にしました。」

虎ノ門にあるカカオとカクテルの秘密の花園「memento mori」(メメント モリ)鈴木セイラ「金曜日、秘密のデザート」vol.08

お酒が飲めなくても、カカオの魅力とこだわりのスイーツも楽しめる「memento mori」(メメント モリ)は、思わずずっと長居したくなってしまうような、そんな空間と南雲さんをはじめとしたバーテンダーの皆様の素晴らしいホスピタリティにも感激するものでした。

About Shop
memento mori
東京都港区虎ノ門1丁目17番1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 3階
営業時間:14:00~23:00
定休日:なし

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

メンバーの記事一覧

編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream Taro