

田園都市線・たまプラーザ駅にある、「Maison Zack Japan(メゾンザックジャパン)」。チョコレートで有名なヨーロッパの国、ベルギーから移転し、2025年12月に日本で店舗をオープンしました。
フランス人シェフが手がけるのは、単なるケーキではなく「アート」。異色の経歴から菓子業界へ飛び込んだシェフと、彼が生み出す個性豊かなスイーツの魅力に迫ります。
商業施設と自然が調和する、穏やかな街・たまプラーザ。駅から徒歩約6分の場所に佇むのが、今回取材した「Maison Zack Japan(メゾンザックジャパン)」です。
壁一面に描かれたロゴが印象的な外観。中に入ると白と黒を基調とした洗練された空間、そして自然を意識したエメラルドグリーンが広がります。高級ファッションブランドのデザイン画から着想を得ており、豪華な色を使わずともラグジュアリーさを表現できるモノクロの美しさが息づいています。

シェフのザッキンヌ・ジャン=シャルルさんはフランス出身。かつては金融業界で働いていましたが、日本滞在中に訪れたケーキ屋で、人々がケーキを通して幸せそうに過ごす姿に心を打たれ、パティシエへの転身を決意します。帰国後、周囲の反対を押し切って菓子の道へ進み、日本人シェフのパティスリー「Mori Yoshida」で修業。その後ベルギーで「Maison Zack Brussels」を開業しました。
ベルギー時代から日本の食材に強い関心を抱き、妥協のない品質に魅了されていったというザッキンヌさん。日本人の奥様との出会いを経て、パティシエとして、そして前職で得た経済学の観点から家族と店の将来を見据えた結果、日本での再スタートを選びます。そして2025年12月、人の温かさと文化が共存するたまプラーザにお店をオープンしました。

ロゴには大きなZの文字が。こちらには上向きの三角形と下向きの三角形が能動性と受容性を、真ん中の一本の線が均衡を保つことを表し、哲学的かつ深い象徴的な意味が込められています。

Maison Zack Japanで提供されるのは、ケーキというよりも“芸術”そのもの。これまで親しまれてきた伝統的なお菓子を、1つの視点からではなく、さまざまな角度から捉え直すことを大切にしているそう。新たな観点から見えたものを形にし、食べた人に新しい発見を感じてもらいたい。そんな思いが込められています。
その観点を見つける手段として、ザッキンヌさんが大切にしているのがお客さんとのコミュニケーション。「人と人とのつながりを作るコミュニティーとなるように、このお店を作りました。ふらっと入ってきて、挨拶するだけでもいいんです。経験を聞いたり、人の光る個性を見つけたりすると、ふとインスピレーションが沸くので、それをケーキに落とし込んでいます。」と話すザッキンヌさん。

「全部を好きになってもらうのではなく、いろんな個性を持つケーキを作ることで、自分のお気に入りを見つけてもらいたいです。これはあまり好みじゃないけど、これはとても好き、と人それぞれの感性をケーキに当てはめていってほしいです。」
個性が詰め込まれたMaison Zack Japanのケーキ。中でも印象的な2つをご紹介します。

ザッキンヌさんが“Maison Zack Japanらしい一品”として紹介してくださった、濃厚なチョコレートのケーキ「007」。チョコレートに包まれるのは、何層にも重なる個性豊かなフィリングです。
ベルギー時代に近所に住んでいた、タトゥーアーティストからインスピレーションを得て出来上がったというこちらのケーキ。見た目の強さとは相まって、性格は繊細でピュア。そんな人柄をこのケーキで表現しています。

スモーキーな香りが漂うチョコレートの中に、柚子キャラメル、ウイスキーのガナッシュ、そして胡椒やスパイスをプラス。一見刺激的でとても複雑な味わいかと思われますが、一口食べてみると緻密に計算された層から芳醇な香りが順番に香り、最後にすっと抜けていく。丁寧で繊細な甘さが何ともくせになります。
ベルギーでは定番メニューとして人気だったこちらの商品。日本ではバレンタインに合わせ2月末までの販売です。

スクエアの形状に丸い窪み――特徴的なデザインのこちらのケーキはシェフが日本で出会った素材を融合して作った「I Love Japan」です。
金融時代、日本に滞在していた時に初めて食べた小豆と、ホストファミリーが作っていた梅酒、その近くで作られていたという黒ゴマからインスピレーションを受けて作り上げたというケーキ。誰にでも一口食べると懐かしさとともに思い出や記憶を蘇らせてくれるものがあり、その感情を大切にしたい、というシェフの想いが込められています。

梅酒が香るガナッシュの中には、くちどけのよい黒ゴマのムースと豆の食感を残した小豆が詰まっています。爽やかな梅酒と、甘さが控えめながら香りが豊かなフィリングに、トップに乗るキャラメルがアクセントとなり、個性豊かな和の食材をバランスよく配置した、これまでにない新しい日本を表現した洋菓子とも言える一品です。

店内にはザッキンヌさんが集めているという、フランスの画家が描いた“NEO日本画”の絵も。
「ケーキを楽しむだけではなくて、文化を大切にする場として、絵の展示もしていこうと思っています。それに合わせて、イートインスペースや焼き菓子の販売も今後展開していく予定です。」

いずれはポップアップスぺ―スとして、若手の画家の絵を展示したいとおっしゃるザッキンヌさん。文化と文化が融合するコミュニティーの場として、これからも進化し続けるMaison Zack Japanに今後も注目です。
About Shop
Maison Zack Japan
神奈川県横浜市青葉区美しが丘5-1-3 たまプラーザセンタービル 1階
営業時間:木~日 10:30~17:00(日・祝は16:00まで)
定休日:月火水(水曜日に利用できるWEB予約店頭受け取りシステムを開始予定)
Instagram:@maisonzackjp

えり
ウフ。編集スタッフ
自分の“好き”であるスイーツをもっと広めたい!と前職のイベント制作から飛び出してウフ。に仲間入り。今はドーナッツを中心に日々おいしいものを勉強中。
注目記事