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プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。「mikiのショコラティエ探訪記vol.03」


今月の連載に登場するのは、若くしてサロン・デュ・ショコラに出店し、ショコラティエとして活躍する小抜知博さん。
東京は吉祥寺、大阪は淀屋橋に店舗を構え、まるで宝石のようなチョコレートやガトーが並ぶ。
吉祥寺の本店は、地元のお客さんから熱狂的なチョコレート好きまで、幅広いファンがいる人気店。

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

チョコレートはタブレットチョコレートから、ボンボンショコラ、テリーヌショコラや人気のフォンダンなど、さまざまな”チョコレートの顔”が楽しめる。
インタビュー1回目のテーマとして、数々の美しいチョコレートを作り上げてきた小抜シェフが”ショコラティエ”という道を歩み始めたや理由やチョコレートへの想いを取材しました。

お菓子に興味を持ったのは地元のケーキ屋さん。もともとは建築関係を目指していた

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

Q. もともとチョコレートがお好きだったんですか? 洋菓子界に入るきっかけを教えてください。

A.「高校3年生の夏までは、一から組みあがっていく建築や家などを見て興味があったので、建築関係の仕事につきたいなと思っていました。
塾に通って、受験勉強もしている中で、とある日に地元のケーキ屋で食べたケーキがおいしくて……。そこでお菓子づくりに興味を持ちました。
そこから、男子高校生一人でケーキ屋に行く、みたいな生活が増え(笑)。建築と同じように、一から組み立てるお菓子というものに興味を持ち、専門学校を探し始めて。そこでオープンキャンパスで、水野直己さんというショコラの世界大会の日本代表ですごい人がいると聞き。」

まだ「ショコラティエ」という存在を知らなかった当時。18歳で上京し、「水野直己」さんとの出会い

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

製菓学校を選ぶときに、たまたま教える側で立っていた京都の名店「洋菓子マウンテン」の「水野直己」さん。

Q. 水野直己先生の指導は実際どうでしたか? 印象的だったエピソードがあれば教えてください。

A. 「製菓学校だと、僕たち生徒には優しく教えてくれます。でも水野直己さんは特に厳しく、要点を的確に教えてくれて。”どうしたら美味しいチョコレートを作れるのか”という作り方というよりも”チョコレートをどう考え、どうこだわりを持っていくといいか”という、先生の考え方に、たくさんのヒントがありましたね。先生の講習を受けて、惹かれて入校を決めました。」

「人の目が留まる箇所を作れ」

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

「この言葉は、今でも印象に残っている言葉です。お菓子を作るときに、どこか1カ所、人の目が留まるような箇所を作る。そこに自分のオリジナリティを持っていく。そんな教えが、今の僕のお菓子作りにもいきています。」

言葉が悪いけど、「この人やってんな(汗)」

プレスキルショコラトリーの若きショコラティエ小抜知博の軌跡。

「当時、まだ学生だった僕にとって印象的だったのは水野直己さんが授業が終わったと、夜遅くまでずっとコンクールに向けて準備をしている姿を見たこと。朝も、夜もずっと授業以外はお菓子作りに打ち込んでいる。大人が、こんなにも本気を出してやってい姿が、当時の僕にとって衝撃的でした。言葉は悪いけど、「この人…やってんな」そう苦笑いし、その想いは尊敬でしかありませんでした。」

続いて、チョコレートづくりについても伺いました。

「チョコレートは産地ではなく、農村単位で選ぶ」

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Q. お店にはまるで宝石のようにチョコレートやガトーが並びます。チョコレートに使うカカオの量もすごいと思いますが、産地含め選び方にポイントはありますか?

A. カカオは、国によって味が変わるというより、農村単位で大きく変わるものです。よく聞く「コロンビア産」といっても、味の幅は広いんです。実際に食べて、いいものを選んでいます。インドネシアの農村にも、自ら足を運びました。カカオは、ちょっとした変化で大きく味が変わるものです。栽培→発酵→選別→焙煎。そして成形。過程それぞれが大事な意味を持ちます。とくに届いた時点でちゃんと発酵できているか確認も大事だと思っています。

「あえて口どけしにくい、カカオを選ぶ」

Q. チョコレートを作るときに、一番心掛けていることは何ですか?

A. 「僕の作るチョコレートは、口の中でチョコレートのアロマのような香りや余韻が残ることを意識しています。チョコレートは、口どけをよくするために追油して乳化剤を入れることがありますが、香りがどうしても出にくいので僕はあまり使いません。むしろ、口どけがよくないというか、流動性が低いカカオを使っています。そのほうが、後味にすごく香りとコクが口の中に残るんです。」

「チョコレートは保管も、大事な工程の一つ」

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「チョコレートで大事なのは温度管理と、保管です。チョコレートは専用の冷蔵庫に入れ、他のものは一切入れません。その理由はチョコレートがニオイにかなり敏感だから。」

「それに、チョコレートはフレッシュさも大事です。加工され、お菓子を作る際に、主流なのが小さなカレット状のチョコレートです。これを溶かし、ケーキにしたり、タブレットにしたり、チョコレートのお菓子になんでも使いますが僕はあまり使いません。理由は、酸化が早いから。作業効率がかなり悪くななりますが、ブロックのチョコレートを削って使っています。チョコレートはフレッシュさが大事なので、温度管理や保管場所に加えて鮮度も大事にしていますね。」

次回、vol.04は「小抜シェフが挑戦し続ける、チョコレートの”発酵”への挑戦」です。お楽しみに。

About shop
「プレスキルショコラトリー」

吉祥寺店
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-15-18 ( MAP )
営業時間:11:00 – 19:00
定休日:火曜日・水曜日

淀屋橋店
大阪府大阪市中央区今橋4-1-1 淀屋橋odona 2F
営業時間:11:00 – 19:00
定休日:無休(不定休)

mikiさん

miki

チョコライター

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ufu.でも連載がスタートする、平成生まれのチョコライター。チョコレート検定エキスパートも取得し、その丁寧な文章に各界からも注目を浴びる。

Photo/Ahlum Kim Hair&Make/RYO(ROI)  Writing/Cream Taro