
多くの人を魅了するスイーツの代表格となった「パフェ」。たっぷりのフルーツが盛られたものからパティシエの技が光るもの、常識を覆すお食事系ものなど多様化し、様々な見方や考察が出る中で、今回ufu.(ウフ。)は一つのグラスの上で“職人が彩るパフェ”というものに一度立ち返り、食べ手側の考察ではなく、作り手の「頭の中」を紐解く、そんなパフェ連載を考えました。美しいパフェをグラスから、スプーンから、一つ一つ紐解いていきます。
美しいパフェを毎月ナビゲートしてくれるのは、AKB48で活躍する小栗有以さん。3度に渡りセンターを務めるなど、AKB48のエースとして活躍中。最近は女優、モデル、バラエティでも幅広い活動をしており、週3サウナ•アサイーに温泉•美容•腸活で美容と健康を「#美ユイティフル」で発信。
人気アイドル×パフェ。そんな斬新な切り口で、パフェの面白さを一緒に掘り下げていきます。
第10回となる今回訪れたのは、神奈川県・茅ヶ崎発の「BONBONS DE K(ボンボン ドゥ カ)」です。

JR茅ヶ崎駅から海側へ歩いて約10分。湘南らしい穏やかな空気が流れる街に店を構える「BONBONS DE K」。
2021年7月に誕生した、グルテンフリーの焼き菓子を中心に展開するパティスリーです。国産米100%の米粉をはじめ、北海道産バター、きび砂糖やはちみつなど素材を選び、小麦粉を使わないお菓子作りを続けています。
店を手がけるのは、かつて女性誌の編集者として多くの店や人を取材してきた永島かおりさん。
年齢を重ねる中で、日々口にするものと身体との関係を考えるようになり、自身の食生活を見直した経験から、グルテンフリーのお菓子の世界へ。今度は自らお菓子を通して、人に新しい楽しさを届ける側へと転身しました。
「BONBONS DE K」を象徴する存在が、なんと35種類ものフレーバーを持つフィナンシェ。定番の味わいだけでなく、フルーツやスパイス、ハーブ、ときにはサレ系の素材まで。グルテンフリーという枠にとどまらず、「今日はどんな味に出会えるのだろう」と選ぶ楽しさそのものを提案しています。
そして、そのフィナンシェと旬のフルーツをもう一つの形で楽しませてくれるのが「パフェ」です。シェフ・パティシエの田中翔さんが自身のパフェを一言で表現するとしたら、「縁(えにし)」。
果物を育てる生産者と、それを味わうお客さま。
「パフェという一杯を通じて、その間をつなぐ存在になれたら」
今回のパフェを紐解いていくと、旬の果実を主役に据える「BONBONS DE K」の考え方とともに、店の看板であるフィナンシェまでが一つのグラスの中でつながっていることが見えてきます。

「BONBONS DE K」には、決まった一種類のパフェグラスがあるわけではありません。
カクテルグラスやワイングラスを中心に数種類を用意し、その季節に使うフルーツや、一杯の構成に合わせて選んでいます。
しかも、そのグラスとの出会い方は意外にも感覚的。合羽橋を歩きながらさまざまな器を眺め、「これだ」と直感で感じたものを選ぶのだそう。
ただし、実際にパフェを組み立てる段階では、グラスそのものが持つ役割をとても大切にしています。
透明なガラス越しに見えるのは、フルーツやクリーム、ジュレ、焼き菓子などが重なる美しい断面。まだ食べていない段階から「この層はどんな味なんだろう」「こことここを一緒にすくったら、どんな味になるんだろう」と、自然に想像が膨らんでいきます。

つまりグラスは、完成したパフェを美しく見せるためだけの器ではなく、“食べる前から始まる体験”を作る存在。そのグラスとともに選ばれているのが、シルバーのパフェスプーンです。
深さのあるグラスにも対応できるよう、持ち手はある程度長いものを使用。一方で、口に入る部分は小ぶりにしています。
女性客が多い店だからこそ、一口の大きさまで心地よく。グラスの底までしっかり届きながら、繊細なパーツも無理なくすくえること。
パフェを見ること、想像すること、そして実際に食べること。その一連の流れを、グラスとスプーンが静かに支えています。

一杯の顔ともいえるトップ。「BONBONS DE K」では、ここにその季節の主役となるフルーツをたっぷりと盛り付けます。
「まずはフルーツそのものを存分に味わってほしい」
だからこそ、トップの装飾は比較的シンプルで、何かを加える場合にも一つ明確なルールがあります。
それは、トッピングの甘さがフルーツの糖度を超えないこと。
甘いパーツを重ねて華やかにするのではなく、あくまで主役である果実のおいしさが最初に届くように設計されています。そして、ほぼ毎回トップに置かれるのが自家製アイスクリーム。
田中シェフ「ベースとなるのは、生クリーム、牛乳、水、砂糖というシンプルな材料。そのパフェに合わせてスパイスやハーブなどを加え、旬の果実とのマリアージュを作っていきます。
フルーツをそのまま食べるひと口と、アイスクリームと重ねて味わうひと口。そして同じ果実でも合わせる香りによって印象が変わるように考えています。」
主役を飾り立てるのではなく、主役をよりおいしく感じてもらうために、周りのパーツを決める。その潔さが「BONBONS DE K」のトップの美しさにつながっています。

「BONBONS DE K」が、パフェ作りの中でもっとも時間をかけて考えるというのが「中間層」。トップでフレッシュなフルーツとアイスクリームを楽しんだ後は、食べ方そのものが変わります。
田中シェフ「中の層に入ったら、スプーンを一気に底の方まで差し込んで、それぞれの層を一緒にすくってほしいんです。一つのパーツを一つずつ食べるのではなく、いくつもの素材を同時に口へ運んで口の中でそれぞれの味や香り、食感が合わさる“口内調理”によって、初めて完成するように組み立てています。」
中心となるのは、ジュレ、フィナンシェ、火を加えたフルーツ、クリーム。しかし、それぞれには明確な役割があります。
まず「ジュレ」。お酒や、果物をコンポートした際のシロップをベースにすることが多く、目指しているのは、しっかり固めたゼリーではなく、口の中ですっとほどけるような柔らかさ。プルプルとしたみずみずしい食感が、他のパーツをつなぐ役割を担います。
そして「フィナンシェ」。ここで登場するのが「BONBONS DE K」を象徴する35種類のフィナンシェです。パフェではそのまま入れるのではなく、一度砕き、さらに低温のオーブンで焼くことでサクサクとした食感へ。フレーバーは、主役となる果物に合わせて毎回変えます。
既存の35種類から選ぶだけでなく、時にはパフェのためだけのフィナンシェを新たに作ることも。焼き菓子店が作るパフェだからこその、いわば“店のアイデンティティ”ともいえるパーツです。
さらに興味深いのが、果物の使い分け。トップには瑞々しいフレッシュの果実。しかし中間層には、コンポートなど火を加えた果実を入れています。
生で食べたときのみずみずしさや香りと、熱を加えることで凝縮された甘味、変化した食感や香り。そして、それらを包み込むのが自家製クリーム。春から夏は、水切りヨーグルトを主体にした酸味のある軽やかなクリーム。
秋から冬になるにつれて、クリームチーズを主体にした少しコクのあるクリームへ。果物だけでなく、クリームにも季節の体感を持たせています。

さまざまな食感が交差する中間層を抜けると、最後に待っているのがボトムです。
最近「BONBONS DE K」が締めに使うことが多いというのがパンナコッタ。その季節のパフェに合わせてフレーバーを加え、最後のひと口には、とろりとなめらかで少し濃厚な味わいを残します。色彩としてグラス全体を美しくまとめる意味と同時に、それまでに重なってきた中間層とのマリアージュを最後まで楽しんでほしいという狙いがあります。
トップでは、フレッシュな果実。中盤では、食感や香りが入り混じる“口内調理”。そして最後は、なめらかなパンナコッタ。
一杯の中でも、食べる場所によってまったく違うリズムが設計されています。
【小栗有以さん試食後コメント】
5種類のいちじくが食べ比べできるのが凄いと思いました。いちじくは品種によって、甘さやねっとり具合が違っていて面白いし、果物の甘さが楽しめて満足感があって美味しい。カリカリのフィナンシェはグルテンフリーだけどしっかり甘さもあって良いですね。
味変にマスタードを使うのが新しい。プチプチ食感でスパイシーで刺激的だけど、アイスに合います。
2014年にAKB48 Team 8の東京都代表として加入。2018年「Teacher Teacher」で初のセンターに抜擢され、その後もセンターを務めるなどAKB48の中心メンバーとして活躍。女優、モデル、バラエティなど幅広いフィールドで活動している。
Photo/魵澤和之(まきうらオフィス) スタイリスト/大友洸介 ヘアメイク/夢月(スリーピース)
About Shop
BONBONS DE K(ボンボン ドゥ カ)茅ヶ崎
神奈川県茅ヶ崎市東海岸北3-15-34
JR茅ヶ崎駅から徒歩約10分
Instagram:@bonbons_de_k
※営業時間・営業日は変更となる場合があるため、最新情報は公式Instagramをご確認ください。
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