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”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

“和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。“和パフェ”との違いとは?

世界中から観光客が集まる京都には、純喫茶や有名コーヒーチェーン、和風カフェなど、バラエティ豊かなカフェがいくつも立ち並んでいます。京都にお店を開くなら、京町家の趣を活かしたところ。今回紹介するお店も、町屋をリノベーションして完成したお店です。

京都のメインストリート・四条通から富小路通を北に歩いてすぐの路地にある「QeFare(ケハレ)」。2023年6月にできたパフェ専門店です。暖簾がかかっていて、一見すると隠れ料亭のような佇まい。気になるこちらのお店を取材してきました。

日常を”上がって”、非日常へ行く体験をデザイン

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

「QeFare」は、「Qe(ケ)」と「Fare(ハレ)」を組み合わせたもの。何気ない日常と、特別な時間という意味です。賑わいのある四条通から路地に入って暖簾をくぐると、まずは薄暗いエントランス。店員さんに聞くと、来店した方はまずエントランスの奥にある「待合スペース」に通すそうです。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

待合スペースは照明を落としていて、間接照明が心地よく、リラックスできるような空間になっています。

食事をする席は2階にあり、席の準備ができたら2階に上がります。すぐに2階に案内しないのは、1階で過ごす時間を日常と非日常の”間”として考えているのだとか。薄暗い1階から”上がる”と、2階は広々とした落ち着きの空間が広がっています。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

暗い場所から明るい場所へ上がり、視野が広がるという体験をデザインしたかったという、オーナーの老木さん。営業は23時までで、夜パフェのお店として知られるようになったのだとか。

和の素材を使ったパフェではなく、和菓子としてのパフェ

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?
画像提供:QeFare

メニューは、開業当初から通年メニューとしてあるチョコバナナのパフェを再構築した「KASANE」と、シーズナルのパフェ。秋には栗・さつまいも・ブドウ・柿など秋の味覚をふだんに取り入れた贅沢なものなど、季節が変わる度に提供しているそう。

今回の取材では「KASANE」と同様に通年で提供する予定のもう一つの定番「和菓子のパフェ」をいただきました。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

上から季節のフルーツ大福、甘酒のアイス、和栗のムース、宇治抹茶のアイス、白玉、西京味噌のメレンゲ、山椒、国産ウイスキーのゼリーで構成。パフェのそれぞれにコンセプトを考えているのだとか。

「まずはトップのフルーツと餡子とバターを牛皮で包んで、フルーツ大福を自分で作って食べてもらいます。ちょっと楽しさというか、体験があるといいなと思って。和菓子を使ったパフェではなく、和菓子として捉えてもらえるようなパフェにしたかったんです」と、老木さん。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

現代の和菓子と洋菓子の境界がとても近くなっていて、和洋菓子と言われるように混ざっていることも多くなっています。パフェの上に乗っているあんバターを例に挙げると、餡子は和菓子のもので、バターは洋菓子のもの。

「僕は『パフェ』自体、日本で発展した日本ならではのスイーツだと思っています。和菓子も今は様々な洋菓子要素が混ざってきている。和菓子とパフェには共通点が多いんです。和菓子としてパフェを考えてみてもいいんじゃないかな、と思っています」

広く愛される大福から、下に食べ進めると徐々に見慣れない組み合わせの和×洋の層が。伝統から革新に移り変わるストーリーを表現しているそうです。和の素材を使ったパフェではなく、和菓子としてのパフェ。「そうか、そうかもしれない」と思わせてくれる気づきこそ、老木さんが提供したいものなのだそうです。

日常を少しでも楽しく。気づきを与えていきたい

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

老木さんは、実は元々パティシエではなく、現役の医師だそうです。なぜ飲食の仕事をし、お店まで作ったのでしょうか?

「医者って、日常的に困っている人を『普通』に戻す仕事なんですよ。もちろん良い仕事で、社会に貢献している。でもマイナスからゼロに戻すだけじゃなくて、ゼロからプラスのエネルギーや喜びを提供していく仕事に、すごく憧れたんです」

そんな時、東京・西荻窪の「Typica(ティピカ)」の斬新なパフェに出会い、衝撃を受けたそう。「このお店に行ってなかったら、今の自分はない」とまで言い切るほど、これまで持っていたパフェの概念が覆されたのだとか。

仕事をしながらパフェ専門店でアルバイトとして働き、一からスイーツを猛勉強。空いた時間で東京・京都・大阪の様々なパフェ店を巡ったそうです。

「美味しいもの」はすでにたくさんある。新しい発見や出会いを楽しむ体験ができるパフェを構築したいと考えているのだとか。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

「人は常に日常とは別の非日常を求めていて、非日常を体験して、また日常に帰っていきます。食べて『美味しかった』も嬉しいんですけど、非日常で出会った感性や気づきを、日常の中でも見つけてもらえたら、心はもっと豊かになれるんじゃないかと思っています。100人に来てもらって、全員にこの想いは伝わらなくても、その内の1人がそんな体験をしてもらえたら、僕としてはやりたいことが一つ達成できます」

美味しいものを食べるために辛い毎日を頑張るのではなくて、日常から少しでも楽しめるように。「QeFare」にある気づきや発見、体験で得られる楽しさは、本来は日常の中にもあるのだということを伝えたいそうです。

2024年4月からは完全予約制のパフェもスタート。しかし老木さんが本当に幸せを感じてほしいのは「ハレ」の時ではなく「ケ」の時です。日常に豊かさをもたらしてくれる「QeFare」に、ぜひ行ってみてくださいね。

”和菓子として食べるパフェ”を提供する「QeFare(ケハレ)」(京都・烏丸)。”和パフェ”との違いとは?

About Shop
QeFare(ケハレ)
京都府京都市中京区西大文字町富小路通613
営業時間:11:00~23:00
定休日:水曜日

あかざしょうこさん

あかざしょうこ

ウフ。編集スタッフ

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関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。