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捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

“カカオ”という、一つの実が昨今スイーツ界だけではなく、産業が、日本が、世界が注目し世の中を変えようとしています。カカオといえば、チョコレートを思い浮かべる人も多いでしょう。またカカオの実の話をすれば、新興国である国々と人々が栽培し、その労働問題、価格設定の問題、商品の問題と、食の裏側にある大きな問題が浮き彫りになり、持続可能な開発と社会、そしてその問題提起を想起する人もいるかと思います。

とりわけカカオの実がチョコレートというお菓子を通じて、SDGsの側面からもっとも私たちの生活に近く、自分事として捉えやすく、世界の流れを感じられるものであると、スイーツメディアであるこのufu.(ウフ。)でも何度か取り上げてきました。

今回一つの面白い取り組みが不動産・住宅情報の総合サービス「LIFULL HOME’S」を運営する株式会社LIFULLによる「LIFE OF CACAO」というテーマのもと、カカオにフォーカスしたデザートとドリンクのペアリングイベントを開催。カカオの持つ可能性を感じられる、新しい取り組みとしてのイベント「LIFE OF CACAO」、その当日の様子を取材してきました。

カカオに注目した、その理由とは?

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

今回のイベントは、新宿御苑にて行われました。イベントを主催したのは株式会社LIFULL(ライフル)。チョコレートに詳しい人ならご存じ、「フーズカカオ」と「カカオの廃材」を使用したサスティナブルで新しいチョコレートを販売しています。

地球上でまだ光を当てられていない素材にフォーカスし、その素材を食べる事が地球のためになる、新たな食材を見つけるサスティナブルなプロジェクトに取り組んでおり、今回着目したのが「カカオ」。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

新宿御苑の温室では、カカオの木をみることができました。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

2012年にリニューアルし、まるで中はオアシスのよう。生い茂った温室には世界各地の熱帯植物や新宿御苑の歴史的な植物である洋らんを楽しめるようになっています。

会場では、カカオに直目した理由と直面する問題について話すライフルの代表。カカオを取り巻く社会課題に目を向け、 7 割が廃棄されているとされる「カカオの廃材」に新たな「食材」としての着目し、美味しさだけではなく、その可能性についてお話をしていただきました。

カカオの廃材が持つ可能性に、日本で注目のシェフとバリスタが魔法をかける

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

今回の主役でもある「カカオの廃材」を使ったデザートコースとなっており、提供するスイーツは「sugalabo 」「 THIERRY MARX 」などの名店でシェフパティシエを歴任し、 2020 年に「 unis 」のシェフパティシエ、「 Social Kitchen TORANOMON 」プロデュサーに就任した 人気シェフ、江藤英樹さん(写真中央)が考案 。ドリンクは 第 15 代ワールド・バリスタ・チャンピオンでアジア人初の世界チャンピオンに輝き、コーヒーコンサルタントとして世界的に活躍している井崎英典さん(写真右)が開発。

カカオの持つ美味しさの無限の可能性を、二人のマジシャンの手により表現されたデセールとペアリングドリンクの一部始終を紹介していきます。

カカオの葉、枝、カカオ豆の殻まで。美味しさの先に見える、感動へ

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

今回のデザートコースは、カカオのすべてを使い尽くした唯一無二の内容になっています。まず登場したのが、カカオニブとカカオ豆の殻で香りづけしたブランマンジェに、カカオパルプのジュレをかけたもの。カカオパルプとは、カカオの白い実の部分で、とってもフルーティーなのが特徴的です。

「誕生」というワードが踊るように、カカオ豆の一生の始まりを表現したデザートとなっており、カカオのあらゆる美味しさと可能性を感じます。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

続いて登場したのが「根づき」の題名がついた一皿。カカオニブとカカオ豆の殻による濃厚なムースショコラが中央に。そして枝を模したチョコレートは、形を表現しているだけではなく、実際にカカオの枝のパウダーがかかっています。

“枝の香ばしさをデザートに”。それは初めての体験でした。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

3皿目として登場したのは「息吹」。カカオの葉を用いたテリーヌに、アイスクリーム、クランブル。見た目通り、森の香りを感じるひと皿で、葉をイメージした盛り付け、そして芸術的なビジュアルの表現は江藤シェフならでは。

そしてカカオの葉を使うという、新しいデザートの始まりを感じました。葉がもたらす爽快感、そして想像を超える、甘くてよもぎを感じさせるような香りと、ミルクのほのかな甘みが絶妙にマッチ。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?
捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

最後の一皿は、江藤シェフらしさが光る美しさに。苺は埼玉生まれの品種「あまりん」を使用した、甘くてジューシーな苺の花が咲き、カカオパルプのシャンティとカカオパルプのソルベがうまく手と手を結びあっているようなバランス感。「実り」という題名通り、花開く爽やかな美味しさを体感。

そして最後にもう1つ。

捨てるはずだったカカオを、農家を、そして地球を救う「LIFE OF CACAO」。食が変える未来と、カカオの可能性とは?

廃材であるカカオ豆、殻、枝、葉の素材が一つのチョコレートに。表現やたとえが難しいこの風味、でも美味しいということだけはできる。まるで農園のような、香りが漂うような、そしてクライマックスにぴったりなデザートで終了となりました。

本来は捨ててしまうものでも、こんなにも美味しいものが作れるというメッセージを感じ、そしてそれを大切にしながらお菓子を食べることで、よりよい未来を作れるのではないか、そんなイベントでした。

こうした取り組みを通じて、美味しさを通じてチョコレートの裏側を知るだけでも、人類の大きな一歩となりそうです。

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

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編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream Taro