ufu(ウフ)スイーツがないと始まらない。
繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

2022年、コロナ禍を経て食の環境も大きく変化する一年に。ヴィーガン、グルテンフリー、シュガーフリーetc.サステナブルな食のトレンドが各メディアを賑わせた中でも、今回紹介するお店は、そのどれでもありません。新しい飲食店の在り方を世に発信している大阪の「クマの手カフェ」。

心理カウンセラー養成学園として 10 年続けてきた学園が運営する、新しいカフェです。クマの手をモチーフにした、若い子たちがインスタグラムに投稿したくなるアトラクションのようなユニークな設計。その裏に隠された想いを取材してきました。

穴からクマの手が。ユニークな設計で話題に

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

大阪市中央区に9月にオープンした「クマの手カフェ」。最寄り駅は、大阪上本町駅で徒歩2~3分と駅からも近い距離に。

カフェは店内のイートインスペースがあるほか、外から受け取り食べ歩きもできる設計に。店内、そして外観には大きな穴が二つ。このお店が話題になった象徴“クマの手”がこの穴から出てきます。

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

メニューは、オリジナルの季節で変わるパフェやドリンクなど。歩きながら食べられるラインナップとなっています。

ふわっふわもこもこのクマの手から受け取る新鮮さに動画や写真を撮る人が続出。一躍大阪でも有名に。そのユニークな設計の背景には、対面しなくてもいいというメリットと、そこで働く“繊細な人たち”の姿がありました。

心理カウンセラー養成学園が作る、繊細な人たちが働ける新しい環境

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

このカフェを運営しているのは、心理カウンセラー養成学園として 10 年になる「メンタルサポート総合学園」(大阪府八尾市)、平村雄一郎学園長。海外の事例を参考に、繊細な人がカウンセラーなど専門家の支えを受けながら安心して働けるようにと環境を整えた同店舗をOPENさせました。

現代社会の問題の一つでもある“生きづらさ”。様々なそんなメンタルの繊細な方々 (うつ ・ 引きこもり ・ パワハラで離職 ・ HSP 等々) が安心して働ける職場をつくりたい、そんな想いから誕生しました。

社会復帰への足がかりとして、 リハビリの場所としても大事な位置づけになるこのお店は、対面接客をしなくてもクマの手でお客さんに商品を提供することができる、そんな発想のお店です。

未経験から始めたカフェが成長の場に

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

カフェを運営する経緯やその想い、そして働く人たちについて、今回は店長でありカウンセラーでもある川井田さんとプレスの福﨑さんにお話を伺いました。

川井田さん「繊細な人たちが働くリハビリの場として、またそういった方々が当たり前のように働ける新しい働き方の提案として、このカフェを始めました。飲食で様々なジャンルがありますが、老若男女問わず誰でも一番立ち寄りやすいカフェにしました。気軽な気持ちで始めたカフェでしたが、あまりにも多くのメディアに取り上げられ、反響もいただけてびっくりしています。

今は4人ぐらいの繊細な人たちが働いています。面接も、それ自体がカウンセリング面接となっていて、その繊細な方々にとって働く上で“どういうところがひっかかり働きづらいのか” “どういう作業が苦手か” そういうことを一つずつヒアリングして、繊細な方々の“ここの部分をこう伸ばしたい”というのを探っていくんです。面接だけで大泣きする方も過去にいらっしゃいました。」

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

川井田さん「現場では、繊細な働く子たちとは、ポジティブなフィードバックを毎日しています。“今日何が嬉しかったか”ということや“どういうことをして気持ちが上がったのか”など。ポジティブなことを口に出すことによって、今働いていることが“楽しい”と捉えてもらい、明るく前向きになってもらえたらと考えています。

ここで働くことで引きこもり傾向だった子が、半年ぐらい働いた後にカウンセリングさせてもらったら、今まで自分を責めていたのが楽になったとか、前ほど周りを気にしすぎなくてよくなったとかプラスになることもありました。」

“民間でどこまでできるであろうか?” 就労支援とは違った新しい挑戦

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

川井田さん「このカフェのお話を学園長から最初いただいたときは、びっくりしました。お店を作って、今までにない働き方を提案するこの取り組みは新しいと感じました。私自身もメンタルのカウンセラーとして長年つとめてきて、繊細な方々の気持ちに寄り添っていくこと、働く場所を確保することを考えながらも、また学んでもらうことを考え、就労支援とは違った取り組みでこのお店をやっていくことは“挑戦”でもありました。この取り組みを、民間でどこまでできるのか。またカフェとしても、美味しさやかわいさからお客さんにどうやって気に入ってもらえるのかも考えました。」

カフェというスペースが生む、人と人との絆と無限の可能性へ

繊細な人たちが働く「クマの手カフェ」(大阪)が切り開く、新しい働き方と社会へのメッセージ

川井田さん「これからのクマの手カフェは、ここでカウンセラー養成講座をやったり、ここだからできることを考えて次のステップを考えています。このカフェから、何を深掘りしていけるんだとうか?というのをもっと、もっと突き詰めていかなければいけないと思っています。

最近は、人気のあるイラストレーターさんの個展もここで開催させていただきました。アートを通じて、色々な人がここに集まり、交流の場が生まれてくると感じています。ただクマの手が出てくるのではなく、繊細な方々も集まれるようなそんな憩いのような場にできたら。辛いと思った時に、誰かとつながることで楽になれるなら、ぜひこのクマの手カフェに来てもらいたいですね。」

About Shop
クマの手カフェ
大阪市中央区上本町西5-3-11
営業時間:11:00〜18:30(水木日)、11:00〜19:30(金土祝)
定休日:月・火(祝日営業)

クリーム太郎

クリーム太朗

ウフ。編集長

メンバーの記事一覧

編集責任者。ショートケーキ研究家として、日本全国のケーキを食べ比べる。自身でも、ケーキやチョコレートの製造・販売を目指すべく、知識だけではなく実技も鍛錬中

Photo&Writing/Cream Taro