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文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03

文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03

まだ梅雨は続きますが7月に入り、2021年も折り返し。今月からは季節の上生菓子と共にその時候の文化やちょっとした豆知識などお話していけたらと思います。

突然ですが皆さんは「月雅称」という言葉をご存知でしょうか? 「和風月名」とも言い、「睦月」、「如月」、「弥生」など月の異名の事をいいます。

7月の月雅称は文月

その語源は様々あり、新暦と旧暦で季節のずれはあるのですが7月7日七夕に書物を夜風に曝す風習があり7月は文披月(ふみひろげづき)と呼ばれるようになりそれが転じて文月になったという説もあります。梅雨があければいよいよ本格的な夏の到来。

錦玉製で、涼やかな。古来から親しまれる『金魚』

文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03

今回紹介するのは、錦玉(きんぎょく)製の『金魚』です。錦玉とは寒天を煮溶かしてそこへ砂糖や水飴を加えたお菓子。このお菓子は爽やかに檸檬の香りもほんのりとつけて。

文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03

古くから日本人に親しまれている金魚が、ゆらゆら泳ぐ姿を切り取ったような意匠。

流し合わせのタイミングが重要

製作は、一度に40個分流せる羊舟と呼ばれる型3枚分で行われます。4層に分けて流し合わせ、その間に金魚は大納言かのこ豆や緑羊羹などを配置していきます。

流し合わせのタイミングが重要で、タイミングが遅いと下の層と剥がれてしまい、早いと層が崩れ40匹の金魚が一斉に泳ぎだして収拾がつかなくなります。

錦玉を賽の目に切って餡に付けて、紫陽花を表すお菓子や薄く流した物を巻いたお菓子も

文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03
文月に、涼やかに泳ぐ錦玉製の「金魚」に見とれて「三納寛之の“ときめきの和菓子”」vol.03

錦玉を賽の目に切って餡に付けて紫陽花を表すお菓子(写真下)や薄く流した物を巻いたお菓子もあります。写真上の菓銘は「天の川」といいます。

錦玉ひとつをとっても、さまざまな表現があるのが奥深く、ときめくところですね。

夏になるとお菓子も見た目も涼やかに、葛や寒天を使ったものが多くお店に並ぶようになります。是非お近くの和菓子店で和の涼を感じていただけたら嬉しいです。