

焼きたての香りが漂う店内に並ぶのは、毎日の暮らしにそっと寄り添う焼き菓子たち――2026年3月、東京・北区にオープンした焼き菓子専門店「未来菓子店」は、オープン前からSNSで注目されていた話題の新店! 今回は、お菓子作りへのこだわりや、地域とともに描いていきたいこれからの展望について、オーナーの吉田未来さんにお話を伺ってきました。

「未来菓子店」は、最寄りの西巣鴨駅から徒歩約5分。周辺には集合住宅や学校が多く、ファミリー層や学生の往来が多いエリアにあります。赤レンガと木材を用いた外観が印象的でありながら、過度な装飾を抑えたシンプルな佇まいが特徴です。当時パティシエとしてメーカーに勤務しながら、夜は大学院に通っていた吉田さんが、修士課程修了の段階で「次のステップに進みたい」と考えたことをきっかけに、2025年8月頃から出店を決意したのだそう。

店内に入ると、コンパクトなショーケースからも伝わる、食べ応えのありそうな焼き菓子がお出迎え。その日に並ぶ商品は、仕込み状況により変わりつつ、吉田さんが「やってみよう!」と思ったお菓子が並ぶこともあるのだとか。新商品に出会えたときはかなりラッキーです!
そんな「未来菓子店」は、焼き菓子をメインとするパティスリー。さまざまなスイーツがある中で、焼き菓子を選んだ理由について伺うと、
「1番の理由は、単純に私が焼き菓子好きだからです。ほかのケーキ屋さんに行っても、生菓子より焼き菓子ばかり買ってしまうんです。これまでパティシエとして歩んできた中で、焼き菓子も作りたて、焼きたてがおいしいなと感じていました。ただ、一般的にはギフト向けで長期保存できる焼き菓子が多いですよね。だからこそ私は、焼きたてならではのおいしさをそのまま提供したいと思ったんです。」と話します。
―なぜ出店場所として「西巣鴨」を選ばれたのでしょうか?
「最初は渋谷区や新宿区で物件を探していました。家賃面での課題もありましたが、何より『お店を長く続けること』を最優先に考え、固定費を抑えられる立地を検討していました。そんな中、複数の路線が利用できるこの場所に出会い、この場所に決めました。遠方からでもアクセスしやすいので、ぜひ多くのお客様に足を運んでいただけたら嬉しいです。」

大学で経営学を学んできたという吉田さんが、「未来菓子店」というブランドをどのように作り上げていくかを考えた際に「店名」はもちろんのこと、「ロゴ」を特に重要視したのだとか。
「未来菓子店」という名前は“一目見てお菓子屋だということが伝わること”と、他店とどのように差別化するかを考えた結果、自分の名前を使うことが一番手っ取り早いのではないか、ということから名付けたのだそう。
そして、当初の予定よりも早い段階で考案されたというロゴは、白地に赤い線で描かれたシンプルなデザイン。吉田さんが好きだという“将棋”をモチーフにしており、どこか和の趣を感じさせます。さらに「未来菓子店」に使われている木材も、将棋に使われる木材のイメージに近づけて選ばれたもので、吉田さんのこだわりが細部にまで反映されていました。
オープン以来じわじわとファンを増やしている「未来菓子店」。初めて訪れるならまず味わいたい、お店自慢のおすすめ商品3種を吉田さんに紹介していただきました!

吉田さん:「毎日焼き上げること」をお店のルールにしています。フィナンシェは焼きたての日が最もおいしく、その魅力をまず味わっていただきたいと思っています。ただ、2日目になると生地がしっとりとし、バターの香りがより際立って感じられるのも特徴です。焼きたてから日を追うごとに変化する食感や風味を楽しめるのも、フィナンシェの魅力のひとつですね。
取材に伺った際には、新商品として販売されていた「フランボワーズフィナンシェ」にも出会いました。しっとりとした生地は定番のフィナンシェと共通していますが、フランボワーズの甘酸っぱさがアクセントとなり、ひと口ごとに華やかな味わいが口いっぱいに広がります。出会えた際はぜひ2種類ともチェックしてみてください!

吉田さん:瀬戸内産レモンを使ったレモンケーキは、「思いつきで作ってみたものが意外とおいしくできて、それなら商品化してみようと思ったんです」と店主。口に入れた瞬間にレモンの爽やかさが広がるよう仕上げた自信作で、すでにリピーターも多いのだそう!
ショーケースにはパウンド型のレモンケーキが並んでいますが、1カットも大きいので、その存在感は抜群。思わず目を奪われてしまいます。

吉田さん:私が1番美味しいと思う商品です。前職でも製造していたキャロットケーキは、独立してからも絶対に作ろうと思っていたくらいなんです。キャロットケーキは「香りをどう付けるか」だと思っていて、このお店ではオレンジとシナモンで仕上げています。
上に乗ったフロスティングは、ほどよい甘さとすっきりとした後味が魅力。しっとりとした生地に加え、食べ応えのあるボリューム感もあり、満足度の高い一品です。

お話を伺っていると、吉田さんは意外な経歴をお持ちのパティシエだったのです。まずは、パティシエの道に進もうと思われたきっかけから伺っていきます。
「実は、最初からパティシエになりたいと思っていたわけではないんです。本当はパン屋さんをやってみたいなと思っていました。ただ、高校生の頃に見ていた求人にはパン屋の募集がなくて、たまたまパティシエの求人があったので『やってみよう』と思い就職しました。でも実際に働いてみると、パティシエの仕事もすごく面白くて、そのまま続けるようになりました。」
最初の就職先として選んだのは、日本料理のレストラン。その後約3年を経て、知人の紹介でベルギーのホテルにあるミシュラン二つ星レストランにて約1年ほど経験を積み、帰国後もパティスリーやレストラン、さらには前職のメーカー勤務など、さまざまな場所でパティシエとしてのキャリアを歩んできたのだとか。
パンが好きということから、パン屋を目指そうとしていた吉田さんが、最初に勤務したレストランでデザートを担当したことがきっかけで、“スイーツのおもしろさ”に気づいたそう。
「同じスイーツでも、使うお皿によって表情が変わるんですよね。パンと比べると、その表現の幅の広さがスイーツの魅力だと感じました。」
―お菓子を作る上で、吉田さんが大切にされていることを教えてください。
「一言で言うと“安定供給”ですね。毎日食べたいお菓子をちゃんと毎日届ける、ということ。感動的な一品を提供することよりも、いつ来ても変わらない品質の商品を安定して提供し、お客様との信頼関係を築いていくことが重要だと考えています。」

長年スイーツ業界に携わっている吉田さんに「未来菓子店」で提供しているスイーツ作りにおいて大切にしていることを教えていただきました。
「正直、まだ材料に対して大きなこだわりがないんです。あまりこだわりすぎると原価が高くなってしまうので。こだわるというよりかは、身近にあるものを使って、手に取っていただきやすい価格でご提供するためのスイーツ作りを心掛けています。そうでないと、私が掲げている“安定供給”から外れてしまうので…」
店頭に並ぶ焼き菓子のラインナップは、定期的にSNSで発信しているそうで、その中には新商品が記載されていることも。商品開発を行う上でのポイントを伺うと、「季節感を出すことを意識するようにしています。春だと彩りの意味も込めて、抹茶を使ったスイーツをご用意しています。」まだまだラインナップは増えていくとのことなので、ぜひチェックしてみてください!

焼きたてのスイーツが楽しめる「未来菓子店」。近い将来、ギフト商品の展開も視野に入れていると吉田さんは話します。「現在はご自宅で楽しんでいただく商品を中心に販売していますが、贈答用としてもご利用いただけるよう、準備を進めています。」
そして、この地と深い関わりのある「フィナンシェ」を軸に、ブランド化にも力を入れていきたいとのこと。
「北区はフィナンシェとの親和性が高い地域なんです。渋沢栄一ゆかりの地でもありますし、金融を意味するフランス語に由来するフィナンシェと、この地域の歴史を掛け合わせることで、地域経済の発展にも貢献できるような取り組みができればと考えています。」
地域に根ざしたスイーツの楽しみ方を広げながら、フィナンシェを軸としたブランドづくりやギフト展開など、地元との結びつきをどのように深めていくのか。今後の展開とともに、その広がりにも期待が高まります!
About Shop
未来菓子店
東京都北区滝野川6-8-3 柳下ビル 1F
営業時間:14:00〜19:00
定休日:月曜日・火曜日・日曜日(詳細は公式Instagramにて)
公式Instagram:@mirai_kashiten

もか
ウフ。編集スタッフ
製菓学校卒業後、美味しいお店と商品を広めたいと思い、洋菓子販売と飲食店専門の広告代理店を経てウフ。編集部へ。チョコレート、ピスタチオスイーツが好き。
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