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「ゴ・エ・ミヨ 2023」ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

フランス発祥、世界15カ国で発行されているレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」。レストランシェフを始めとして、パティシエやソムリエ、生産者など、飲食に携わる“人”にフォーカスしたガイドで、日本でも数々の有名シェフが受賞しています。

今年の「ゴ・エ・ミヨ 2023」では、青山にあるアシェットデセールとワインのお店「EMMÉ」の延命寺美也シェフが「ベストパティシエ賞」を受賞! 今回は、ufu.編集部が授賞式に潜入し、独占インタビューをお届け。受賞の心境やデザート作りへの想い、今後について、お話をお聞きしました。

レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ 2023」ベストパティシエ賞とは?

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

日本では2017年から始まり、今年で7年目となる「ゴ・エ・ミヨ」。毎年注目を集める「今年のシェフ賞」をはじめ、「明日のグランシェフ賞」や「期待の若手シェフ賞」をはじめとした9つの賞があり、シェフやソムリエ、パティシエ、生産者など、総勢12名が受賞しました。

「ベストパティシエ賞」はその中のひとつで、『デザートの独創性と個性を特に際立たせ、かつコース料理の締めくくりにふさわしいレストランデザートを提供しているパティシエ』に贈られます。

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

授賞式では、「今年のシェフ賞」を受賞した神田裕行シェフ(日本料理 かんだ)をはじめ、「期待の若手シェフ賞」を受賞した糸井章太シェフ(オーベルジュ オーフ)、児玉 智也シェフ(アシッド ブリアンツァ)、そして「ベストパティシエ賞」の延命寺シェフなど、受賞したみなさんが順番に記念プレートを受け取りました。

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

授賞式後の会場では、延命寺シェフのスペシャルデザート「パルファンショコラ」を、「ベストソムリエ賞」を受賞した若林英司さん(エスキス総支配人)のペアリングワインと頂ける贅沢なコラボイベントも!

「パルファンショコラ」は、桜を使わずに桜の香りを表現した一皿。チョコレートテリーヌの上にビターチョコレートのカップ、中にはバヌアツチョコレートムースとトンカ豆のアイスクリーム、ほぐした柑橘を合わせ、華やかな紅色のビーツのチップをあしらった逸品。柑橘やトンカ豆の甘く爽やかな香りと、濃厚なチョコレートのハーモニーがたまらない一皿でした。

新たな風が吹く飲食業界のロールモデルへ。「記憶に残る一皿を作り続ける」延命寺シェフの想い

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー
夫の信一さん(「EMMÉ」ソムリエ)と延命寺シェフ

「EMMÉ」は、東京の青山に2019年9月にオープンして今年で4年目。お昼はデザート、ディナーはワインとお料理を中心に提供しています。ソムリエである夫の信一さんと二人三脚でデザートとワインのお店として開業し、スタッフも増えたことで現在はレストラン形態になっています。延命寺シェフは、デザートだけでなく料理も担当するハイブリッドなお方。

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

Q.「ベストパティシエ賞」の受賞、おめでとうございます。まずは今の心境を教えてください。

「⾝に余る賞にとにかく驚いています。いつも⽀えてくださっているお客様や、関係者の⽅、スタッフの皆と、そして主⼈と娘に感謝しています。この賞に恥じないよう、これからも頑張っていきます。

またこの受賞をきっかけに、『EMMÉ』が評価をされる立場になったのだなと、自覚しなければならないと思いました。デザートとワインがただ美味しい店ではなく、料理やサービスの強化もどんどん力を入れていきたいです。開店当初は夫婦で切り盛りする予定だったので、スタッフが増えて厨房が狭かったりと不便な点もありますし、少しずつ改善していきたいですね」

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー
トリュフやフォアグラを取り入れた延命寺シェフのデザート「ショコラ・ロワイヤル」

Q.今後、料理にも力を入れたいということですが、具体的に考えていることはありますか?

「今、コースの構成はデザートも料理もどちらも私が考えているので、デザートに使った食材は料理に使わないとか、好きなようにしているのですが(笑)。料理に本格的に力を入れるのであれば、料理人の雇用も必要。そうなれば、深くディスカッションして詰めていく必要があります。今後、そういったフェーズが来るのではと思っています」

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー
お店「EMME」外観

Q.近年の「ベストパティシエ賞」は、2020年は「Restaurant L’aube」の平瀬祥子さん、2022年は「FARO」の加藤峰子さんと、女性パティシエが増えていますね。この傾向について何か感じることはありますか?

「時代が、大きく変化していることを実感しました。飲食業界も、私も働き始めた当初は男性社会だと思っていたけれど、今は女性にしかない良さや感性を見出してもらえる環境になったかなと感じます。

『EMMÉ』にも、女性と男性どちらもいますが、それぞれにしかない良さがある。スタッフの子たちにもそういった魅力をもっと引き出してあげたいし、見出す力をつけてほしいですね。女性には、子どもを産んでもバリバリ働ける環境をつくってあげたいです」

2023ベストパティシエ賞受賞。「EMMÉ」延命寺シェフ独占インタビュー

Q.延命寺シェフが、デザートに懸ける想いを教えてください。

「デザートは、お料理のコースのなかで、一番最後を飾る存在。つまり最後の〆なので、一番お客さんに印象を残さないといけないところだと思います。常に志しているのは、“記憶に残る一皿”。私自身、35年間生きてきて、自分の中の記憶に残っている一皿って、まだ片手で数えられる程度なんです。『延命寺さんのあのデザートがおいしかった、忘れられない。』という一皿を作っていきたいと思っています」

About Shop
EMME
東京都渋谷区渋谷2-3-19 ローゼ青山ビル1階
営業時間:12:00~15:30、17:00~23:30
定休日:火曜

Photo/Cream Taro  Writing/Nanako Maeda