ちょっと変わった店名に、スタイリッシュなコンクリート調の店構え。森ノ宮の住宅街にひっそりと現れる「パティスリー キュージューキューパー」は、一度見たら忘れられない存在感です。
気になって取材してみると、そこにはリーガロイヤルホテル出身のシェフがひとりで切り盛りする、想像以上に本格的で個性的なパティスリーでした。ショーケースをのぞく瞬間のワクワク感は、まさに“大人のご褒美タイム”そのもの。今回は月数回のレアパフェも合わせて取材してきました!
大阪・森ノ宮駅から歩いて数分。住宅街の一角に突然現れる、コンクリート調×全面ガラス張りのスタイリッシュな建物。そこが「パティスリー キュージューキューパー」です。名前だけ聞くと「なにそれ?暗号?」と一瞬思ってしまいますが(笑)、由来は“スイーツに+αの楽しみを足して100%にしてほしい”という想いから。
店内に入ると、打ちっぱなしの空間にずらりと並ぶショーケース。週末は15種類ほど、平日でも12種類以上のケーキやマカロンが顔を揃えます。シュークリームやカヌレまであり、どれも美しく整ったフォルムで「全部ください」と言いたくなる光景。
驚くのは、これらをすべてオーナーの宮内シェフがひとりで仕込んでいること。リーガロイヤルホテルで研鑽を積み、32歳で独立。まだ1年半の新店ながら、その完成度の高さはホテルクオリティ。隠れ家的な立地に「知る人ぞ知る」お店を構えたのも、宮内シェフのこだわりです。ひとりで作り続ける前提で大容量オーブンや冷凍庫を導入するなど、準備から本気度が伝わってきます。
まずいただいたのは「P125」。名前からは謎ですが、これはヴァローナ社のチョコレート“P125 クール・ド・グアナラ”を使ったガナッシュケーキ。カカオの香りを125%引き出すというだけあって、とにかく濃厚。
口に入れるととろけるガナッシュ、土台のシュクレタルトのサクサク感…チョコ好きにはたまらない一品で、「もう今日はこれで満足」と思えるほどでした。
次に印象的だったのが、大阪・万博イヤーに合わせた限定スイーツ「ニーゼロニーゴー」。赤と青の大胆なコントラストに、思わず「これ、ケーキ?」と二度見。バナナのムースをホワイトチョコでコーティングし、赤いグラサージュと青いクッキーで仕上げた遊び心満載のケーキです。
口に入れると驚くほど滑らかで、まるで飲めるムース。固いムースは好きじゃないという宮内シェフらしい一皿でした。
さらに外せないのが「フレーズフロマージュ」。シェフがパティシエ3年目に考案した思い出の品をブラッシュアップ。チーズクリームにいちごムース、ピスタチオのビスキュイを重ねた断面は“映え”必至。
見た目の可愛さと、甘酸っぱさ+ナッツの香ばしさのバランスに心が躍ります。
そしてサプライズは、8月から始まった“パフェ”。イートインがないはずのお店で、どうやって?と思ったら…なんと徒歩1分のアート&カフェ「Nima Store」を間借りして提供。完全予約制、最大24食限定だそうです。取材日はちょうど初披露で、いただいた「Melba -メルバ-」はクラシカルなピーチメルバを現代風にアレンジ。
15種類以上のパーツを組み合わせ、レモンの酸味やミントの清涼感も効いた、夏らしいすっきりした味わいでした。
「全部ひとりでやってるのに、この遊び心と完成度…すごすぎる!」と思わず脱帽。ケーキもパフェも、甘さの奥にシェフの物語が感じられるラインナップでした。
「キュージューキューパー」という店名には、“スイーツに自分だけの楽しみを足して100%にしてほしい”という願いが込められています。すべてをひとりで仕込みながらも、ケーキやマカロン、限定パフェまで幅広く手がける宮内シェフ。その中でも特に、カヌレやシュークリームは自信作だそうで、「いつかは専門店として出してみたい」という夢も語ってくれました。
もちろん、「まずはこの店をしっかり軌道に乗せないとね」と笑うシェフの表情からは、真摯な覚悟も伝わってきます。森ノ宮の隠れ家パティスリーは、これから先さらに進化していく予感。次に訪れるときは、また新しい“幸せ”に出会えるかもしれません。
About Shop
パティスリー キュージューキューパー
大阪府大阪市中央区森ノ宮中央2-11-21 ROSSO 1F
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月曜日
Instagram:@cafe_99percent
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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