
今や社会現象となっているアフタヌーンティー。その人気ぶりは日本だけでなく、ヨーロッパのラグジュアリーホテルも本場ならではの進化を遂げ、現地の方々だけでなく、観光客にも大人気となっています。昨年に続き、フードジャーナリストであるわたくし、岩谷貴美が現地まで赴き、本場の臨場感あふれるアフタヌーンティーを体験してきました。フランスの名門ホテル4軒の魅力をお伝えします。


2011年開業。かつては貴族の館が建っていた歴史のある土地に、東洋のホスピタリティとフランスの美意識を融合させた佇まい。こちらのホテルが、“都会のオアシス”と称されているのは、石造りの外観の奥に広がる広大なインナーガーデンの存在。そのガーデンが眺められる空間は解放感があり、のんびりしたティータイムを楽しめます。

スタンドの上段と下段には、いちごやブラックベリーなどのフルーツを使ったスイーツ。中段は、スモークサーモンをロール状に巻いたサンドイッチなどのセイボリー。さらに、メレンゲやバニラクリーム、フレッシュメロンを盛り付けた大きなタルトがの別皿でドーンと提供されます。スイーツはどれも果実のジューシーさや酸味がいかされているので、飽きること無く、次から次へと手が伸びます。

別皿の大きなタルトはかなりのボリュームなので、2人でシェアしても余ってしまうのですが、パリのホテルでは、食べきれないスイーツやセイボリーをテイクアウトさせてもらえるのが嬉しいところ。ホテルのお部屋に戻ってから、ゆっくり味わい尽くせました。

また同じフロアには、クロワッサンやパンオショコラなどヴィノワズリーを販売しているショップもあります。ルーヴル美術館やチュイルリー公園、ヴァンドーム広場からも徒歩圏という、パリの中心地に位置しているので、レストランでゆっくり食べる時間が無い時などに、覚えておくと便利です。

About Shop
マンダリン オリエンタル パリ(Mandarin Oriental, Paris )
251RueSaint-Honoré,Paris,75001,France

パリ8区、エリゼ宮からほど近いフォーブール・サントノレ通り。オートクチュールのメゾンが軒を連ねるこの通りにあり、1925年創業の老舗パラスホテルで、1世紀にわたりパリ社交界を見守ってきました。

かつては、ココ・シャネルやパブロ・ピカソ、クリストバル・バレンシアガなどが足繁く通い、ファッション、芸術、外交の名士たちを魅了してきました。白を基調にしていてフレスコ画で飾られた「カフェ・アントニア」では、曲線をいかしたスタイリッシュなスタンドのアフタヌーンティーが提供されます。

ジューシーないちごを使ったタルトは、薄焼きの生地と濃厚なクレームが一体となり、果実の酸味を引き立てていました。その他のプティガトー(パブロバや、タラゴンクリームと苺のタルト、塩キャラメル入りブリオッシュのタルトなど)も、さまざまな食感を楽しめながらも、甘さを抑えた軽やかな味わいでした。
別皿に盛られたピスタチオのジェラートもいちごとよく合っていて爽やか。

セイボリーは、 ふっくら焼き上がったパン生地にロブスターがたっぷりサンドされたものと、焼き目が香ばしいパン生地に塩味がしっかりのハムがサンドされたものの2種類。奇をてらわず、クラシックを丁寧に磨き上げた構成でした。アーモンドスライスが散りばめられたスコーンは外側はサックリと、中は驚くほどしっとり。コンフィチュールとクロテッドクリームを重ねると、小麦の香りがふわりと広がりました。
100年の歴史を刻む空間でいただくアフタヌーンティーは、華やかさに加えて“格式”を体感するひとときでした。
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ホテル・ル・ブリストル(Le Bristol Paris)
112 rue du Faubourg Saint-Honore,Paris,75008,FRANCE

2021年、シャンゼリゼから程近いジョルジュ・サンク通りに開業。ホテルの建築・内装デザインは、ミラノを拠点に活躍する建築スタジオのアントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィール氏が担当していて、イタリアの美とフランスの美が競演しています。アフタヌーンティーは、落ち着いたシックなデザイナーズ空間のラウンジで提供されます。


シルバーの3段スタンドには、伝統的なイタリアンドルチェのカンノーロ・シチリアーノを軽めにアレンジしたものや、ブルガリのロゴ入りチョコレートプレートが乗ったミニサイズのマリトッツォ・チョコレート、アプリコットのタルトなど5つのスイーツが並んでいました。

1番下の段には、生ハムメロンやミニバーガー、トマトソースたっぷりのパイという3種類のセイボリーが乗っていました。しっとりとしたオレンジのスコーンは、ジノリ1735の磁器食器の器の中に入っいて、マスカルポーネクリームやジャムをトッピングするスタイル。クロテッドクリームではなく、マスカルポーネクリームというなのが、イタリアらしい発想。

そして、このスコーンも食べきれない分は、持ち帰る事が可能で、ゴージャスなブルガリの紙袋に入れて頂けました。
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ブルガリ・ホテル・パリ(Bvlgari Hotel Paris)
30 Avenue George V75008 Paris 8

2021年開業。パリ郊外にあるヴェルサイユ宮殿の広大な敷地内にあり、1681年に建てられた歴史的建造物をリノベーションしたホテルです。ホテル内のレストランはフレンチの巨匠アラン・デュカス氏が監修しています。
アフタヌーンティーは、解放感溢れるテラスや美しい調度品に囲まれたレストランのウェイティングルームで頂けます。こちらでは、サービスの方たちも18世紀のコスチュームに身を包んでいるので、マリー・アントワネットの優雅な時代にタイムスリップしたような宮廷気分を楽しめます。

アフタヌーンティーは、まず初めにセイボリーが提供されます。足付きの器には、クリスピーチキンがのったシーザーサラダ。アボカドクリームとオマール海老のサンドイッチやクロックムッシュなどが乗ったプレートには、カレークリームを添えたやキュウリや、スモークサーモンなどがひと口サイズで。どれも繊細さの中にインパクトがある味わいでした。

続いて登場するスイーツのシグネチャーは、アラン・デョカス氏監修ならではのショコラを使ったスイーツ。他にも、大きなスイスパンやフランボワーズとヨーグルトのソルベ、ピスタチオのタルトレットとバニラクリームなどが並びました。かなりのボリュームですが、こちらもスイスパンなどは、テイクアウトさせて頂けました。

また、こちらのホテルのテラスはヴェルサイユ宮殿の庭へと繋がっているので、アフタヌーンティー後は、そのまま庭園のお散歩を楽しむこともできます。
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ル・グラン・コントロール(Le Grand Contrôle)
12 rue de l’Indépendance Américaine 78000 Versailles
今回ご紹介した4つのアフタヌーンティーは、全てスタンドも違い、スイーツやセイボリーもそれぞれのシェフの個性が溢れるものばかり。
日本のアフタヌーンティー人気も衰え知らずで、どんどん多様化していますが、本場もホテルやカフェによって味だけでなく、スイーツやセイボリーの傾向が全く違うのも魅力的です。改めてアフタヌーンティーとは、もはやブームではなく世界的に定着した食文化になっていると実感しました。

PROFILE
フードジャーナリスト
岩谷貴美 Takami Iwaya
フードとビューティーのジャーナリスト。雑誌やweb、TV、ラジオなどで活躍するほか、フードコンテストの審査員や、ホテルやカフェのアフタヌーンティー・プロデュースも多数手掛ける。スイーツを1日に20~30品食べることも日常茶飯。
Instagram : @takamiiwaya
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