
“チョコレート”といえば、身近にあるお菓子の1つ。専門店に限らず、スーパーやコンビニなどでも、たくさんのチョコレートを見かけることでしょう。皆さんはこれまで、「ひと口目から心をつかまれるほど、丁寧に作られたチョコレート」に出会ったことはありますか?
2025年11月、東京・麻布十番にオープンした「TERROIR by Daichi Okuno」は、「大人の贅沢。」をショップコンセプトに掲げている、大人の為のスイーツが揃うショコラトリー。チョコレートの魅力を知り尽くすショコラティエに聞いた、まだ見ぬショコラの世界と、ここでしか味わえない“大人の贅沢。”の秘密に迫ります。

麻布十番駅1番出口より徒歩8分ほどの場所にある「TERROIR by Daichi Okuno」。シェフを務めているのは、オーナーでもあるショコラティエの奥野大智さん。自身の経験や想いから、今のお店が誕生したと語ってくださいました。

「“大人の贅沢。”は、昔働いていたお店のコンセプトと同じ。そこでお菓子作りの基本を学び、自分のベースとなっているので、リスペクトを込めて掲げています。シンプルな味わいというよりは、“舌の肥えた大人が喜んでくれるような、複雑で香り高いお菓子を作りたい。味覚が育っていない子どもに食べさせるには少しもったいないかな”と、思われるようなお菓子を作りたい。そんな想いから掲げたコンセプトです。
最近ではお酒を使わないシェフもどんどん増えてきているが、自分には必要不可欠。アルコール感そのものがほしいわけではなく、香りや味わいに立体感を与えてくれるので、クッキーにもお酒を加えています。その部分も含めて、“大人の贅沢。”に繋がっているのだと感じています」
これまで国内外のパティスリーやレストランなど、様々な場所でパティシエとしての経験を持つ奥野さん。洋菓子の世界へ入ろうと思ったきっかけを伺うと、「大きなきっかけはなかったものの、甘いもの好きの両親が毎日買ってきたり、クリスマスや休日にお菓子を作った思い出がある」と話します。

パティシエの中でも、“ショコラティエ”というチョコレート専門の職人を目指した理由については「チョコレートが好きということはもちろん、以前働いていたお店で、なかなか担当できなかったチョコレートを扱う作業を見ていたからこそ、自分もいつかやってみたいと思っていた」と。過去の出来事が、よりチョコレートへの想いを強くさせたのだと感じました。
また、過去にはパティシエと並行して、シャンパンバーでも勤務していたそうなのですが、自身がワイン好きということから、勉強も兼ねてワインバーでも働いていたのだとか。いずれ“お菓子とワインのマリアージュ”を生み出したい、という想いが当時からあったそうで、「チョコレートとお酒をどうしたら上手く繋げられるかと考えたが、シャンパンの温度帯である8℃という冷たさに対し、チョコレートは常温なので、合わせるのが難しいという結論になった」と言います。
そこで考えたのは“香り”合わせ。口の中に残ったショコラの香りと、お酒の香りを合わせることであればできるのではないか、と思い描いていたそうです。とはいえ、どこかで「お酒とお菓子を合わせることをやりたいと思っていた。そんな時にたまたま南麻布の物件を見つけ、ここなら自分の表現したい事ができるのでは」との想いから、今回この地で自身のお店をオープンさせたそうです。

店内へ足を踏み入れた先に見えるのは、ショーケースいっぱいにボンボンショコラが整然と並び、思わず足を止めて見入ってしまうほどの光景。

その隣には、それぞれのケーキにシェフこだわりの“チョコレート×お酒”のマリアージュを楽しむことができる、プチガトーが並んでいます。「どちらかというと、“甘さより味わい”を重視しているので、大変な毎日の中に作る《大人の時間》のお供にしてもらえたら」と、奥野さんは話します。
ガトーについては、季節やシェフの気分により用意されるラインナップが日により異なるそうで、中にはお酒の苦手な方や、お子さまにも召し上がっていただけるよう、お酒不使用のケーキもあるとか。お店に行ってからのお楽しみというのはワクワクしますね!

そして店内を見て気になったのは、高級感がありながらもシックになりすぎない、温かみのある雰囲気。真っ黒にはせず、光の加減で濃淡をつけることで奥行きを出し、壁はムラのある左官仕上げに。手作業ならではの温もりが感じられる空間を意識して作られたそうです。
奥野さん自身も黒色が好きだったものの、お菓子屋に黒を合わせることに難しさを感じていたそう。「高級感だけを考えて黒を使うのは違うと思っていたが、お店のイメージカラーをどうしようかと考えていたときに、女性のお客様が喜んでくれるパッケージやカラーにしようと思った。《チョコレート=高級》というイメージが強いこともあり、高級ブランドを参考にしたことで、洋菓子店で黒をメインに使うこともいけるのではないかと気付き、お店のイメージカラーを黒にしようと決めた」
“大人の贅沢。”というコンセプトにとても合った、TERROIR by Daichi Okunoならではの雰囲気はぜひ直接店頭で感じていただきたいですね。そして、独自の世界観はこれだけに留まりません。ショッパーにまですごいこだわりがありました。

なんと、肩掛けができるショッパーだったのです…! 「しっかりとした素材で仕上げています。購入した後の日常使いはもちろん、捨てずに使っていただけるような形にしました」まるでアパレルブランドのようなビジュアルに、スイーツだけでない、奥野さんの強いこだわりを感じました。こちらもぜひお手に取っていただきたいです。

冒頭でも少し触れたように、「チョコレート」とは身近にあるお菓子。とはいえ、“日常のお菓子”でもあり、作り方によっては“高級なもの”にもなる。要するに【変化するお菓子】だということ。
「そんなチョコレートを嬉しそうに購入してくださるお客様を見て、作り手である自分も嬉しくなる、そこから生まれる幸せもチョコレートの魅力の1つだと感じます」
そんな想いを持つ奥野さんが作り出すチョコレートの中でも、特別だと思っているのが「ボンボンショコラ」。
「とても小さくて、重さで言えば10gくらい。この10gの中で、味わいの変化や香りを出すのは難しい。“たった一粒、たった10g”だけど、その中でもチョコレートのおもしろさを感じてもらいたい。“味わいの変化を通して、1粒で2度美味しい”と感じるものを作りたい」と、他のお菓子とは違う良さや魅力を教えてくれました。

店内にたくさん並ぶボンボンショコラの中から、おすすめのフレーバーを伺うと、厳選した2種類を教えてくれました。1つ目は「ライムパイン」。奥野さん自身も特に好きな味だそう。2つ目は「レモン抹茶」。女性人気が高いとのこと。
実際に2種類をいただくと、お話を聞いていた通り、噛んでいくうちに味わいが変わっていきます。しっかりと素材の味が活きた味になっているものの、親和性のある素材を掛け合わせているからこそ生まれる、他では出会ったことのないような味わい。誰かにプレゼントをして“チョコレートの新しい魅力を伝えたい”と思わせてくれるようなスイーツです。
ボンボンショコラには柑橘をテーマにしたものが4種類あるらしく、これらはかなりの時間をかけて試作したそうなので、この2種類は特に必見ですね!
TERROIR by Daichi Okunoにあるボンボンショコラの特徴は、言うまでもなく「複数の素材を組み合わせている」こと。フルーツやハーブ、スパイス、お茶などを組み合わせて生み出すことは、難しさもあるはずです。ですが、奥野さん自身が“素材のマリアージュ・味の変化”に魅力を感じているからこそできる逸品だと感じました。

ショコラトリーであるTERROIRですが、“大人の贅沢。”を感じるケーキも並んでいます。今回はその中から2種のケーキをご紹介。ケーキをお目当てにする方もいるほどなんだとか!

TERROIRのオープンと共に登場した「アンファン」。濃厚なミルクキャラメルのショコラムースの中には、ふわりと香るオレンジ生キャラメルが。このなめらか食感の中には、ザクザクとした香ばしいヘーゼルナッツクリスティアンが入っており、アンファンのアクセントになっています。「ヘーゼルナッツ×ミルクチョコレート×オレンジ」という王道の組み合わせを楽しめる逸品です。

そして、一見シンプルに見える「ショートケーキ」ですが、実はシェフのこだわりがぎゅっと詰まっています。卵黄とバターを多めに使った濃厚なスポンジ生地“ヴィーナマッセ”にお酒を染み込ませ、「ふんわり」を超えるじゅわっと広がる食感を演出。お酒の香りと生クリーム、季節のフルーツが香りで織りなす、圧巻のハーモニーを楽しむことができます。
季節によっても変わるケーキの数々も見逃せません!

お酒が使われることで、「大人が楽しむスイーツ」というイメージが浮かびますが、それだけではなく【香りを活かすためのお酒・素材を掛け合わせることで生まれる味わい】これらも含めて楽しんでいただきたいのが、奥野さんが作るTERROIR by Daichi Okunoのチョコレートやスイーツ。
甘さだけではなく味わいを楽しむことも、スイーツを通して感じる「大人の贅沢。」なのではないでしょうか。
ボンボンショコラやガトー以外にも、マドレーヌやサブレなどもあるので、様々なスイーツとともに、贅沢なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
About Shop
TERROIR by Daichi Okuno
東京都港区南麻布1-9-5
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
Instagram:@terroir_daichiokuno

もか
ウフ。編集スタッフ
製菓学校卒業後、美味しいお店と商品を広めたいと思い、洋菓子販売と飲食店専門の広告代理店を経てウフ。編集部へ。チョコレート、ピスタチオスイーツが好き。
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