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連載:お菓子缶マニアがお届けする“愛しのお菓子の缶” vol.01 「魅惑の赤い缶」

スイーツ好きであれば、お菓子の缶の“ジャケ買い”“パケ買い”をしちゃったことは1度や2度ではないはず。お菓子の缶はそのお菓子、お店、作り手の思いや世界観を伝える究極の広告であり、営業ツール。さらには湿気や衝撃からお菓子を守る役割もあり、まさに機能と芸術が混ざり合った、いちばん身近なアートです。

お菓子の缶に魅入られ45年。フードジャーナリストの中田ぷうが、私的なコレクションの中から魅力的な缶をご紹介します。今回のテーマは色で、ひと際目立ち華がある「赤缶」をお届けします。

赤缶1:モネ、ルノワールなどと同じ印象派の手法で描かれた美しきイラスト

チョコレート・ビスケット3250円(税込み)/ラ・キュール・グルマンド

「ラ・キュール・グルマンド」は1989年のプロヴァンス地方で設立されたビスケットやチョコレートを主体としたスイーツショップ。現在ではヨーロッパを中心に世界30カ国で展開しており、日本には2000年に上陸しました。

缶に描かれた古き良きフランスを思わせるイラスト、てっきり過去のものを使用しているのかと思いきや「ラ・キュール・グルマンド」のパートナーであるイラストレーターが新たに描き興したもの。ただし19世紀後半に活躍した画家のモネ、ルノワール、セザンヌなどの「印象派」と同じ手法を用いて描いているため、”現代の絵“ではありながらも美術的な仕上がりなっているのがポイント。

描かれるのも19世紀後半のフランスの暮らしをテーマとしています。

写真のレッドのほか、オレンジ、イエロー、ピンクなどがありますが、いちばん人気はレッド。

赤缶2:アール・ヌーヴォーに感化された「ラ・メール・プラール」の缶

ラ・メールプラール コレクター缶サブレ 1620円(税込)、ラ・メール・プラール リミテッド缶サブレ 864円(税込)


「ラ・メール・プラール」は、フランス・ノルマンディー地方のモン・サン=ミッシェルを代表とするビスケットメーカー。1888年、缶に描かれている女性、アネット・プラールが夫とともに、モン・サン=ミッシェルを訪れる巡礼者たちのために宿屋を開業。その宿でアネットは、長旅で疲れきった巡礼者たちのため栄養価が高く、ボリュームのある食事を提供するようになりました。料理上手なアネットは、700種類ものレシピを生み出し、その中の1つがこのビスケットのレシピでした。

そして宿屋の開業120周年にあたる2008年にこの赤い缶が登場。「ラ・メール・プラール」の色である赤を基調に、創業者であるアネットの写真や“モン・サン=ミッシェル”の風景画、中に入っているサブレがプリントされています。

缶に描かれた文字と缶まわりを囲む植物を連想させるような独特の文様は19世紀から20世紀初頭にかけて開花した美術運動“アール・ヌーヴォー”を取り入れた文様になっており、そのためエンボス加工などしなくともプリント技術だけで美しい“装飾缶”に仕上がっています。

ちなみに写真右の「リミテッド缶」は、エアラインの機内販売用に開発された商品。そのためコレクター缶に比べると小ぶりでバッグにも入れて持ち運びやすいサイズになっています。

赤缶3:シンプルながらも強烈な印象を残す缶

ガレット オリジナル 18個入1080円(税込み)/モロゾフ

バターを楽しむ焼き菓子専門店として2020年に銀座三越にオープンした「ガレット オ ブール」。この缶のかわいさは、どのデザインの缶にも入っている牛のロゴとゴールドのフォント。シンプルなデザインながらも“訴える力”が非常に強い。これぞデザインの持つ底力だと思っています。

今回は赤しばりなので赤を選びましたが、もう1つ上のサイズのグレー缶も非常に似たデザインながら、赤缶とは趣の違う美しさを持ち、がらりと印象が変わります。こちらもぜひ店舗で見ていただきたい。

中田ぷう

フードジャーナリスト

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お菓子缶好きとして約45年。今秋ついにお菓子の缶本「すばらしき缶の世界(仮)」(光文社)も出版。ライターとして、またフードジャーナリストとして、各メディアで執筆&レシピ提供も。

Photo&Writing/Nakata Pu