
2024年12月、ルクセンブルク初の日本人パティスリー「Les Nii Luxembourg (レ・ニー・ルクセンブルク)」がオープン。ヨーロッパの中心に位置する小国・ルクセンブルクは、ヨーロッパの政治・経済において重要な役割を担っています。そんなルクセンブルグで、“日本らしさ”に留まらず、国や文化を越えた普遍的なおいしさを目指した仁井シェフのスイーツをいくつかご紹介します。

神戸・兵庫県で約7年間、日本とドイツの菓子を学んだ後、2012年にルクセンブルクへ渡り、名店オーバーワイスで13年間さらなる技術を磨いたというオーナーパティシエの仁井啓介シェフ。2018年以降は商品開発や各種コンテストで数々の受賞歴を重ね、2024年、ルクセンブルクで自店を開業。

落ち着いた住宅街にある立地で、店内は木目と植物を生かし、木のぬくもりや温かみを感じられる空間に。 8席のティーサロンもあり、ほうじ茶などがセルフサービスで楽しめます 。

ショーケースやディスプレイ棚には、種類豊富な生菓子やヴィエノワズリー、焼き菓子が並んでいます。 ショートケーキやシュークリーム、クロワッサンなど日本のパティスリーでも見かけるラインナップは、どこかホッとします。

ルクセンブルク産バターを使った自家製パイ生地のパルミエは、ハート型が愛らしい看板商品。仁井シェフ が修行していた神戸のお店でも作っていたそうで、とても思い入れのあるお菓子だとか。パイのサクサク食感と軽やかな甘さで、手土産にも人気のようです。

日本でお祝いに欠かせない定番。ルクセンブルク産の小麦粉や生クリーム、バターを使用して、甘さ控えめ&軽やかな食感のスポンジに。さっぱりとしたクリームが調和しています。季節によってフルーツが変わり、秋は柿なども登場するそうです。

卵感がしっかりで滑らかなクリームがたっぷり。そのクリームは、注文後にシュー皮に詰めるスタイルなので、シュー皮のサクサク感も楽しめました。

アプリコットの甘酸っぱさと香ばしいタルト生地の調和が魅力。果実のジューシーさを引き立てるしっとりとしたアーモンドクリームが層をなしていて、軽やかな口当たりながら奥行きのある味わいでした。
仁井シェフが手がけるお菓子は、どれも単なる“日本らしさ”に留まらず、国や文化を越えた普遍的なおいしさを目指したもの。
どのお菓子も繊細さが伝わってくる均整の取れたフォルムで、香り・食感・後味にまで気を配った設計がされています。ルクセンブルクではまだ珍しい「和」の素材を使いながらも、決して主張しすぎず、地元の文化に自然と溶け込む優しい味わいに、すっかりファンが魅了しています 。
About Shop
Les Nii Luxembourg(レ・ニー・ルクセンブルク)
120 Av. du Dix Septembre, 2550 Belair Luxembourg
@les_nii_luxembourg
PROFILE
フードジャーナリスト
岩谷貴美 Takami Iwaya
フードとビューティーのジャーナリスト。雑誌やweb、TV、ラジオなどで活躍するほか、フードコンテストの審査員や、ホテルやカフェのアフタヌーンティー・プロデュースも多数手掛ける。スイーツを1日に20~30品食べることも。Instagram : @takamiiwaya
文章・写真/Takami Iwaya(岩谷 貴美)
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