東京・芝大門エリアで、1885年から続く和菓子店「芝神明 榮太樓(しばしんめい えいたろう)」。そんな名店で120年以上前に考案され、今も愛され続けているお菓子が『江の嶋最中』です。
名付け親は、明治の文豪として知られる尾崎紅葉。5種のあんと可愛らしい貝殻型の皮で作られた、大切な人へ贈りたくなる和菓子を紹介します。
1902年に発売された『江の嶋最中』。あんや貝殻のデザインの種類は当初から変わらず、粒あん・こしあん・白あん・柚子あん・胡麻あんの5種類が販売されています。
店頭では1個単位でも購入でき、今回は5種が2個ずつ入った10個入をセレクト。着色料や保存料は不使用で、オンラインでの購入の場合、日保ちは夏季期間は1週間、他の季節は10日間ほど。風味が落ちないよう、常温での保管が推奨されています。
ちなみに最中の形を貝殻にした理由は、発売当時の1902年ごろ、店舗の最寄り駅である現在の浜松町駅より先のエリアには海が広がっていたため。箏曲(そうきょく)の「江の島の曲」にいくつもの貝が登場することから、お店のある芝大門で生まれ育った尾崎紅葉が“江の嶋最中”と名付けたのだそう!
最中の皮やあんには、厳選した素材を使用。最高級もち米・みやこがねを使い、しっかりと焼き上げる“焦がし”の皮は、封を開けた瞬間に香ばしく食欲をそそる香りが。パリッとした歯ごたえとあんとの一体感、上品な甘みを楽しめます。
あんの小豆と白いんげん豆は北海道産で、胡麻や柚子も国産の良質なものを厳選。季節ごとの湿度に合わせて糖度を調整し、小豆本来の風味を引き出す工夫がなされています。
時代に合わせたより美味しいあんとなるよう、皮に滲まないように水あめを主体に硬めに作っていた先代の製法を、口どけを重視して寒天をメインにしたものに変更するこだわりも。適度な硬さがありつつ口の中ですっと溶け、小豆の柔らかな甘みと旨味が広がります。
王道のものはもちろん、目にする機会の少ないあんにも感動。胡麻あんは食べた瞬間に豊かな胡麻の香りとコクが感じられ、柚子あんからは、みずみずしく甘酸っぱい柑橘の味わいが。どれも1~2口サイズで食べやすく、あっという間に全種をコンプリートしてしまいそう。
お店には『江の嶋最中』のほかにも、手土産にぴったりな和菓子がたくさん。『どら焼き』はつややかで小豆の旨味が詰まった粒あんと、やさしい甘みであんを包み込むしっとり柔らかな皮が絶品。季節で変わる焼き印はチャームポイントに。
創業140周年を記念した『芝の濱』は、2種のあんと栗をはさんだ和菓子。ラム酒香る白あんとほくほくとした栗のリッチな風味にこしあんが加わることで、新しいながらもどこか懐かしく、心が和む美味しさを楽しめます。
代々続く製法をもとに、時代に応じたさらなる美味しさを追求して作られる「芝神明 榮太樓」の『江の嶋最中』。ちょっとした手土産にも特別な贈り物にもしたくなる、歴史と想いが詰まった和菓子です。
【価格目安】
江の嶋最中(10個入):1,815円
どら焼き(6個入):2,303円
芝の濱(単品):321円
※いずれも税込
【前回の連載記事はこちら】『近江屋洋菓子店』(淡路町)のフルーツポンチに感動!目にした瞬間ときめくスイーツって?【スイーツ編集部が選ぶ本気の手土産no.2】
About Shop
芝神明 榮太樓
東京都港区芝大門1-4-14
営業時間:平日 9:00~19:00、土曜日 9:00~14:00
定休日:日祝 ※8月は土曜日も休み
Instagram:@eitaro_shiba
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