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進化し続ける「セブンティーンアイス」の知られざる世界 連載「ふうかとあいす」

進化し続ける「セブンティーンアイス」の知られざる世界 連載「#ふうかとあいす」

白くて大きなアイスの自動販売機「セブンティーンアイス」。学校の帰り、スイミングの帰り、駅のホームでetc. 見かけると、ついつい食べたくなる方も多いのではないでしょうか? 

1983年の発売開始以来、約40年の時が経ち現在までロングセラー商品になっている江崎グリコの「セブンティーンアイス」は、実は大きな進化をし続けています。そんな情報をたしかめるべく、今回はアイスクリームマーケティング部 セブンティーンアイス担当へ取材。10月から新たに「Gunn’s」に所属したモデル・風歌さん(fuuka_nw)とともに、奥深いセブンティーンアイスの世界をお届けしていきます。

最初はショーケースで販売していた!? 大不調からのスタート

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「とにかく種類が豊富なところが好き」とモデルの風歌さん。パッケージの色味やデザインに惹かれ、子どもや学生のころから授業終わりに、そしてお風呂上りによく食べていたんだとか。まずはそんな「セブンティーンアイス」の歴史や始まりについて、質問させていただきました。

Q. 「17歳の女性がメインターゲット」「豊富なバラエティ(17種のアイス)」という意味が込められていると拝見しました。もともとこの自動販売機で、アイスを販売しようと思った理由とその背景を教えてください。

マーケティング部井上さん「セブンティーンアイスの始まりは1983年。今から約39年も前でした。“17歳の女子高生も食べたくなるバラエティ豊か(17種)なアイス”として最初は専用のショーケースで販売をしていました。

当時はアイスクリームといえば、駄菓子。子供が食べるイメージが強かったです。そこでセブンティーンアイスは、もう少し上の世代や年齢の方が楽しめることを考え、バラエティ豊かでおしゃれなワンハンドアイスとして販売をスタートさせました。

ところが、発売当初は順風満帆とはいかず。競合他社のアイスと横並びのショーケースの中では、商品特徴である豊富なバラエティもワンハンド形状もお客様には伝わりませんでした。販売開始から2年間。なかなか思うような売上につながらなかったんです。」

起死回生のきっかけとなった「自動販売機」での販売スタイル

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マーケティング部井上さん「ショーケースでの販売から、1985年には現在のような専用のアイスクリーム自動販売機での販売に切り替わりました。当時は現在のようにコンビニエンスストアや売店が少ない時代でした。そこで“その場所で普通はアイスが食べられない、人が集まる場所に”置くことを考えました。その目新しさも決め手だったかと思います。最初の設置場所は、ボウリング場でした。当時の若い方が多く集まる場所でした。」

Q.今では駅やスイミングスクールなど、ありとあらゆる場所に設置をされていますが、設置する場所をどのようにターゲティングし決めているのでしょうか?

マーケティング部井上さん「ポイントは2つあり、①人が集まり滞在時間が長いこと ②アイスの需要が高いこと で考えています。

例えばスイミングスクールは、お子さんが泳いでそのあとのエネルギー補給としての需要があります。最近は公園も増えました。コロナ禍になって、人が集まる場所が近隣の公園で密を避けた形になり、公園でのニーズが高まったからだと考えています。

実は他にも船のターミナルにもあったり、空港だったりといろいろなところに設置されているんです。今はおおよそ2万台が全国に設置されています。」

17種類のラインナップの決め手と、販売当時から変わらないフレーバーとは

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Q.販売当初の17種類のアイスはどのようにして選ばれましたか? また今も当時から変わらないフレーバーはございますか?

マーケティング部井上さん「最初から17種類ということもあり、いかにバラエティ豊かに見せられるか、フレーバーの偏りを少なくできるか、その点を考えてラインナップを揃えました。

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バニラ、ショコラなどの定番フレーバーに加え、『グレープシャーベット』『チョコチップ』も発売当初から変わらないフレーバーです。チョコチップは、味の変化をもたらし飽きずに美味しく食べられることを考えました。

『ソーダフロート』も当時から変わらず愛され続けているフレーバーです。このソーダフロートも、ぐるぐると渦を巻くようにバニラとソーダのフレーバーが交差するので味の変化を楽しめます。これらのフレーバーは、いつの時代も人気があるフレーバーです。」

現在は環境にも配慮? アイスのスティックにある3つの穴の秘密

Q.アイスのスティックに、アイスが落ちない工夫があると伺いました。詳しく教えてください。

マーケティング部井上さん「食べている途中にアイスクリームが柔らかくなるとスティックから落ちてしまいます。スティックの先に3つの穴をつけることでアイスクリームをしっかりと固定して落ちにくくしています。このスティックは、改良を積み重ね穴の大きさ、台の大きさ、長さも変えて検討した結果、今の形になっています。

製品の設計としては、家の中で食べるものではなく“外で美味しく食べられるか”。外でも食べやすく、落ちにくく、最後までおいしく食べられる。そんな観点で作り続けています。また2019年からはこれまで石油由来100%のプラスチックを使用していましたが、スティックの組成の一部をバイオマスプラスチックに置換しています。バイオマスプラスチックとは、植物由来原料から作られたプラスチックのことで環境への配慮も考えています。」

実は設置場所によって、品ぞろえが違う!?

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Q.商品は老若男女問わず愛されているイメージがあります。現在のフレーバーはそれぞれターゲティングを考えてラインナップをそろえていらっしゃるのでしょうか?

マーケティング部井上さん「さまざまな場所で、さまざまな方に召し上がっていただくことを考えているので、設置先の客層や季節によって品ぞろえを実は変えているんです。 例えば、子どもが多く集まる場所ではシャーベットタイプの品ぞろえを増やしているだけでなく、ボタンが押しやすいように自販機の下部に人気商品を配置していますし、駅は学生の方、サラリーマンの方など、疲れて甘いものを食べたいニーズがあるので、濃厚なフレーバーを並べています。

また温浴施設は、身体のほてりをとるようなさっぱりしたもの、シャーベット系を増やしています。」

現在の人気ベスト3!は風歌さんイチオシの“アレ”も

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Q.ズバリ、人気フレーバーランキングがあれば教えてください。

マーケティング部井上さん「『スペシャルセレクション』は人気がありますね。もともとご褒美として美味しいものを食べたい人へ向けて作りましたが、現在スペシャルセレクションの『クッキー&クリーム』が売り上げのナンバーワンとなっています。大人向けに作ったものが、結果的に学生さんやお子さんにも大人気の商品となりました。

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こだわりは、北海道産の生クリームを使っているところです。ココアクッキーだけだと苦みがありますが、この“ビター&スイート”のギャップが美味しさの秘密です。

2位は「カラフルチョコ<ミルク>」です。イメージとしては、ソフトクリームの上にカラフルなチョコをのせたあの喜びの味を再現しています。カラフルな見た目のよさもあって、実は1位の『クッキー&クリーム』とかなりいい勝負で、今年どっちが1位になるのか楽しみなぐらいなんです。」

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こちらの商品は、もともと季節限定商品。2019年の秋に試しに数量限定で販売をしたらすぐに売り切れてしまい、20年の秋からは定番になったエピソードもあるんだとか。

「私にとってカラフルで、夢みたいなフレーバー。チョコスプレーをいっぱい食べるということが、とってもワクワクします。さっぱりめのミルクアイスなので、チョコの美味しさが際立ちます。どこから食べてもチョコスプレーを感じられて大好きなフレーバーです。」と、撮影中も風歌さんがお気に入りのポイントを興奮気味に語ってくれました。

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マーケティング部井上さん「続いて3位は『ワッフルコーンショコラ生チョコ仕立て』です。チョコづくしにこだわっていて、コーンはココア。アイスはチョコチップを練りこみ、生チョコソースを添えています。やはり濃厚なフレーバーはすごく人気があります。」

17という数が縛る“入れ替え制”のフレーバー

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Q.実はパネルのデザインも変わっていると伺いました。どうして、またどのように変えているのでしょうか?

マーケティング部井上さん「アイスの質感の表現にこだわっているので、定番のフレーバーも撮影し直してブラシュアップしています。時代のニーズに即して定番のフレーバーも改良している、という理由もあります。ソースの量を変えていたりもするので、その美味しさの表現をしっかりしていこうと思っています。」

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Q.セブンティーンアイスの新作はどのような周期で販売されていますか?

マーケティング部井上さん「基本は春と秋のタイミングの2回。その時によって変えるラインナップ数は変わります。その時が、実はすごく胸が痛くなるんです(笑)。自販機ごとに基本は17種類しか並ばないので、新しいフレーバーを入れると、今のどれかのフレーバーをやめなければいけない。卒業の気持ちです。

お客様の価値観やシーンに即したラインアップになるよう、日々試行錯誤しています。実際にセブンティーンアイスの自販機の後ろで購入しようとするユーザーの声を聞きながら、今の人がどんなものを求めているかとか、見せ方の訴求違ったかな?とか、リアルな声をはりこんで拾って聞いて、日々研究しています。」

取材協力/江崎グリコ