
谷町六丁目の住宅街を歩いていると、ふと現れる英国風の佇まい。扉を開けた瞬間、空気が変わります。ここは「Torrington Tea Room(トリントンティールーム)」。紅茶を「飲む」のではなく、「嗜む」時間を大切にしてきた、大阪でも数少ない本格派のティールームです。2012年のオープンから13年。今も変わらず、多くの人に愛され続ける理由を探ってきました。
谷町六丁目駅から徒歩約5分。にぎやかな通りを少し外れた住宅街に、「Torrington Tea Room(トリントンティールーム)」は静かに佇んでいます。2012年9月にオープンし、13年にわたって愛され続け、2025年には食べログ百名店(カフェ部門)にも選出されました。

このお店は、パッケージデザイナーのオーナー、店舗デザイナー、飲食経験のある3人が
「それぞれの得意分野を持ち寄って、一つの店を作ろう」という想いからスタートしたそうです。空間、世界観、味。そのすべてに“専門性の掛け算”が感じられるのも、納得です。

「トリントン」とは、船の名前。かつて紅茶をロンドンへ運んだ、英国のティークリッパー(高速帆船)の名に由来しています。ティーレースと呼ばれる、紅茶輸送のスピードを競った時代。そのロマンを、現代のティールームに落とし込んだのが、この店なのです。

店内はイギリスのアンティーク家具に囲まれ、まるで英国の街角に迷い込んだような感覚。紅茶を中心に、スコーンやクランペットといった素朴で伝統的な英国菓子、エッグベネディクトなどの英国料理も楽しめます。

大切にしているのは、「紅茶をイギリス式で楽しんでもらうこと」。
ここで言うイギリス式とは、ティーバッグではなく、リーフティーをたっぷり使い、ティーポットで淹れること。

たっぷりの茶葉に、たっぷりのお湯。ティーポットは3杯分+差し湯まで用意されていて、時間をかけて、じっくり紅茶と向き合えます。また、イギリスではストレートよりもミルクティーが主流。ミルクに負けないよう、しっかり濃く抽出するのもポイントです。

紅茶を片手に、一人で本を読む人。友人との会話を楽しむ人。ただ、ぼーっと時間を預ける人。過ごし方に正解はありません。「ゆっくりすること」そのものが、この店の楽しみ方です。
そんな「Torrington Tea Room」で、最近とくに話題なのが土日祝限定・完全予約制のアフタヌーンティーセット。スタンドで提供される王道スタイルですが、うれしいポイントは1人1スタンドで用意してもらえること。自分のペースで、じっくり紅茶と向き合えます。

もちろん紅茶は好みの茶葉を選び、ティーポットで提供されます。時間を気にせず楽しめるのが魅力です。

セイボリーは「本日のエッグベネディクト」。実はこれ、看板メニューで、これ目当てで来店する方が多いというのも納得の美味しさです。通常は2つ提供されるところ、アフタヌーンティーでは1つがセットに含まれます。

自家製オランデーズソースは、コクがありつつも酸味が効いていて後味は軽やか。口の中をすっとリセットしてくれます。土台に使われているのは「クランペット」。 パンケーキのように甘くはなく、もちっとした食感で、卵とソースをしっかり受け止めてくれます。

ケーキは、店頭に並ぶ3〜4種の英国式ケーキから1種選べるスタイル。ヴィクトリアサンドイッチケーキやキャロットケーキなど、どれも紅茶と相性のいいものばかり。写真はレモンドリズル。爽やかな酸味で、午後のティータイムにぴったりでした。

焼き菓子はウェールズ地方の伝統菓子「ウェルシュケーキ」、ソルティコーヒーやラベンダー香るショートブレッドなど、素朴だけれど印象に残る味わい。全粒粉入りのスコーンは、アフタヌーンティー用に少し小ぶりサイズにしてくれている心遣いも嬉しいポイントです。

ゼリーはキャラメルストロベリーの紅茶で作られていて、スプーンを入れた瞬間に、ふわっと香りが立ちます。全体的に、派手さよりも紅茶がすすむ構成。お菓子を少し齧って、紅茶をひと口。そんなリズムで、長い時間をかけて楽しめます。

食事のように“ガツン”と満たすものではなく、会話や、自分の午後の時間にそっと寄り添う存在。それでいて、「Torrington Tea Room」の人気メニューを少しずつ全部味わえるのは、満足度が高いです。

週末に訪れるなら、このスタンドスタイルがおすすめ。なお、土日祝のアフタヌーンティーは完全予約制なのでご注意を。ちなみに平日は、スレートプレートに盛り付けられたアフタヌーンティーセットを提供しているそう。こちらは予約なしでも対応してもらえるそうです。時間に余裕のある平日に、ふらっと立ち寄るのもおすすめなんです。
たっぷりの茶葉で淹れる濃いミルクティー、紅茶に寄り添う素朴な英国菓子、そして一人一台のスタンドで楽しむアフタヌーンティー。「Torrington Tea Room」は、紅茶を“特別な飲み物”としてではなく、日常を豊かにする存在として提案してくれる場所でした。

にぎやかさよりも、落ち着きと余白を大切にした空間は、読書にも、会話にも、ただぼんやりする時間にもよく似合います。ゆっくり過ごしたいなら平日、特別感を味わいたいなら週末。その日の気分に合わせて、英国式の紅茶時間を楽しんでみてください。
About Shop
Torrington Tea Room(トリントン ティールーム)
大阪府大阪市中央区上本町西2-5-56
営業時間:11:30〜18:30(土日祝は10:30〜)
定休日:月曜日
Instagram:@torrington_tearoom

あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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