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「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

パン屋巡り歴8年、今までに巡ったパン屋は450店舗以上。この圧倒的なパン知識と愛を持つのは、フォロワー数7万人の人気インスタグラマー「パン屋巡りビト」さん(@pan_meguribito)。

ufu.アンバサダーとしても積極的に、関西を中心としたパン屋情報を発信してくれていました。しかし23年の6月に突然「グルテン過敏症」(※)であることを告白。7月からは、グルテンフリーのパンとスイーツを発信するインフルエンサーへと方向転換することを発表しました。
※小麦粉に含まれるたんぱく質であるグルテンが、腸を刺激し炎症を起こすアレルギー。

小さなころからとにかくパンが大好きで、1日に10種類以上食べる日もあったという巡りビトさん。グルテン過敏症に直面してはじめて「体に取り入れるもの(食)って、こんなに大事なんだ」と実感したといいます。

そんな彼女だからこそ語れる「グルテン過敏症」の体験記と、インフルエンサーとしての今後の活動についてお話を聞きしました。スイーツメディアのufu.だからこそ伝えたい、そしてスイーツ好きの方やお菓子に関わる皆さんに読んでほしい、等身大の彼女の発信。ぜひ受け取ってください。

「まさか、パンインフルエンサーの自分が」。静かに体を蝕んでいった、グルテン過敏症の症状

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

パン屋巡りビトさんが、グルテン過敏症の症状を自覚し始めたのは2021年春頃。最初は顔に湿疹や炎症が出るようになったのだとか。しかしコロナ禍でマスク生活だったため、マスクかぶれと仕事のストレスが重なっての、単なる肌荒れと思っていたのだそう。

「もともと肌が弱くかぶれやすかったので、とりあえず皮膚科に行って、漢方をもらって生活していました。『甘い物や珈琲は控えて和食を中心にしてください』と言われて、お米を中心にしてみたり。最初はそれで良くなる時期もあったんですけど、だんだん漢方が効かなくなり、最終手段として使っていたステロイド剤も効かなくなって…」

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

「ネットで調べていたので、『グルテン過敏症』の存在は知っていました。漢方もステロイド剤も何も効かなくなってから、まさかね…と思いながら、パンを含めて小麦類を控えてみたら、肌荒れが回復したんです。信じたくないけど、やっぱりお前(小麦)か!と思いましたね。

症状としては、パンが食べられない、というよりは症状が出るのが怖くて食べられないという感覚で。食べた直後ではなく、1~2週間ほど後に症状が出てくるんです。倒れたり発作が出たりは、私にはなかったです」

パンも好きだけど、発信も好きだった。「グルテンフリー」パン&スイーツを発信する決意と覚悟

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

そうして、グルテン過敏症を自覚したというパン屋巡りビトさん。その後は「パンの発信、どうしようかな」「いや、まだいけるな」と思いながらも、身体の不調を隠しながらパンを食べ続け、発信を続けていたそう。

「そろそろ体に嘘をつけなくなった」というタイミングで、グルテンフリー生活へ転換。そしてパンインフルエンサーから、グルテンフリー情報の発信へ、舵をきることを決意しました。

「正直怖かったです。2歳からフランスパンを齧っていたくらいパンが大好きで、パン製造の専門学校にも通っていました。パンが生活の中心だったし、今まで積み上げてきたインスタ。8万人のフォロワーさんが待っているのに…。

でもよくよく考えると、パンも好きだけど、インスタ“発信”の行為自体にハマっている自分にも気づきました。投稿の反応の数を分析したり、投稿の画像を変えてみたり。

だから、怖かったけれど、続けられる方向で発信を続けようと思ったんです。今思えば、アレルギーになっちゃうくらいパンを食べすぎていましたし。『○○を発信しなきゃ、だから食べなきゃ』とか、『痩せなきゃいけないから、何も食べない』とか、自分と同じように、誰かが何かに過剰になってしまうことを防ぐためにも、自分の体験も交えて伝えていこうと思いました。SNSが発達した今、そういう人が増えていると思うので」

グルテンフリー生活を始めて実感。身体に取り入れるもの(=食)で、身体はできているということ。

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

もともと、グルテンフリーの食には全く興味がなかったというパン屋巡りビトさん。実際にグルテンフリー生活を始めてみての率直な気持ちを伺いしました。

「グルテンフリーだけじゃなく、オーガニックもそうですが、いわゆる“体に優しい”食べ物の良さに気づくことができました。すごく体調が良くなったし、食って体をつくるものなんだなって、改めて実感して。今までは添加物たっぷりのスイーツを食べても、何も問題ないと思ってしまっていたのですが。

それに原材料を見ると、砂糖じゃなくて甜菜糖やきび砂糖、マーガリンじゃなくてバターみたいに、グルテンフリーの食べ物って、材料選び1つ1つにこだわりがあるんです。これって絶対に、作り手に何か理由があるし、深い愛や優しさがないとできないじゃないですか。そう考えると、心まで優しくなれるんです」

「グルテンフリーの食の選択肢は思ったよりも多いけれど…」。グルテンフリー生活の難しさと、今後の発信とは?

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

7月から、Instagram(@pan_meguribito)でグルテンフリーのスイーツ・パンを発信し始めたパン屋巡りビトさん。グルテンフリーの食生活の課題も受け止めつつ、同じ境遇の人や、健康志向でグルテンフリーを求める方に向けて発信していきたいとのこと。

「グルテンフリー生活を始めて思ったのは、グルテンフリー食品の選択肢は意外に多いということ。“食べるものが全然ない”ことはないんです。ただ、20代前半の私の率直な感想としては、値段が高い! 同じパンでも、どうしても1.5倍の値段がしてしまうんです…。食費が本当にかかってしまって」

「そこで助けになったのが、グルテンフリーのレシピ。私はもともとパン屋での製造経験もあり、趣味でパンやお菓子作りをしていました。一から配合を考えることも好きなので、レシピも積極的に発信していきたいです。

今後はグルテンフリーのパンとスイーツの発信が中心になりますが、いずれは商品の提案や開発もしてみたいし、450店舗パン屋巡りをした経験も生かして、お店の監修もしてみたいです。同じようにグルテンフリーを求める人たちの、役に立てるように」

「まさか、パンインフルエンサーの私が」。グルテン過敏症になった、パン好きインスタグラマーの決意。「パン屋巡りビト」さんインタビュー

パンを愛し続けて、食べ続けて、そしてグルテン過敏症になってしまったパン屋巡りビトさん。それでも「パンインフルエンサーがグルテン過敏症なんて、この世に自分だけだと思います! 自分の体験を皆さんに知ってほしい」とインタビューを快く引き受けてくれました。

自分と同じ境遇の人の役に立ちたいからと、これからも発信を続けていくと話す彼女。Instagramの愛あふれる投稿からも滲み出ているように、とても優しく、ぽかぽかと陽だまりのような心を持つ方でした。今後ufu.では、『パン屋巡りビトの #グルテンフリー生活』連載記事がスタートします!ぜひご注目ください。

Photo/Panya Meguribito  Writing/Nanako Maeda