京都・丸太町エリアにある話題の焼き菓子店「王妃のおやつ」。ひとつひとつ丁寧に焼き上げられた焼き菓子は、地元の常連から遠方のファンまでを虜にしています。特にふわっふわの生シフォンケーキと、アンティークドールが描かれたギフトボックスは、“今、手に入れたい”と話題沸騰中!この記事では、知る人ぞ知るこの名店の魅力を、たっぷりとご紹介します。
京都・烏丸御池から歩いて8分ほど。観光地の喧騒から少し離れた、堺町通りにひっそりと佇むのが焼き菓子店「王妃のおやつ」です。
人通りの少ないこの通りを歩いていると、ふと現れるフランス感あふれる外観に思わず足を止めてしまいます。扉を開けると、そこにはスモーキーピンクの壁、アンティークの棚や小物たち…パリの片隅にある雑貨店に迷い込んだような、フレンチな大人可愛い空間が広がっています。
お店を営むのは中嶋京子さん。専門学校で学んだわけではありませんが、15年以上前から「ラ・プティ・シェリー」をはじめ、いくつものお菓子教室に通いながら、フランス菓子を基礎から丁寧に学び続けてきたのだとか。その積み重ねはやがて、自ら主宰するお菓子教室へとつながり、教える側としても経験を重ねることに。真摯にお菓子と向き合ってきたその姿勢が、今の焼き菓子づくりに活かされています。
「できない自分が嫌だったんです。負けず嫌いなんですよね」と笑う中嶋さんの言葉には、ただならぬ情熱と努力の跡がにじみます。
そんな中嶋さんが、趣味としての「お菓子作り」を“仕事”へと昇華させたのがこの「王妃のおやつ」。お店の名前には「覚えてもらいやすく、世界観が伝わるように」との想いが込められています。
確かに、アンティーク調の空間にずらりと並ぶ焼き菓子たちは、まさに“王妃のためにメイドが用意したおやつ”のよう。朝焼きのフィナンシェや、日替わりで並ぶ20種類前後の焼き菓子を前に、どれにしようかと選ぶ時間さえも心躍るひとときです。
「王妃のおやつ」では、焼き菓子が常時20種類ほど並び、店内はまるで“小さなお菓子の博物館”のよう。フィナンシェやマドレーヌ、ガレットブルトンヌといったフランスの伝統菓子から、スコーン、マフィン、シフォンケーキなどのイギリス・アメリカンベイクまで幅広く揃っています。
中嶋さんが作るお菓子は、「美味しいと思ったもの」をとことん研究して生まれたものばかり。単に美味しいだけでなく、“食感”や“香り”のバランスにこだわり、「あともう一個…」と手が伸びる、絶妙な満足感を追求しているそうです。
中でも筆者の推しは、ふわっふわのシフォンケーキ。ほんのり香るバニラビーンズが生地全体に広がり、まるでカスタードクリームを食べているかのような濃厚な風味。しっとりふわふわの軽やかな食感で、「これ、飲み物?」と思うくらいスッと口の中で消えていきます。
生地にクリームを挟んだ“生シフォンケーキ”は、ケーキのような華やかさと、焼き菓子の手軽さを兼ね備えた逸品。天気のいい日には、すぐ近くの京都御所で食べ歩きするのも素敵な休日コースです。
そして、お店の一番人気は「ビスキュイ・パルメザン」。パルメザンチーズを練り込んだ塩味の薄焼きクッキーで、ポリポリと軽い食感がクセになる!スナック感覚で食べられるので、コーヒーだけじゃなくワインにもぴったりですが、ついつい止まらなくなるので要注意(笑)。
発酵バター香る「ガレットブルトンヌ」は、ガリガリ系ではなく、ホロホロと崩れるやさしい口当たり。国産バターを贅沢に使っていて、ひと口ごとにじんわり幸せが広がります。
ちなみに、遠方から来るファンのお目当ては、焼き菓子だけじゃありません。中嶋さんがデザインからこだわった“アンティークドール”が描かれた貼り箱入りのギフトセット。
ドール好きの間では「撮影小物にぴったり!」と密かに話題になっているんだとか。箱だけの購入はNGですが…その気持ち、ちょっとわかります。
「全部食べたいけど、もったいないから毎日少しずつ」――そんな楽しみ方ができるのが焼き菓子の魅力。まるで“お菓子のある暮らし”を提案するような、やさしさが詰まったラインナップです。
ちなみに、かつて中嶋さんが主宰していたお菓子教室「ガトーメゾンカラント」は、今年の夏から再開予定とのこと。京都の夏は焼き菓子にはちょっと酷な気温…。だからこそ、「作る側の楽しさ」を届けたいという想いがあるそうです。
まだまだ知る人ぞ知る存在の「王妃のおやつ」ですが、ひとつひとつ丁寧に焼き上げられたお菓子たちが、じわじわと地元に愛されていく予感がしています。
お菓子を作ることが、ただの「仕事」や「販売目的」ではなく、「誰かの心をふっと和らげるもの」だと信じている中嶋さん。素材の組み合わせや焼き加減にとことん向き合いながら、ひとつひとつのお菓子に誠実な気持ちを込めて届けています。
流行を追いかけるのではなく、自分が本当に「美味しい」と感じたものを、丁寧にかたちにしていく。そんな姿勢が、王妃のおやつの味わいに確かな輪郭を与えているのかもしれません。
お菓子教室の再開を目指すのも、「誰かに作る喜びを手渡したい」という純粋な思いから。控えめながらもまっすぐで、深くやさしい。そんな中嶋さんの空気感が、お店のどこを切り取ってもにじみ出ています。
焼き菓子を通して伝わる、中嶋さんの温かい人柄。王妃のおやつには、レシピには書ききれない“物語”が詰まっていました。
About Shop
王妃のおやつ
京都府京都市中京区堺町通二条下ル杉屋町635
営業時間:11:00〜17:00
定休日:火曜日、水曜日、木曜日
※最新情報はインスタグラムにて発信
Instagram:@ouhi_no_oyatsu
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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