大阪・豊中市庄内(しょうない)にある小さなパティスリーが、今じわじわと話題を集めています。手がけるのは、元ホテルパティシエの難波さん。ショーケースに並ぶのは、プリンやタルトなど、素材と製法にとことんこだわったスイーツばかり。特に注目を集めているのが、“虹が見える瞬間”に火を止めて作られるという名物プリン。その味わいとストーリーに、心を掴まれる人が続出中です。
阪急庄内駅から歩いてすぐ。大阪・梅田から電車でたったの10分という近さなのに、どこか懐かしくて温かい空気が流れる下町エリア。そんな町に寄り添うように佇むのが、「Patisserie & cafe Noah’s ark(ノアーズアーク)」です。
もともとケーキ屋さんが少なかったこの街で、「近所で気軽に美味しいケーキを買える場所をつくりたい」という想いから、2020年6月にオープン。ご自身も豊中市に住むというオーナーシェフ・難波光舞(なんばひろむ)さんが、自らの夢を叶えるべくオープンさせました。
難波さんは五つ星ホテル「セントレジス大阪」のペストリー部門で6年修行後、関西を中心にカフェを展開する企業でセントラルキッチンの製造責任者を務めた実力派。空間作りやコーヒー、接客など「お菓子づくり以外のこと」もすべて学び、自分の理想を形にしたのがこのパティスリーカフェです。
店内は、木の温もりと手作り感が心地よい落ち着いた雰囲気。入ってすぐの場所にあるショーケースには美しいケーキがずらりと並びます。壁には難波さんの愛犬・チワワの「ノアちゃん」が描かれたイラストが飾られ、まるで“家族のアルバム”のような親しみやすさがあります。店名の「ノアーズアーク」も、ノアちゃんに由来しています。ショップカードには動物たちが仲良く方舟に乗る姿が描かれていて、なんだかほっこり。
2階に上がると、なんとそこにはキッズスペースつきのテーブル席が!柔らかなソファやベビーガードがあり、まるで友達の家に遊びに来たような安心感。
実際に難波さん自身も2児のパパで、「子育て中のママたちが気兼ねなく過ごせる場所を」との想いから設けたそう。地域で暮らす家族の一員として、お店を通じてやさしい居場所を提供している姿勢にじんときます。
ちなみに、ショーケースに並ぶスイーツはすべてアルコール不使用。子どもも安心して食べられるように、という配慮も忘れられていません。
お店全体に漂うのは、どこか“家族のリビング”のような、あたたかさと誠実さ。ケーキを買うだけじゃもったいない。ここで過ごす時間ごと、味わいたくなるお店です。
「Patisserie&cafe Noah’s ark」では、テイクアウトはもちろん、店内でゆっくりイートインすることもできます。平日は約10種類、週末になると12〜15種類ほどがショーケースに並びます。近所の方はもちろん、遠方から足を運ぶスイーツ好きも多いのだとか。
看板メニューは「庄内プリン」。瓶入りのクラシカルな見た目ながら、味わいはまるでプリンとクレームブリュレの“いいとこ取り”。卵黄だけを使った濃厚さに、牛乳で重さを調整したなめらかな口当たり。そして、ホテル仕込みのビターなカラメルソースが大人の味わいを演出します。
「虹が見えたら火を止めろ」と教わったというソースの火加減は、シェフの経験値が光る部分。「虹が見えるプリン」と呼ばれるのも、なんだか詩的です。
筆者がいただいた「タルトショコラ」も絶品でした!このお店、タルト系が豊富なんです。フルーツタルトに焼き込みタルト、ショーケースには日替わりでさまざまなタルトが並ぶそう。焼き込みタルトは特に人気で、見かけたら即ゲットが吉かも。
ショコラタルトは2層構造になっていて、上はふわっとエアリーなムース、下はしっとりビターな生チョコのような層。甘さと酸味のバランスが秀逸で、まるでホテルのデザートのような高級感がありました。
他にもショートケーキやチーズケーキといった“王道”が揃い、どこかほっとするラインアップ。周辺にはケーキ屋さんが少なかったそうで、「ちょっとケーキが食べたいな」というときに、ちゃんと寄り添ってくれるお店です。バースデーケーキの注文もOK!
ちなみに、ケーキセットでは、オリジナルブレンドのコーヒーをサイフォンで丁寧に淹れてくれるのも見逃せません。スイーツとコーヒー、どちらも本気です。
イートイン限定のパフェも注目ポイント。これまでは1種限定だったのが、今年からはなんと3種類に!
「桃とヨーグルト」「マンゴー」「和風」の3本立てを予定しているとのこと。こちらも見逃せませんね♡
過去にはランチやクレープ、ソフトクリームなど、幅広くチャレンジしていたというNoah’s ark。現在は提供メニューを絞り、質の高いスイーツづくりに注力されています。「やりたいこと、やるべきことに集中したくて」と語る難波さん。将来的には“プリン専門店”も夢見ているそうで、これは今から期待せずにはいられません!
大阪・庄内の下町で、“本格ホテルクオリティの味”と“地域に根ざしたあたたかさ”が両立したパティスリーカフェ、Patisserie&cafe Noah’s ark(ノアーズアーク)。
名物「庄内プリン」は“虹が見える”タイミングで仕上げるという職人技が光り、濃厚ながらも軽やかな味わいが魅力。タルトやパフェなど、季節やシーンに合わせたスイーツも充実しており、どれも丁寧に作られたものばかり。
子ども連れでも安心して過ごせるキッズスペースや、イートイン限定メニューなど、「街のケーキ屋さん」の枠を超えた工夫が詰まった空間です。家族や友人、大切な人と過ごす午後に、あるいは自分へのご褒美に。ふと訪れたくなる“スイーツの方舟”、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
About Shop
Patisserie&cafe Noah’s ark(ノアーズアーク)
大阪府豊中市庄内西町1-1-9
営業時間:10:30〜18:30
定休日:木曜日
Instagram:@noahs_ark020609
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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