本町のフード横丁に、SNSで密かに話題のクレープ屋さんがあります。その名も「HACCHA BOOTH(ハッチャブース)」。なんと、すべてのメニューがグルテンフリー!…と聞くと、なんだか“ヘルシー”で“地味”なイメージがあるかもしれませんが、ここは違います。砂糖たっぷり、生クリームももりもり。小麦は使わないけれど、“ギルティ”な美味しさはちゃんとあるんです。「小麦アレルギーでも、ジャンクで甘〜いものが食べたい!」そんな願いを叶えてくれる、心強いお店を取材してきました。
大阪・本町駅から徒歩5分、黄色い看板が目印のフードホール「HUB KITCHEN」。11の飲食店が軒を連ねる横丁として2022年にOPENしました。
その中に入ると、ひときわポップな存在感を放っている「HACCHA BOOTH(ハッチャブース)」が見つかります。黄色と黒のストライプ、#HACCHACREPEのネオン、そしてアメリカンダイナー風の空間。実はこのお店、すべてのメニューがグルテンフリーという“攻めすぎ”なクレープ屋さんなんです。
クレープ=生地が命。なのに、小麦不使用!?と驚かれること間違いなし。でも、米粉で作られた特製生地は、しっとり・もっちり、口当たりも抜群。しかも、SNS映えも意識したアメリカンなトッピングやドリンクで、写真を撮る手が止まりません。
運営しているのは、「トップカン(缶にケーキを詰めて密封するアレ)」を流行らせたアクトU株式会社。そのトップカンをどう広めていくかを考えた結果、まずは神戸でHACCHAカフェをオープン(※現在は閉店)。ここで“缶スイーツ”の土台が作られ、後に一大ブームへと繋がりました。
その後、しばらくは8mものアメリカ製スクールバスを改造したキッチンカーで全国を駆け巡っていたそう。イベントやフェスではクレープだけでなく、寿司や串揚げなど幅広いフードを展開していたというから驚き。
そんな“キッチンカー時代”を経て、満を持して固定店舗としてHACCHA BOOTHが誕生したのが、2024年3月。HUB KITCHENという場所を選んだのは、若い女性店長が安心して働けるように…という会社の想いもあったそう。
現在店頭に立つのは、元・HACCHAカフェの大学生アルバイトだった田中杏実果さん。小麦アレルギーが判明し、一度は夢を諦めかけた彼女のために、会社が「じゃあグルテンフリーでクレープを作ろう」と提案。そこから1年がかりで生まれたのがこのHACCHA BOOTHなんです。
“アレルギーでも美味しいクレープを焼き続けたい!”――田中さんのポジティブなエネルギーと、アメリカンなポップさがギュッと詰まった、クレープ好きにはたまらない注目店です!
「HACCHA BOOTH」のメニューは、すべてグルテンフリー。看板商品のクレープは、フルーツ&ホイップがもりもりに乗った“映え系”から、スパム入りの“おかず系”まで揃っていて、老若男女問わず支持されるラインアップです。
実は今、クレープには第3期ブームが到来中と言われていて、昔ながらの「シュガーバター派」も根強く人気なんだとか。HACCHA BOOTHではこのシンプルなシュガーバタークレープも一切妥協がありません。
使われているバターは、カルピスバター・四つ葉バター・エシレバターという選び抜かれた3種。 特にカルピスバターは限られた生産量の希少品で、軽やかな香りと深いコクに驚きます。そしてエシレは、フランス政府が認定したA.O.Pの高級発酵バター。バターは惜しみなくたっぷりと塗ってくれるので、パリッ&もちっとした米粉の生地との相性も抜群です。
さらに、イートイン限定で登場予定の、お皿に乗った“盛るタイプ”の新作クレープ。チョコレートソースがとろりとかかり、バニラアイスとスプレータイプの生クリームが添えられ、上にはなんと“パチパチキャンディ”が!
食べるたびに口の中が弾けて、まさにエンタメスイーツ! 食用ラメがキラキラ光って、まさに“ギルティ×アメリカン”を体現した一皿です。
田中さんいわく、
「グルテンフリーって“健康志向”なイメージを持たれがちなんですけど、全然そんなことないです(笑)。うちのクレープはむしろ“罪深め”です。アレルギーがあっても、ちゃんと甘やかされたいじゃないですか!」
という潔さ。確かに、これなら小麦が食べられなくても、罪悪感が味わえます。
そしてもうひとつの名物が「バナナスプレッド」。バナナ1本を縦にスライスし、間にはバニラアイス、生クリーム、チョコスプレー、カラフルなシュガートッピングがたっぷり。なんと飾りのオレオまで、グルテンフリー仕様の海外輸入品です!
小麦が使われているものは一切なし。カヌレもシフォンケーキも、クレープの「ブリュレ」に使われるカスタードクリームも、すべてグルテンフリー。
「“人生で初めてクレープを食べます”ってお子さんも来てくれるんです。『ここでは何を選んでも大丈夫』って伝えると、目をキラキラさせてくれて…その瞬間が本当に嬉しいですね」と話す田中さん。
“アレルギーがあってもスイーツを楽しめる世界”を、ひとつずつ着実に広げている彼女のまなざしは、23歳とは思えないほど力強くてまぶしかったです。
小麦アレルギーでも諦めず「クレープを焼きたい!」と立ち上がった田中さん。その想いに全力で応えたアクトU株式会社。そしてできあがったHACCHA BOOTHは、アレルギーの有無を問わず、誰もが“自分の食べたい”を選べる自由なスイーツ空間でした。
もちもち米粉のクレープ、ギルティなスプレッド、キラキラのラメ、パチパチはじけるキャンディ。どれを選んでもワクワクするし、どれを選んでも「これはちゃんとおいしい」。
「グルテンフリー=我慢」と思っている人がいたら、ぜひ一度このお店を訪れてみてください。“我慢”じゃなくて“満たされる”体験が、ここにはあります。
About Shop
HACCHA BOOTH(ハッチャブース)
大阪府大阪市中央区久太郎町3-1-27 ヒグチビル 1F HUB KITCHEN
営業時間:14:00-23:00(22:30L.O.、金曜日のみ23:00L.O.)
定休日:日曜日
Instagram:@hacchabooth88
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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