
今年もうきうきのバレンタインシーズン。せっかくなら、いつものチョコレートより“もう一歩先”を楽しんでみませんか?
阪神・芦屋駅すぐの「ICHIJI」は、カカオ豆から作るビーントゥバーチョコレートの専門店。難しそう?と思いきや、実はソフトクリームや焼きたてゴーフレットなど、気軽に楽しめるメニューも充実しています。
今年は“ビーントゥバーデビュー”、してみるのもありかもしれません。

阪神「芦屋」駅から徒歩すぐ。落ち着いた住宅街の一角に、静かに佇むのが「ICHIJI」です。扉を開けた瞬間、ふわっと広がるカカオの香りに思わず深呼吸。チョコレートの香りに包まれていました。

ショーケースには、シングルオリジンのダークチョコレートをはじめ、芦屋の紅茶専門店「Uffu」とのコラボフレーバー、抹茶、オリジナルブレンドなど、個性豊かなタブレットがずらり。フィナンシェやカヌレ、ショコラサンドといった焼き菓子も並び、つい目移りしてしまいます。

さらにうれしいのは、ソフトクリームや焼きたてゴーフレット、ショコラショーなどスナックスイーツ的なラインアップ。ビーントゥバー=少し敷居が高い、というイメージを、ふっと崩してくれる気さくさがあります。

店舗にはテイクアウト専用の受け渡し窓も。わんちゃんの散歩途中や、ベビーカーを押しながらでも、外から気軽に注文できる設計です。店前のベンチでソフトクリームを片手にひと休み。そんな日常の風景に自然と溶け込む、やわらかな存在感が印象的です。

出迎えてくれたのはオーナーの伊知地恭兵さん、なんと平成2年生まれ。26歳で開業し、ブランドは今年で10年目を迎えます。
立ち上げたのは、ビーントゥバーが日本でようやく言葉として広まり始めた頃。「何かで起業したい。でも何ができるんだろう?」と模索していた中で出会ったのが、イケてるチョコレート=ビーントゥバーでした。当時、関西にはまだ専門店がほとんどなく、「先行者利益を狙えるかも」そんな気持ちも正直あったそうです。
最初は、自宅のオーブンでカカオ豆を焙煎。すり鉢とすりこぎでチョコレートを作る実験からスタートしたとか。作りたてのチョコレートを口にした瞬間の衝撃は、今も忘れられないと言います。

板チョコが100円で買える時代に、1,000円、2,000円のチョコレートを売る。その価値をどう伝えるか。ただの消費ではなく、背景やストーリーに目を向けてくれる人が集まる場所として選んだのが、芦屋でした。
「ICHIJI」が掲げるのは「日常の上質」。専門性が高くて少し身構えてしまうビーントゥバーを、もっと身近にしたいと語ります。だからこそ、板チョコだけでなく、ソフトクリームやかき氷、焼き菓子など、さまざまな形でカカオの魅力を提案しています。
「ICHIJI」は、1組に1名のスタッフが丁寧に対応するスタイル。試食をしながら、カカオの産地や背景、味わいの違いをゆっくり説明してくれます。まるでワインのテイスティングのよう。チョコレートが“飲み物”のように感じられる瞬間です。
「そうでないと、ビーントゥバーである意味がないですから」と伊知地さん。

原材料は基本、カカオと砂糖のみ。余計なものを加えないからこそ、土地や気候による個性がくっきり。テロワールの違いがそのまま味に出るのが、ビーントゥバーの醍醐味。販売だけでなく、背景まで含めて体験してもらう。その姿勢が、1組ずつ向き合う接客に表れています。

創業当初から大切にしているのは、カカオの多様性。コンペで評価される高品質のカカオ豆はもちろん、個性的で魅力あるカカオも積極的に採用。目指すのは“No.1”ではなく“オンリーワン”。複雑なスパイス感やフローラルな香りなど、思わず「えっ?」と驚く表情を持つカカオに出会えます。

現在のラインアップは、ハイチ、トリニダード・トバゴ、タンザニア、ガーナの4カ国。シーズナルでエクアドルも登場しています。それぞれを使ったタブレットはもちろん、焙煎豆をチョコレートでコーティングした「ひとつぶ」も人気です。


ザクザクとした食感に、ナッツのようなコク。カカオを丸ごと味わう感覚です。

ギフトには「玉手箱」シリーズ。プリザーブドフラワーやシャンパン、シガーと組み合わせた特別なセットで、こちらは「日常」を超えた「ハレの日」にも対応する商品です。

そして、食べ歩きメニューも見逃せません。特に人気なのは、店内で焼き上げるゴーフレット。実演販売というスタイルも珍しく、香ばしい匂いに思わず足が止まります。

焼きたてのゴーフレット生地にサンドされるのは、ガーナ産カカオのガナッシュ、タンザニアのチョコレートソース、カカオニブのザクッと感。ビーントゥバーの個性を、ぐっと親しみやすく楽しめる一品でした。

ショコラショーやソフトクリームなど、季節に合わせた展開も。ソフトクリームに混ぜるチョコレートも、もちろんすべて店内で加工されたビーントゥバーチョコレートです。時期によって使われるカカオも変わります。
入り口は広く、奥は深く。硬派なビーントゥバーを、日常に溶け込ませる工夫が凝らされていました。
「ICHIJI」が大切にしているのは、「日常の上質」。コンペ級のカカオも、個性的なカカオも、ビーントゥバーを特別なものにせず、日常へと溶け込ませるバランス感覚が光ります。
そして今後は、お客様とのコミュニケーションが取れる場や、ワークショップなど交流の機会を増やしていきたいと考えているそうです。カカオの背景やストーリーを、もっと身近に。味わうだけでなく、知り、感じ、共有する場所へ。

芦屋の街で10年積み重ねてきた「ICHIJI」は、これからも“カカオの面白さ”を静かに、そして確実に広げていきそうです。
About Shop
ICHIJI
兵庫県芦屋市公光町8-8
営業時間:10:00〜18:00
定休日:なし
Instagram:@ichiji_beantobarchocolate

あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
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