今年5月にオープンして早くも地元の方に愛されるパティスリーがある。その名も「Bonne Qualité(ボンヌカリテ)」。中目黒の目黒川沿い近くの住宅街に佇み、季節感溢れるケーキに焼きっぱなしタルト、そして裸売りの焼き菓子などのラインナップはまるでフランスの洋菓子店を訪れたかのよう。今回はオーナーパティシエ・中野竜弘シェフを取材。シェフのことはもちろん、お店の魅力や一押し商品を紹介します。
中目黒駅から徒歩11分程にある同店。大きな窓から見えるケーキや焼き菓子、無機質すぎない白を基調とした外観、店内に足を踏み入れるとイートイン席が2席。シェフ自らも接客するなどアットホームな温かさを感じます。
「日常の中にある上質なお菓子がブランドコンセプトです。店名もフランス語で“上質”を意味するBonne Qualité(ボンヌカリテ)にしました」と話すのは、オーナーパティシエ・中野竜弘シェフ。
37年続いた名店「なかたに亭」(大阪)、全国から足を運ぶ人気店「パリセヴェイユ」(東京)、そして“スイーツの魔術師”とも呼ばれるジル・マルシャル氏のお店「ジル・マルシャル」(フランス・パリ)など数々の名店を渡り歩いた方です。
お店は駅近で人通りが多いところではなく“そこを目指して来るお店にしたい”という想いで駅から離れた住宅街にオープン。早くもイートインを目指し遠方から来る方や近隣の方に愛されるパティスリーに。
前述した国内外で修業された中野シェフ。これまでの経歴とターニングポイントをお聞きすると…
中野シェフ
「なかたに亭での修行時代です。チョコレートケーキならチョコ、チーズケーキならチーズなどシンプルなラインナップが多くありました。メインの素材を活かすためにリキュールで香りや酸味を足すのか、それとも粉を少なくして香りを引き出すのかなど素材に対する向き合い方を学びました。」
お菓子の見た目よりも、まずは核となる‟素材”を最大限に活かすことを大事にすると話す中野シェフ。フランスの修行時代に学んだという、フランス素材の仕立て方や素材の力強さの引き出し方は、シェフの技術が詰まっています。
ラインナップはフランスの伝統菓子をはじめ、旬の素材を活かした生菓子、焼きっぱなしタルトなどシンプルながらも力強く個性があるお菓子でどれも魅力的なものばかり。看板商品をお聞きすると…。
フランス・サヴォワ地方にある郷土菓子「ビスキュイ サヴォア」。卵、小麦粉、砂糖で作るシンプルな焼き菓子で、修行時代に大好きで毎日食べていたのだとか。そんな郷土菓子の伝統を守りつつもシェフのエッセンスを加えたこちらは、カソナード、きび糖、ベルジョワーズという砂糖を3種類、卵は平飼い卵を使うなど随所にこだわりが詰まった逸品。バターの香りと砂糖のジャリっと感、そしてカステラとシフォンケーキの間ぐらいの食感がまた心地よく、どこか懐かしい味わいに。
取材当時はサントノレやパリブレストなどのフランス伝統菓子、桃のヴェリーヌや苺のムースケーキなどの季節感溢れる商品。フランス産のバターや塩、ピューレ、シェフご自身で巡りお付き合いのある国内農園のフレッシュなフルーツを使ったお菓子はまさに芸術作品のよう。
旬のフルーツに合わせてラインナップが変わる同店の中で、通年販売予定のチョコレートケーキ「リュブル」。ムースショコラの中にバニラのクレームブリュレ、フランボワーズのジュレが入ったこちら。
中野シェフ
「チョコバニラのケーキを作りたいと思いスタートしましたが、チョコレートのムースだとバニラの香りが弱くなってしまう。そういう意味でバニラは力強いクレームブリュレに仕立てました」
チョコレートの濃厚さ、バニラの力強い香り、最後にフランボワーズのジュレの酸味でチョコレートのまったりさをスーッと消えていく。まさにシェフの技術が詰まった一品。ムースショコラは牛乳の割合を多くしているそうで、滑らかな食感もたまらない。
シェフが大好きだというブルーベリーを使った「ケリー」。ラベンダー香るブルーベリーのムースとコンポート。そして周りにはレモンとライムのシトラスムースが。シュワっと溶けるようなムースに、ブルーベリーとラベンダーの香りのマリアージュを堪能できる上品な味わい。
シンプルながらも香りなどを巧みに使い、最後まで飽きがこないように計算尽くされた中野シェフのこれまでの経験と技術が詰まったお菓子の数々。通年販売商品がありながらもその時期の旬の素材を使ったものがメインに並ぶ同店。季節が変わるたびに足を運びたくなるほど圧倒的な世界観が広がります。
About Shop
「Bonne Qualité (ボンヌカリテ)」
東京都目黒区青葉台2-16-4
営業時間:10:00~19:00
定休日:水
Instagram:@bonnequalite_tokyo
Takuma
ウフ。編集スタッフ
すべてが“本物志向”のスイーツ好き編集者。都内のパティスリーやホテルのカフェを中心に巡り、話題のお店はいち早くチェック。スイーツが好きすぎて、気づけばスイーツメディアの編集部に!
Instagram(@k.takuma.happy)
Photo & Writing / Takuma
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