
2026年のバレンタインデーも間もなく始まる時期に。チョコレートの年に1回の祭典であるバレンタインデーては、毎年様々なトレンドが生まれ、ブランドが誕生します。今回編集部が取材に伺ったのは、フランス発、日本でもすっかりおなじみのイベントとなったチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」への出店も決まり、これからがとても楽しみなチョコレートブランド「CALATIR(カラティール) 」(柏市)を取材しました。日本でも指折りの設備を擁し、最高峰のチョコレートを作る工房に足を運ばせていただきました。

「Les temps plus(レタンプリュス)」 は千葉県流山市にある、フランス菓子をはじめとした伝統菓子が有名で「オーボンヴュータン」出身の熊谷治久シェフが2012年にオープンさせたお店です。生ケーキだけではなく、ショコラやパンといった豊富な品揃えで、地元の多くの人に愛されています。そんな地域に根ざす「Les temps plus(レタンプリュス)」は、2022年にはタカシマヤフードメゾンおおたかの森店もオープンし店舗を拡大。そんな中で新規事業のショコラトリーが2025年に誕生しました。それが「CALATIR(カラティール) 」です。
渡仏先で「Franck Kestener(フランクケストナー)」や「Patrick Roger(パトリックロジェ)」といった名店で、ショコラの奥深い世界に引き込まれた熊谷シェフが、理想を追求したオリジナルのショコラを手掛けたいという強い想いが芽生えこのブランドが誕生しました。
そしてこの「CALATIR(カラティール) 」でシェフ・ショコラティエとして責任者をつとめるのが駿河シェフ。若き才能が新たなショコラの可能性を切り拓きます。

2025年に柏駅からバスで15分ほどのところにアトリエ兼店舗が誕生。店頭ではボンボンショコラをはじめとしたショコラ、そしてギフトにもぴったりな焼き菓子も並びます。
アトリエの広さと設備は圧巻で、このブランドの大きな特徴は「設備」にあると駿河シェフは話します。

まずボールミルという機器。ボールミルとは、カカオ豆や砂糖などの粒子を、内部のボール(球体)で回転させながら微細なペースト状にすり潰し(粉砕・精製)、舌触りの良い滑らかなチョコレートを作るための機械です。日本のショコラトリーでは、「メランジャー(Melanger)」と呼ばれる石臼状の機械で同時に行うのが特徴的です。
このボールミルと、メランジャーの違いはどこにあるか?と伺うと……
駿河シェフ「短時間で粒度が整って、チョコレートのなめらかな口当たりを実現してくれます。普通のメランジャーだと、チョコレートをなめらかにするまでの時間が長く、その間にカカオが持つ香りが飛んでしまいがちです。このボールミルは、短時間で仕上がるので“香り”が違います。

他にもロースターも最新式で、コンベクションオーブンで焼くよりも美味しく焼き上がり、カカオが持つネガティブなえぐみがなくなり、カカオの旨味がしっかり凝縮して焼き上げられます。
良質なカカオを、最先端の機器で美味しく仕立てられるので『Les temps plus』でのお菓子にもこのアトリエで作った自家製のチョコレートを使っています。カカオの力強い美味しさを楽しんでもらえたら」。

サロン・デュ・ショコラをはじめとした、バレンタインのイベントにも数多く出店する「CALATIR(カラティール) 」の駿河シェフのこだわりがつまった商品を紹介していきます。
まずは、ボンボンショコラから。ボンボンショコラの上掛けのチョコレートは、全部自家製チョコレートを。カカオの産地は、タンザニア産のきれいな酸味のあってフルーティーなチョコレートを使っています。少し青リンゴのような香りのするチョコレートになっており、このチョコレートの箱でいうと左下から二番目のショコラはスペアミントを合わせており、そのマリアージュは絶品。

そして筆者としてひと通り試食させていただき圧巻だったのは、この「プラリネアソート」。粗めのプラリネは、既製品を一切使わず、全部手作業で一から作っています。
このアソートの面白い点は、ヘーゼルナッツやアーモンドといった定番のナッツだけではなく、ひまわりの種や松の実、ココナッツ、そばの実、山椒など、ありとあらゆるナッツを素材との掛け合わせに。山椒はみかん、そばの実はスダチと組み合わせがとってもユニークで、面白い一品。
駿河シェフは、実はショコラティエではなく、パティシエ。仕入れるカカオ豆に合わせて、パティシエのエッセンスで香りを組み合わせているので、チョコレートへのアプローチがパティシエならでは。だからこそ、山椒とみかんの組み合わせなど、面白い味わいができるんだとか。

テリーヌショコラもその一つ。卵白のみで仕立てているのでカカオの香りが鼻に残るように。さらにメレンゲ仕立てなので、食感はスフレのようでふんわりと、口の中でしゅわしゅわっととろけていく。カカオはエクアドル産。華やかな香りが広がります。

そして、もう一つおすすめがこのサブレ缶。希少なウガンダバニラをたっぷり使い、甘くて芳醇な香りがたまらない。またバターはブルターニュの発酵バターを使っており、バニラとの相性も抜群です。続いては自家製カカオパウダーとカカオニブを入れたサブレ。こちらも駿河シェフのこだわりが。カカオパウダーが特徴的で、未脱臭でアルカリ処理をしていないフレッシュな状態のため、香りが際立つ設計に。お砂糖は三温糖で優しい味わいです。
そんな最高のお菓子を手掛ける、駿河シェフのインタビューを最後にお届けします。

Q.お菓子作りにおいて大切にしていることは?
駿河シェフ「フランスに行ったときの食べた記憶、素材の組み合わせを大事にしています。フランスで修業してみて、食材の違いを感じました。それぞれに良さがあり、改めて日本の食材にはその素晴らしい良さがあると気づきました。茶もそうですし、今回はボンボンショコラでそばの実にもフォーカスを当てました。素材を活かす商品づくりをしたいですし、寄り添ったお菓子を作りたいと考えています。
その上で大切にしていることは、食べ手にわかりやすいお菓子を作ることです。食べた人が“色々なものが入っていて、これはなんだろう?”とならないことが大事だと思っています。食べたときにバニラの香りがいいとか、そのわかりやすさを目指していきたいです。お菓子作りを足し算ばかりにならないように考えています。
以前修業させていただいたエーグルドゥースの寺井シェフに言われたのは、メインの素材があって、そしてセカンドの味があって、余韻としてサードフレーバーが大事。その教えを今でも大事にしています。」
Q.パティシエからショコラティエ。何が違い、どんな学びがありましたか?
駿河シェフ「フランスから戻ってきて、何をしようかな?と思っていたときに、熊谷シェフから新しいショコラブランドをやると話を聞いたのがきっかけです。それまでビーントゥバーの製法で0から作る、本格的なチョコレートをやったことなかったんです。新しい挑戦をしてみたい、そんな気持ちで今もカカオの勉強を日々しているところです。色々なショコラティエと意見を交換し、そしてカラティールに入った新しい機器と対話しながら、1年かけてやっとカラティールというベースができてきた実感があります。
レタンプリュスの看板の重さも感じることがないわけではありませんが、このカラティールらしさ、カカオと素材の面白い組み合わせでいいチョコレートを作っていきたいと思います。2026年のバレンタインデーは、その意味で初お披露目のようなものなので、皆様に手に取っていただけたら嬉しいですね。」
About Shop
CALATIR(カラティール)
千葉県柏市高田1265−1
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
Photo&Writing/坂井勇太朗(ufu.編集長)
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